概要

クライアント名:日本キャタピラー合同会社

仕事時間:30分

使った機体:INSPIRE1

苦労したところ:動き回る重機、特にアームにマルチコプター(ドローン)をぶつけてはいけないところ。映像の迫力を出すためには、かなり重機に近づかなければならない。特に、土を掘るシーンをアップで撮るときには神経を使った。

工夫した、うまくいったところ:重機の動きに合わせて一定の距離を保ちつつ、マルチコプターも動き回らせた。そうして躍動感のある映像に仕上げた。打ち合わせはほとんどしておらず、クライアントに迷惑をかけられないので一発生本番。そのなかで、ワンカットでの撮影に成功した。

撮影秘話:ショベルカーのオペレーターさんに、重機をどう動かすか見せてもらった。「ここからここまで動かします。でも、ここからここまでは動きません」といった、動かす範囲を最初に決めた。そして、実際の動きを見せてもらった。そうして、私はマルチコプターをどう動かし、どう映像を撮るかを考えた。

「音声解説」の文字起こし

これね、「336」っていうショベルカーですよね。日本キャタピラー、CATのショベルカーの映像です。

――割と大手の会社ですね?
そうですね。大手の会社です。

――これはどういう状況なんですか?
普通こういう動画って、二人のパイロットで1台のマルチコプターを動かして撮ることが多いです。この動画は、私一人で撮っています。映像の確認から飛行まで、全部1人でやります。今のシーン(0:41)は、バケットとキャノピーの間に機体をホバリングさせて撮っています。一切、固定カメラを使っていません。

――重機が動き回っているんですよね?
動き回っています。その中で機体を当てないように飛ばしています。かなり近づかないとアップで撮れないんですよね。重機の動きに合わせて、一定の距離を保ちながら飛ばします。ちょっといま影が映っていますけど(1:18)。天気がよかったので、影は気にしないで撮りました。

――クライアントさんとは綿密に打ち合わせをしたんですか?
綿密ではないですね。まず、ショベルカーのオペレーターさんに動かす範囲を決めていただきました。その動く範囲を把握して、「では、私はアームに当てないようにしながら、周りを自由に飛ばしますね」と言いました。打ち合わせといえば、それだけです。

――ぶっつけ本番ですか?
ぶっつけ本番です。クライアント側も、この撮影にばかり時間をかけられません。なので、1回の打ち合わせでやっています。この映像を見ると、一見遠くから撮っているように見えますが、かなりアームに近づいています。これもかなり近いです(2:34)。ここまで近づかないと、迫力のある映像は撮れないんです。撮るときは、完全に機体をカメラだと思って、撮りたい方に向けて飛ばしています。例えば、回り込んだ映像なんかは、「ノーズインサークル」っていう機首を内側に入れながら回すような、細かいテクニックをいっぱい使いながら撮っています。

――イットクさんは一人で全部やっているんですね?
二人でやれればいいんですけどね。やはり、急な依頼だったりすると、すぐにもう一人を用意できなかったりします。また、カメラのセンスもあるので、誰に頼んでもいいわけではないんです。どうしても撮りたい映像があれば、一人でやったほういいですね。機体のことをわかっていないパイロットだと、撮りたいように撮るのは難しいです。ちなみに、ダブルパイロットとシングルパイロットの違いは明確です。ダブルパイロットなら、一人は飛行に、もう一人はカメラに専念できます。シングルパイロットなら、飛行もカメラも一人でやります。この動画の場合、一人でやっているので、けっこう飛行中は神経を使います。撮りたいものがカメラから外れたら意味がないですから。

――次を予測する力も大事ですね?
そうですね。次はこう動くだろう、こうなるだろうと予測しながら、ショベルカーに当たらないように飛ばします。これもアームが上がるのがわかっていたんですが(4:48)、わざと近づいて、迫力あるシーンを撮ったりしました。そんな感じですね。