今回のUAV通信、テーマは「ドローンの練習を長く安定して続ける環境」です。

中村:最近、当ドローンスクールの練習場所が変わりました。前は店舗の中と近くの空き地でドローンの操縦練習をしていました。今回から、体育館をまるまる使ってやっています。天候を気にせず練習できるようになりました。

嶋貫:やはり、空間が広いのが一番のポイントですね。今までだと、どうしても高さや横の制限がありました。今使っている体育館ですと、機体の限界まで操作ができます。使っている機体の性能を把握するにも、ちょうどいいです。

中村:室内なので風がないため、機体の限界まで飛ばせますね。ただ、逆に風があまり入ってこないので、風の影響をなかなか体験でいません。でも、それに関しては、体育館だけでなく外の練習場所もあるので、そちらを使えばいいです。

とはいえ外のフィールドは、今までのものよりも難しい地形です。川だったり山だったり滝だったりといろいろあります。そこで飛ばすには、体育館で腕を上げてからじゃないといけません。墜落させる危険性があります。ゆくゆくはそういうところで練習してもらいます。

まずは、体育館での練習時に、映画撮影で使うようなでかい送風機を入れてやろうかと考えました(笑)。そこまでしなくても、窓を全開にすれば、風は適度に入ってきます。それなら無風ではない状態が作れます。

無風のときは、機体の飛行の限界値を見たり、ガンガン飛ばすには最適です。今、自分も楽しくなって、けっこうガンガン飛ばしています。うちの練習で使っているマイクロヘリコプター、その限界値までぶん回してね。普段とは違う音を立てて飛んでいます。そういうことができます。

今までの室内の練習場では、奥行きや高さを意識した練習がしにくかったことがありました。そのため、新しい練習場所では、生徒さん、機体と距離が離れる難しさを感じてますね。高さの把握とか。練習環境として、すごくいいと思います。

ここ9月、10月は雨が多かったんですよね。でも、予定を変えることなく練習もできています。この練習環境は、自分も非常に気に入っています。生徒さんからも好評でした。これからもっともっとね、楽しい……というか厳しい練習をやっていきます(笑)。

ディレクター:嶋貫さんの修行時代は、厳しい環境で練習をしていたのだとか?

嶋貫:やっていました。

中村:風速3メートル以下の日がないようなところでした。場合によっては、ホバリングしているのに機体が斜めになっているような。

嶋貫:そうですね。特殊な環境でした。下からの吹上があったんですよ。なかなか他にはない環境でした。あとは、自分より下の低い位置に着陸させたりする練習ができました。自分の目線より低い位置で飛ばすという。

中村:そういう練習が、この体育館だったらできるよね。体育館の2階から下に向かって飛ばす練習ができます。そう、例えば被災地で飛ばすときは、上だけじゃないんですよ。自分よりも下を飛ばすときがあります。あと、山だと滑落現場とか崩落現場は、自分がいる位置より遥か下を飛ばすときがあります。

嶋貫:体育館の2階を歩いたときに、見下ろしながらの練習ができるなと。

中村:そう、見下ろしながら飛ばすことは普段あまりないですが、現場に行くとよくあります。一昨年も、台風19号の後の土砂崩れ現場がそうでした。あと、台風で川がえぐられて、その上の建物がいつ崩れるか分からないような現場を調査するときもそうでした。自分たちがいるところから下を見ていると、高さが把握しづらいんですよ。機体は下の川と同じところにあるので。だからこそ、普段からそういう練習をするのは大切ですね。まあ、そういう現場で飛ばせるパイロットさんがね、早く育ってくれればいいな。そうなれば、自分も危険な仕事現場に行かなくて済むんですけどね(笑)。

嶋貫さんがドローンの練習をしていたところは、けっこう過酷な環境でした。でも、今なら体育館でもそういう練習ができます。全天候型だし。ぜひ皆さんも、そういうところで練習してください。

しかし、ただ練習するだけじゃスキルは上がりません。なので、より上達できる練習ができるように、私たちもいろいろな策を考えます。例えば、あえて真冬は寒いままでやるとか。凍えそうなときにどう操縦するか。それ肝心ですよね。

嶋貫:重要ですね(笑)。当時やっていたフィールドは、夏は暑く冬は寒い。外だから当たり前ですけど。

中村:体育館でも、年中窓を開けっ放しにするとか。そういう中でいかに飛ばすか。自分で工夫しなくちゃいけない。

嶋貫:基本は外での練習ですからね。

中村:そうですね。これから室内の点検の仕事も増えてくるでしょうが、ドローンを飛ばすのは、基本は外なのでね。私たちでいろいろなアイデアを用意しますので、それに耐えて練習してもらえたらいいかなと。あえて夏はストーブを置いてみたり。あえて冬は寒い冷気を入れてみたり。私は-12℃くらいで飛ばしたことがありますが、まともには飛びませんでした。秩父地方の大滝というところでやりましたが(笑)。

2人でいろいろと練習メニューを企みますので、皆さん頑張ってください(笑)。ぜひ新しい練習場所を活用してみてください。