今回のUAV通信、テーマは「ドローンを仕事にしたい人必見!この機体を自由に飛ばせるか?」です。

中村:ビデオで見てもらったドローンの機体は、フリークスガレージの特別な講習「UAV機体制作クラス」で、生徒さんが作ったものです。この講習では、機体をバラバラの状態から組み立て、設定し、飛ばすまでを自分でやります。そして、飛ばす際にビデオに撮り、私が操縦のフィードバックをお返しします。

この機体は、見ていただいたとおり「DJI Mini2」などと比べると大きいです。パワーもあり、敏感に飛びます。

こういう機体を作って飛ばし、練習に使っていくことで、知識も技術もかなり身につきます。

嶋貫:まず自分で作るというのがいいですよね。ドローンの基本が詰まっています。機体の作り方、メカの積み込み、フライトコントローラーの設定。そうした内部構造を理解した上で飛ばす。そこに大きな意味があります。今後、産業用ドローンの機体を扱うのであれば、必須の内容です。

多くのドローンパイロットさんが、飛ばすことだけに意識が集中しがちです。しかし、ドローンの機体を作って設定し、飛ばす、その工程が重要です。ましてや、その後にフライトのフィードバックがあるのはなかなか豪華ですね。

中村:手前味噌ですが、ここまでできるのはフリークスガレージならでは(笑)。

実は、このドローンの機体のキットには説明書がありますが、私が教えるときは参考程度にしてもらっています。説明書どおりに作らなくてもいいと。それより自分に合った作り方をしてもらいます。例えば、「左利きだから受信機はここに置くとやりやすい」「こういう飛行をしたいからバッテリーはここに置くといい」といったことがあります。そういうときは、自分でやりやすいように作ってもらっています。

このドローンのオリジナル機体は、モーターアームが赤と白に分かれていますが、私はこれを前後逆にしています。説明書では、赤を前にして白を後ろにしている。私は、赤を後ろにして白を前にしています。なぜなら、私は後ろを把握するのに赤いほうが見やすいからです。生徒の中には、後ろが白いほうが見やすいという人もいますので、そういうときは白を後ろにしてくださいと教えています。説明書どおりに作らなくても大丈夫です。もちろん前後ではなく左右に付けてはまずいですが(笑)。

あと、説明書どおりだとバッテリーは縦に積みますが、私は横に積みます。なぜかというと、この機体を激しく飛行させることがあるからです。ぐわーっとブレーキをかけると前に重心がかかり、バッテリーがすぽんと抜けやすいのです。それを横にするだけで抜けづらくなります。

うちでこのドローンのオリジナル機を作るときは、いろいろなことを考えながらできます。10人いたら10通りの作り方がある。もちろんフライトコントローラーやGPSの位置は、ある程度決まっています。しかし、その他は自分の考えで作れます。いろいろ勉強ができます。

ただ、この機体、よく飛ぶんですよ。よく飛びすぎて危ない(笑)。

嶋貫:自由度が高い分、操縦技術にもシビアさが求められますね。

中村:この機体、初めて飛ばすときは怖いと思います。怖くて飛ばせない。でも、これが飛ばしこなせると、こんな気持ちのよいものはないと感じてもらえるはずです。送信機のスティックを動かす、指の感覚どおりに飛びます。

話はそれますが、私が生徒さんの前でラジコンヘリをばーっと飛ばしていると、「何か特別な設定をしているのか?」と言われることがあります。しかし、その人の機体で同じような飛ばし方をすると、納得してもらえます。「あっ、俺のヘリでもそう飛ぶんだ(笑)」と。

嶋貫:あるあるですよね(笑)。

中村:私が飛ばす機体は特別だと思われてしまう(笑)。そんなことはないですからね。「自分の機体でも飛ばしてみて」と言われたら飛ばします。そうすれば、その機体でも高度な操縦ができると理解してもらえます。

話がずれましたが、こういうドローンのオリジナル機を1台作るだけでも、いろいろと学べます。ただこのキット、今なかなか入ってこないんですよね。世の中的にも電子部品が希少になっていますし。もちろん、なるべく在庫を切らさないようにはしています。次回、このドローンのオリジナル機を作るコースの募集があれば、会員さんはぜひ応募してみてください。定員いっぱいでしたら、次回の募集をお待ちください。とにかく楽しいコースです。

さっき見てもらったビデオの生徒さんも、相当飛ばし込んでいます。それでも、フィードバックの動画を後で見れば、「この飛ばし方はいいんだ」「この操縦はダメなんだ」と再確認できます。でも、この生徒さんはあまり悪いところがありませんでした。いいところをもっと伸ばしていきたいですね。

嶋貫:この機体ですと、機体の動きの微調整も覚えられますね。その動きが機体側の設定なのか送信機の設定なのか、そういうことを理解するにはものすごくよいです。機体の設定なのか、自分の腕なのかが分かっちゃいます(笑)。技術を身につけてから機体をいじっても違いが分かりますね。

中村:そうですね。ただこれ、ちょっと大きいので、ローターが当たると痛いじゃ済まいないんですよね。ざっくり切れてしまいます。ちょっと危ないですが、きちんと安全対策を考えながらやっています。

このドローンの機体が飛ばせるようになったら、技術的には間違いないですから。皆さん、挑戦してみてください。