オープニングトーク 1:06

中村一徳(以後、中村):今回から、『フリークスガレージUAV通信』という情報番組をスタートします。この番組では、ドローンを仕事にしたい方向けに、プロとして安全に飛ばせる、プロとして安定して稼げる、そのようなノウハウをお伝えしていきます。

私は、埼玉県の秩父でドローン専門店をやっている中村一徳です。こちらは、当スクールでドローン操縦のインストラクターをしている嶋貫さんです。今日は、この2人で話していきます。

今回は創刊号ということで、以下の5つの内容をお届けします。
①大型ドローンのテスト飛行の裏話
②【初心者必見!】ドローン操縦 上達ノウハウ
③生徒のドローン操縦「フィードバック動画」を公開
④「中級技能検定」合格者の上達ビフォー・アフター
⑤「ドローン事故事例勉強会(ダイジェスト版)」で事故を予防

では、これからビデオを見ていきます。最初は、「大型ドローンのテスト飛行」の映像からです。映像を見終わった後、2人でいろいろと裏話などをしていきます。

①大型ドローンのテスト飛行の裏話 3:52

中村:こうして後から見ても、手に汗握る映像でした。

嶋貫秀人(以後、嶋貫):初めて見た映像でした。

中村:これからは、物を運ぶこともドローンの仕事になってきます。災害現場で物を運ぶこともあります。今まで人が運ばなければならなかったものをドローンで運べば、時間が短縮できるし体力も温存できます。そういうメリットがあります。

嶋貫:ドローンが物を運ぶ手段の一つになるのは重要なことですよね。選択肢が増えると、さまざまなことに対応できますから。

中村:例えば、洪水などで川が氾濫していると、建物に人が取り残されていても、ボートなどで助けにいけません。そういうときにヘリコプターで行ければいいのですけど、待っているのも時間がかかります。また、ヘリの下に激しい風が吹くので、屋根にいる人が飛ばされることも考えられます。そんな状況で、ピンポイントに物を持っていけるのがドローンです。だから、これから日本でもどんどんと活用されていくはずです。しかし、日本はドローンに関して非常に遅れています。もっといろいろな場面で使われる、そんな国になっていかないとおかしいのですけどね。そうすれば、もっと助かる命も増えるはずです。

ビデオで見た機体は、15~20kgくらいまでの荷物なら安定して運べます。15kg分のカップラーメンといったら何千個? 15kg分の荷物が運べるというのはすごいことですよね。それだけの物資を、例え離発着する面積が小さくても降ろせます。ビデオでも、きちんとピンポイントで荷物を降ろしていました。もし降ろすのが難しくても、落下させて届けることができます。

嶋貫:ヘリコプターで近づけない場所は、ドローンでカバーしなければいけません。そういう場面が、今度もたくさん出てくるはずですね。

中村:ヘリコプターで行けないところだからこそ、いろいろと起こります。そのようなときにどうしようと考えていたら大変です。すぐに出動できる体制が、日本に作れるといいですね。

こうやって大型ドローンを飛ばしているところを見直すと、我ながらすげーなと思います(笑)。三脚をしっかり持ち上げて、ピンポイントで降ろして。あれだけでかい機体なら、多少の風ではびくともしません。実際操縦していて、まったく機体が暴れませんでした。操縦していて、安心できる飛び方をしてくれます。パイロットが安心できる機体じゃないといけません。

嶋貫:操縦しているときに気持ちの余裕がないと、何かあったときにすぐ対応しづらいです。操縦に余裕があることは、大事な要素ですよね。

中村:今、「ドローンで物を運んで何かをしてみたい」という企業の方がいたら、ぜひ連絡をください。私たちが、実証実験をしに伺います。面倒な手続きなどなく、すぐに飛ばせます。例えば、「これこれをここまで運びたい」といった依頼があれば伺います。もしくは、広い土地があるので、埼玉県の秩父に来てもらえたらすぐにできます。実証実験をしてみたい企業さん、募集中です。お待ちしております。

最近うちの店にも、大手企業から機体のセールスがよく来ます。こういう言い方はまずいかな? まずいならピー音が入ると思います(笑)。大企業が作る機体だからよい機体かというと、そうではありません。私も、そうした機体がどういうところで誰が作っているか、裏側をよく知っています。どんなに値段が高くても、性能が悪い機体はたくさんあります。逆に、安いのに性能がいい機体もあります。いい機体と出会えるかが、仕事を成功させるポイントになります。なので、今後はいかに性能のよいドローンを探せるかも、企業さんたちの課題になります。

よい機体であれば、安定した飛行ができ、正確に物を運べます。安全なので、周りにも恐怖を与えません。周りの人が見ていて、「安定してるな!」と思ってもらうことは大事です。危険なものは飛ばせませんから。

大型ドローンは、これからどんどん開発されるはずです。しかし、有名企業の製品だからよいということはありません。機体の性能が大切です。

ここでは、大型ドローンのテスト飛行を見ていただきました。では、次のビデオに行きましょうか。

②【初心者必見!】ドローン操縦 上達ノウハウ 18:32

嶋貫:初心者さんが「ノーマルモード(Nモード)」から「スポーツモード(Sモード)」に切り替えるタイミングは、どう考えますか?

中村:タイミングは気にすることはありません。「スポーツモード(Sモード)」が特別難しいわけではないので。逆に、「ノーマルモード(Nモード)」が優しいんですよね。「ノーマルモード」しか体験してない状態で、いきなり「スポーツモード」でガンガン飛ばそうとすると、事故を起こします。ノーマルからスポーツに、少しずつ切り替えていく。そして、「スポーツモード」がいかに敏感に動くかを体験していくといいです。

うちの学校では、初級を合格した生徒さんは、自然と「スポーツモード(Sモード)」で飛ばすことが多いです。「外で早く飛ばそうと思うと、ノーマルモードでは動きがついてこなくて」と言って、自分でスポーツモードの意味に気がつく人がいます。そういう気づきは非常に大事ですよね。

生徒さんは、練習しているといろいろなことに気づきます。例えば旋回。なぜ旋回をするのか、その原理が分かってくると、ラダーが遅いことで旋回がしづらいなとか、エルロンが入らなすぎると旋回がしづらいなとか、自然と覚えます。そういう気づきが大事です。

嶋貫:私も生徒さんに教えている経験から、「スポーツモード(Sモード)」できちんとエルロン旋回ができるかどうかが、上達の一つの基準になるなと感じています。

中村:そうですね。

嶋貫:ノーマルでは普通に飛ばせていたのに、「スポーツモード(Sモード)」では旋回が膨らんでしまうなどは、エルロンが一つのポイントになります。

中村:そうだね。エルロンを入れないと遠心力で膨らむ。これ、今日の講習中も話しましたが、「Mavic Mini」や「DJI Mini2」は気圧センサーが入っていて、その場でエレベーターを目一杯ダウンにしても、高さをキープしながら前進してしまいます。その状態でスロットルを上げていくと、前のめりになり、ラダーを回すことで方向が変わるから、無理やりラダー旋回みたいなかたちになりがちです。そこを、きちんとエルロンを入れることによって、きれいな旋回ができる。「スポーツモード(Sモード)」できれいに旋回するには、エルロンをしっかり使えなければなりません。それで、慣れてきた生徒さんには、スポーツモードでも練習してくださいと言っています。

嶋貫:「ノーマルモード(Nモード)」だけでの練習は、機体の持っている能力を100%発揮できないですよね。100%近くまで発揮しないとできない仕事もあります。そのための練習ができるのが「スポーツモード(Sモード)」、と捉えてもらえたらいいのかなと。

中村:そうですね。「スポーツモード(Sモード)」は、その機体が持っている最終的なポテンシャルが出せます。もちろん、スポーツモードで自由自在に飛ばせたからといって、それだけで仕事をするわけではありません。3つのモード、「ノーマルモード(Nモード)」「スポーツモード(Sモード)」「シネマモード(Cモード)」がありますよね。これらを、仕事では撮影の対象物や仕事内容に合わせて使い分けます。なので、例えば普段の練習はスポーツモードでやって、身についた技術をノーマルモードやシネマモードに応用できればいいですね。

嶋貫:各モードの特徴を使い分けられるようにテクニックを磨くわけですね。

中村:そう、自分で思っているように撮影するには、各モードのことを分かっていないといけません。モードを使い分けるのもプロのテクニックですからね。今度、うちの生徒さん向けに撮影会のイベントをやりますが、そこでもモードを使い分けながら飛ばしてもらいます。どう使いこなすかは、それぞれのパイロットさんの考え方次第です。

ところでビデオを見ていて、どうです?

嶋貫:そうですね。エルロンを使えるか使えないかがポイントだなと。「スポーツモード(Sモード)」は、スピードが出る分、旋回が大回りになりがちです。まずはエルロン旋回をマスターしてほしいですね。

中村:今ちょっと思いつきました。「スポーツモード(Sモード)」での、もっとも難しい練習をです。スポーツモードで、いかにゆっくり機体を動かし、撮影するか。これ面白いかもしれない。スティックを繊細に動かさないといけませんから。スポーツモードでゆーっくりの旋回をする。

嶋貫:なるほど、ノーマルやシネマでは、「スポーツモード(Sモード)」のような飛び方はできません。なので、スポーツモードを使いこなせれば、他のモードに応用できます。そのための、すごい練習になりますね。

嶋貫:マルチコプターに比べると、ラジコンヘリコプターの運動性は高いですよね。自由度が上がるので、その分操縦が難しくなる。

中村:そうですね。うちのスクールでなぜラジコンヘリを練習するのかと言うと、エルロンの使い方を覚えられるからです。エルロンの重要性は、マルチコプターだけしかやっていないとなかなか分かりません。ヘリを使う一番の目的は、エルロンを使った飛行練習をするためです。

エルロンの練習は、マルチコプターよりもヘリのほうがしっかり身につきます。もちろん、ラダー旋回が悪いわけではありません。しかし、プロになるには飛行バリエーションを増やさないといけません。ラダー旋回以外に、エルロン旋回を覚える。それには、ヘリが一番の近道です。

ビデオでは、かなりの勢いでラジコンヘリをとばしていました。実際、気持ちがいいです。マイクロドローンも気持ちがいいですけど、飛行表現が少ない。もちろん、ATTI系のセンサーが何も入っていない機体をアクロバティック的に飛ばすのも、マルチコプターの面白さです。ただ、ヘリはまた、全然感覚が違います。

嶋貫:マルチコプターから入った人は、ラダーが比較的ラフになりがちですね。私もラジコンヘリコプターを練習してから、ラダーの操作が繊細になりました。繊細なラダーの使い方で、機体の動きが変わります。そういう意味では、マルチコプターから入った人のテクニックを、さらにワンランク上げてくれるのがラジコンヘリですね。

中村:そうですね。ラジコンヘリを練習して、最終的にはマルチコプターの飛ばし方にバリエーションを増やして、他のドローンパイロットにはできないようなテクニックで飛ばしてもらいたい。そういうことを、生徒さんは猛練習していますからね。

③生徒の操縦フィードバック動画を公開 40:42

中村:最初の生徒の堀内さんは、初級の講習以来、外で「DJI Mini2」を初めて飛ばしました。旋回に苦労していますよね。マルチコプターでラダー旋回をしていて、遠心力に負けてどんどん外にいってしまう。それをラダーでごまかそうとすると、くるくると内側に巻き込んでしまいます。なので、徐々にエルロン旋回ができるようになるのがいいですね。

嶋貫:初心者さんが、初めて屋外で飛ばすときの注意点は何でしょうか?

中村:最初は、なるべく風のない日に飛ばしたほうがいいですね。風があると飛行が乱れ、集中して練習ができない。できれば最初は、風のない日に外で練習したほうがいいです。もちろんその後、風のある日にも練習しないといけませんが。

あとは、広いグラウンドでビューンと飛ばして、指を慣らしていくといいですね。といっても、スピード慣れしてしまうのもダメ。速い速度とゆっくりの速度を使い分けて練習したほうがいいです。

嶋貫:今の機体はものすごく性能がいいですよね。そのような安定して飛ぶ機体を、初めて飛ばすときの注意点は?

中村:そう、風がなければ室内と同じように飛ぶよね。GPSが入っていれば、非常に安定して飛びます。しかし、屋外で無風ということはありえません。いきなり風が吹いてきます。そうなると、機体が上がったり下がったり、横に流れたりと予期せぬ動きをします。それらに対応するには、スティックから指を離さず操縦しなければなりません。自分の指で安定させることが非常に重要です。

よく私が、風の中で機体を飛ばしていると、「なんでそんなに停まっていられるんですか?」と聞かれますが、それは風を読みながら空中でホバリングさせているからです。いくら機体の性能がよくても、最終的には人が制御しなければいけません。性能のよい機体こそ、キレイに飛ばす練習をしないとダメです。

それで、生徒の竹内さんのマイクロドローンの操縦がね。ドカーン、ドカーン、ドカーンと(笑)。この日は竹内さん、「DJI Mini2」をそこそこ操縦できるようになっていたんですよ。「あっドローンいけるじゃん?」って。それで、その後マイクロドローンをやってもらったんですよ。そうしたら、「あれ!? なんで飛ばないの」と。びっくりした顔で操縦していましたよね(笑)。

ビデオに映っている手元を見ていて気づいたと思いますが、送信機のスティックから親指を離していたじゃないですか。よく生徒さんに「指を離さないように」と言うと、「離していないですよ」と返事をすることがあります。しかし、映像はすべてを物語っていますよね(笑)。

今見たビデオは、会員さん向けのサービスで「UAVフィードバック動画」と言いますが、なぜこの「UAVフィードバック動画」をやっているかというと、生徒さんが自分の操縦を客観的に見られるからです。「指を離していた」「機体が飛行ルートからずれていた」といったことです。どこがよくてどこが悪いのかを講師に指摘してもらうことで、自分では分からないことに気づけます。だからやっています。会員の生徒さんたちは、自分の映像を何度も見て反省していると言っていました。

嶋貫:すごいサービスですよね。これ、私が数年前に習っていたときにあったらどれだけよかったか(笑)。実際、インストラクターとして生徒さんを教えているときも、こういう動画を見ながら説明できるのはすごくいいです。普段そばについて教えていても、細かいところまで見られないことがあります。それが、機体の飛び方やスティックの動きまで見られるのは、なかなかないですよね。

中村:確かに、スティックの動かし方や指の置き方で、最終的に機体の飛び方は左右されるからね。うちで「UAVフィードバック動画」をやっているのは、生徒さんに「変な癖」をつけてもらいたくないからです。よく、うちの講習を申し込まれた方から、講習日まで時間が空く場合は、「先に機体を送ってもらって、うちで練習してもいいですか?」と聞かれることがありますが、全部断っています。なぜなら、一回ちゃんと習ってから飛ばしてもらわないと、変な癖がつくことが多いからです。癖がつくと、後から直すのが大変です。スポーツの世界でもそうですよね。「型」というのが大事。型を固めておかないと、そのあといくら練習してもうまくなりません。

嶋貫:私が生徒さんに教えていても、その人の癖が意外と出ていたりします。機体の飛び方を見て「なんかおかしいな」と思ったときにスティック操作や送信機の持ち方を見ると、きれいなフォームではないときがあります。こうした癖に、本人が気づけるかどうかが大事ですよね。基本姿勢が大事です。

中村:そう、「なんできれいにラダーが入らないんだろう」と思って生徒さんの手元を見ると、スティックをグイっと押していたり、送信機の持ち方が雑になってたりします。ビデオでも、あれだけ指をスティックから離していたら、飛ぶものも飛ばないしね。それが証拠として残っているわけです(笑)。

でも、今のマイクロドローンは、嶋貫さんが習っていた頃に比べたら、性能が上がっているよね。非常によく飛びます。練習機にピッタリなんですよ。いいですよね、今の人たちは(笑)。

マイクロドローンもそうですが、「Mavic Mini」や「DJI Mini2」など、今のマルチコプターも非常に性能がいいので、安定して飛びます。そのため、練習がおろそかになりがちです。こうしたマルチコプターの練習はあまりやらなくてもいいだろう、と考えている生徒さんもいます。

しかし、性能がいいからこそ、より繊細で正確に飛ばせるよう、練習しなければなりません。うちではフラフープを使って練習しますが、フラフープにぶつけているうちはまだまだです。ぶつけているということは、飛行コースを外れているということですから。それを、バッテリーを1本使い切るまで、フラフープに当てずに安定して飛ばせなければいけない。プロとは、そういうレベルですからね。それができないのに練習をしないのは、舐めてますよね(笑)。

それで、生徒さんに「なんであまり「Mavic Mini」や「DJI Mini2」の練習をしないの?」と聞いたら、「だいたい動かし方が分かったから」「飛ばせるようになったから」と言います。それで、「じゃあ、みんなこれができるんだね?」と言って、被写体を中心にしてカメラを回しながら撮影する「ノーズ・イン・サークル」や「ポイント・オブ・インタレスト」という飛ばし方をしたら、「いや、できないっす!」と(笑)。

「DJI Mini2」を、ビデオの最後の映像で、生徒の小松さんが飛ばしていましたね。初級を合格した後の操縦です。最初なのに、すごく慎重でキレイに飛ばしていました。こういう姿勢がいいです。それを、慣れてきたらラフに飛ばしてしまうと、ラフに飛ばす癖がついてしまいます。正確に飛ぶ機体だからこそ、より正確に飛ばす練習が必要です。

嶋貫:ドローンは、飛ばし方の幅が広いです。でも、機体の性能を100%発揮する、正確に仕事をするとなると、また話が違いますよね。

中村:正確に業務をこなすことが仕事では大事になりますからね。格好良く飛ばせればいいわけではない。いい結果が出る正確な飛行が求められます。だからこそ、たまにうちの店に来て、「UAVフィードバック動画」を撮って、変な癖がつかないようにしないといけません。

嶋貫:この「UAVフィードバック動画」を続けていくことによって、自分がどう成長していくかも映像で分かりますね。家で自主練をしていると、自分がやっていることがプロから見て合っているのかどうか分からないことがあります。フィードバックがあると、それが基準になります。方向を示してくれますね。ビフォー・アフターが分かります。

④「中級技能検定」合格者の上達ビフォー・アフター 1:07:27

中村:今見たビデオは、うちのドローンスクールの「中級技能検定」に受かった2人と対談したものですね。2人とも、4ヶ月ほど練習をして、中級に受かりました。みんな練習量がすごいんですよ。

嶋貫:三浦さんの試験の動画を見ていると、一見、機体がフラフラしているじゃないかと思うかもしれませんが、そうではないんですよね。ノンGPSで強風の中で、あれだけの操縦ができるというのは、かなりの腕が必要ですから。

中村:しかも気圧センサーが入っているとはいえ、重量のある機体をあの風の中、あれだけ制御できるというのはすごい。機体を制御できないと、必ず墜落させてしまうレベルですからね。

みんな短期間でうまくなっています。渡辺さんも、「Dji Mini2」のアームを折ったし、マイクロドローンは何回修理したんだろうってほど練習しています。

それで、渡辺さんは、もうすぐに仕事デビューをします。イベント会社の社長なので、サービス内容にドローン空撮を加えていくということです。国土交通省の飛行許可も、私がお手伝いし、すでに取得済みです。仕事で使う機体は、「DJI Mavic 2 ZOOM」ですね。そこで、最近ではこの機体を使った、よい映像の撮り方などもお教えしています。また、渡辺さんは3本ほど仕事が決まっているのですが、そのすべての現場に私がついていき、見落としがないか、スタッフの準備はバッチリか、フライトプランは完璧かなど、手取り足取りサポートします。これも会員さんへのサービスです。これでよい結果を出してもらえたら、私も嬉しいですね。

嶋貫:実際、仕事で飛ばすとなると、技術面以外のことがものすごく重要になります。私もこの間、空撮を頼まれたことがあって、そのつど中村さんに相談していました。飛ばす場所や環境、どういった内容のイベントなのかなど、すべて報告しました。こうした監督が必要だなと感じています。現場で直接サポートしてもらえるのは、生徒さんも心強いでしょうね。

⑤「ドローン事故事例勉強会」で事故を予防 1:23:05

中村:国土交通省のホームページに掲載されている「ドローンの事故事例」を3つほど見ました。実際のオンラインセミナーでは、もっとたくさん見ましたが、この「UAV通信」では3つをダイジェスト的に取り上げました。どうでしたか?

嶋貫:これだけだと詳しい状況が分からないこともありますが、リスクマネジメントとしての学びはありますね。実際に飛ばす前に潰せる問題は潰しておかなければならない、その重要性を改めて感じました。今見たのは基本中の基本ですが、気をつけなければならない大事なことでした。

中村:そうですね。この3例の中に「機体が原因の事故」はない印象でした。もちろん事故例の中には、機体が原因ということもあります。しかし、ほとんどの原因は人にあります。経験不足や知識不足です。

こうした事故事例を見ていると、私も含めて、日本のドローンパイロットはもっと学ばなければならない、と痛感しますね。もちろん具体的な状況が分からないので、偉そうなことは言えませんが。それでも事故事例の報告を読む限り、多くの事故はパイロットが原因ということが読み取れます。

嶋貫:私たちも、たまたま今まで墜落や事故を起こしていないだけです。気をつけないといけませんね。

中村:ええ、私もよくダムの撮影をしますが、ダムほど危険な場所はありません。よくダムは広くて飛ばしやすいと勘違いされますが、とんでもないです。ダムは、よく突風が吹きます。この間も、強い突風にあいました。そのときは、機体をホバリングさせて風に耐えていましたが、機体は30度くらい傾いた状態でした。こういうときは、慌てずに風と反対側に打を入れて、風がおさまるまで耐えます。エルロンを半分くらい入れておかないと停まりません。もしニュートラルにしちゃうと、さーっと流されてしまいます。突風にあっても、きちんと操縦すれば風速10mくらいでもちゃんと帰ってこれます。GPSも、当たり前のように切れます。また、操縦電波がバーンと切れることはしょっちゅうあります。現場では、いろいろな外的要因があります。

嶋貫:私も、練習中でもヒヤッとしたことは数え切れないくらいあります。そう考えると、ノンGPSでどれだけ練習をするかが大事ですね。そのためには、マイクロドローンを自由自在に飛ばせるといい。そういう練習が仕事に活きてきます。

中村:そう。別の他のドローンスクールさんをどうこう言うわけじゃないですが、スクールをやるならちゃんと教えてほしいんですよ。「簡単だ」「すぐに飛ばせます」じゃなくて。いかに仕事で飛ばすことが難しく、危険なことかを教えてほしい。ただ、そうした経験がないインストラクターには教えられないわけです。そこが問題です。でも、スクールをやっているのであれば、事故を起こさないようなパイロットさんを輩出してもらいたいものです。そんなスクールさんがあれば、私もいくらでも人に紹介しますが、勧められる学校がないんですよ(苦笑)。

スクールを名乗っている以上、責任を持って生徒を育ててほしいです。もちろん、事故を100%防げるわけではありません。しかし、事故を予防できるパイロットさんを育てていかないと、今後がちょっと怖いですよね。

嶋貫:規制がどんどん厳しくなって、プロが仕事しづらくなります。

エンディングトーク 1:46:20

今日は、5つのテーマで話してきました。
①大型ドローンのテスト飛行の裏話
②【初心者必見!】ドローン操縦 上達ノウハウ
③生徒のドローン操縦「フィードバック動画」を公開
④「中級技能検定」合格者の上達ビフォー・アフター
⑤「ドローン事故事例勉強会(ダイジェスト版)」で事故を予防
いかがでしたでしょうか?

今後も定期的に「UAV通信」を配信していきます。安全に飛ばせるコツや練習方法、仕事で安定して稼げる情報など、お役に立つ情報をお伝えしますので、今後ともよろしくお願いします。

それでは、嶋貫さんもありがとうございました。お疲れさまでした。ではみなさん、また次回お会いしましょう。