当ドローンスクールで学ぶ生徒さん2人と、「ドローン」について、以下のことをテーマに雑談しました。
・マルチコプター(ドローン)
・ドローンレース
・ラジコンのヘリコプター、飛行機
・FPV
・バッテリーの消耗
・GPSや気圧センサー
・背景と機体が同化したときの対処方法
・仕事で産業用のマルチコプターを飛ばすならヘリや飛行機をやらなくちゃダメな理由
・なぜ外でプロペラガードをつけてはいけないのか?
・近日中に「MAVIC MINI」の200gなんかに国が規制をかけるかもしれない
――お二人は、なぜマルチコプター(ドローン)に興味を持ちましたか?
中村一徳(以下イットク):今日は、生徒さんが2人来ています。インタビューさんに質問してもらいながら、みんなでマルチコプター(ドローン)について雑談をしていきます!
戸田:撮影ができるからです
高山:安定していて飛ばしやすいからですね
イットク:2人がマルチコプターの世界に入ってきたきっかけは、ドローンレースからだね。撮影もそうだけど、レースは迫力がある。空飛ぶレースだから、撮影とは違う。もともとはラジコンのヘリコプターをやってて。だから、マルチコプターはすぐに飛ばせるようになった。それで、レースもそうだけど、面白そうなんでっていって空撮も始めたんだよね。
高山:やってみようかなって
イットク:だから、一般的には、始める順番が違うかもしれない
――イットクさんと出会ったきっかけは?
イットク:10年くらい前に、私が千葉の稲毛でお店をやっていたんです。そこに、2人がラジコンカーをやりに来た。それがきっかけです。店は500坪ほどあって広くて、1/10のラジコンカーのサーキットがありました。それもバックストレートが20m以上あるような大きなコースです。他にも、今のお店(埼玉県秩父郡横瀬町)くらいの広さのフライトエリアがありました。そこでラジコンのヘリコプターを教えていたんです。その姿を見て、2人もやってみたいってことでヘリを始めたんだよね。だから、最初の出会いは空を飛ばすものじゃなくて、ラジコンカーだった。
――それから2人は、イットクさんに操縦の仕方を教えてもらったわけですね。イットクさんの教え方はどうでしたか?
戸田:わかりやすいと思います。といっても、自分は他の人からは教わってないのでわからないですけど。
イットク:私が心がけているのは、口でいうだけじゃなく、そのとおりの飛ばし方を目の前で見せています。そうすれば一目瞭然ですよね。こう飛ぶようにやってみてくださいって。
戸田:練習方法もこうやったほうがいいよとか、そういうアドバイスをしてもらいました。
イットク:でも、ドローンスクールって、一回選んじゃうとそこでずーっとやるから、いろいろなスクールを体験してる人ってあんまりいないだろね。
戸田:はい、他のドローンスクールは行ったことがないのでわかりませんね。車のサーキットはあっちこっちの店に行ったけど、飛ばすものは他に行ったことがないです。マルチコプターだと、そんなに機体の調整がいらない。ヘリだと調整もあるから、なかなかよそでやるのは難しいですよね。調整されてないと、飛ぶもんも飛ばないし。
イットク:マルチはね、誰がやっても飛んじゃうといえば飛んじゃうからね。飛び始めたら、ヘリと同じように飛んでいるから、落ちるリスクはある。簡単だから安定してるから安全だということではない。
――イットクさんの人柄はどうですか?
一同:笑
戸田:難しい質問だな(笑)。まあね、付き合いが長いからね。
イットク:フリークス(変な人)だよね。フリークです。
戸田:まあ、人柄が悪ければここまで一緒にいない。
イットク:そうだよね。もう10年くらいになる。
戸田:だいたいイットクさんだったからこそ、こんだけ何でもかんでもやるようになっちゃったんだよね(笑)
イットク:ようはさ、何でも楽しくやらないと意味がないじゃん。もちろん不真面目にやるということじゃなくて。私自身がいつも楽しくやっていれば、みんなも惹きつけられる。サーキットとかフライトエリアを経営しているのに、その経営者が一番楽しんでいるからね(笑)
――さっきもイットクさん、誰よりも楽しんでやってましたね
高山:店員がギャーギャー言いながら飛ばしてた(笑)
戸田:コース休みにして、自分だけどっかでエンジンカー走らせに行ってたこともあった。
高山:ラジコンだけじゃないもんね。スノーモービルとか。
イットク:スノーモービル(笑)。実は私、ヤマハのスノーモービルのプロインストラクターもやっているんですよ。
一同:笑
イットク:スノーモービルでもね。山のなかで走る楽しみを、みんなに伝えているんです。
――イットクさんは、10年前から変わっていないんですね?
戸田:変わってない。
高山:変わってない。いる場所が転々としただけで、まったく変わってない。
――イットクさんの、ドローンに関する考え方はどうですか?
戸田:普通というか正解というか。
イットク:最初から、「危ないからね」「簡単じゃないよ」って、ずっと言ってるからね。マルチコプターも本当にうまくなりたかったら、絶対ヘリをやらなくちゃダメ。もうね、やってる人とやってない人じゃ全然技術が違う。ヘリをやらずに、マルチコプターだけでヘリのような飛ばし方をしようと思っても、だぶん無理だと思うんだよね。本当にマルチをうまくなりたい人は、ぜひヘリをやるべき。2人はどう思います?
戸田:今のヘリはけっこう性能がいいからね。
イットク:そうそう、2人が始めたときよりも今のヘリは安定してるから。やっぱり安定すると機械に頼っちゃう。そうすると、いざというとき機械に頼らず飛ばせなくなる。ヘリを練習しとかないと、いざというときやっぱり大変だよね。
高山:山登るの辛いんですよ(苦笑)
イットク:そうそう、山に墜落させてね。一緒に取りに行ったよね(笑)
戸田:DJIだったら大丈夫かもしれないけど。バッテリーの扱い方なんかは、初めての人には難しいかもわかんない。
イットク:本当、よく燃えるんだよね。バッテリーの使い方もきちんとやらないと。DJIの機体だけ飛ばすならいいかもしれないけど。プロはいろいろな機体を飛ばさなくちゃならない。それで、今度うちも練習用に大きめの機体を準備しようかなって。マルチコプターを使う仕事って、大きい機体が必要なときもあるから。DJIだけじゃない。もちろん、DJIでも「S800」「S900」「S1000」「MATRICE」なんかの大きい機体はあるけど。
戸田:産業用だね。
イットク:産業用を目指す人は、普段から大きいマルチコプターでやったりヘリコプターや飛行機をやったりがいい。今度、横瀬グランドが使えるので、ぜひ2人も飛行機を!
生徒2人:笑
戸田:飛行機はホバリングしないから難しい(苦笑)
イットク:飛行機もやると、さらに技術がグレードアップします。でも、ヘリだけでも、マルチをうまくなりたいならぜひやるべきだよね。
生徒2人:(うなずく)
高山:だと思う。ヘリからやっちゃったからわからないけど。
イットク:ヘリからやってるから、マルチでもいろいろな飛ばし方ができるんだよね。
――お二人は飛ばしていて、「ヒヤッ」としたことはありますか?
高山:どっかいっちゃったことがあるよ。山の中に墜落して(笑)。ただ、人にぶつかりそうとかいうことはまだない。ちゃんと周りの人が危ないよって言ってくれる環境で飛ばしているから。
イットク:ただ、無茶な練習をするときは、人のいないところでやるよね。
生徒2人:そうだね(笑)
戸田:機体が、自分に向かってくるってことはあるけどね(笑)
そうそう俺ね一回、ヘリを自分の後頭部にぶつけたことがある(笑)。稲毛のインドアのフライトエリアで、小さいサイズのヘリを飛ばしたとき。ものすごいスピードで旋回したら、自分の横を抜けて行って。まあいいかと思って。そのまま後ろで旋回させよう操縦していて、ふっと横みたら、あれヘリがいない。どこいったんだろうと思ってたら、そのまま急旋回して後頭部にドカッと!
一同:(笑)
イットク:怪我はなかったけど。小さいヘリだったからね。発泡スチロールのローターなので、当たっても絶対切れない。だから、練習機は安全なものを使わないと、怪我しちゃったりする。発泡スチロールのローターは、いくら腕とかに当たっても、切れることがない。
戸田:ちょっと痛いくらい
イットク:ちょっと痛いくらい(笑)。ただ、大きい機体だと、怖い話、腕の1本や2本切れちゃうからね。気をつけないと。マルチだってね、大型のローターは指くらい飛んじゃうからね。もし頸動脈に当たれば、首だって切れちゃうから。
あと、よく外でガードをつけている人がいるけど、外でガードを着けちゃうとそこに風が当たって危ないんだよね。外ではガードをつけないのが基本です。だからこそ、気をつけて飛ばさないと、ローターが直に当たっちゃう。そういう怖さがある。
戸田:まず、緊急時の対応を考えておいて、それから飛ばさないといけない。
イットク:本当にね。ヘリからやればその怖さもわかる。
戸田:ヘリは、なんかあれば落とすしかない(笑)
――イットクさんの人としての魅力はどうですか?
高山:どうなんだろ(笑)そういうことを考えたことがない。
戸田:遊びの天才だよね。
イットク:遊んでいるなかで使っている技術が、仕事に活きてくるわけだから。真剣に遊ばないと技術は磨けないよね。自分がやっている仕事はすべて遊びの延長。別にドローンの仕事を遊びでやっているわけじゃないけど。どんな現場に行っても、前回よりはいい撮影するぞ、前回よりももっといい結果を出すぞとか。毎日少しでもいい結果が出るように飛ばしてる。そうやって、毎日真剣に飛ばして遊んでます(笑)
戸田:まあ、(一緒にいて)居心地がいいんだよね(笑)
――イットクさんは、どんな人にオススメですか?
戸田:本気で飛ばしたい人ですね。
高山:楽しみたい人に来てもらえればいいかな。
イットク:チャラいのはだめだよね
一同:(笑)
戸田:千葉のお店のとき、出禁になった人が何人もいたよね(笑)
イットク:だってね。真剣に遊ぶにしても仕事するにしても、まじめにやらないとね。まじめに遊んでまじめに仕事する。チャラく遊んじゃうとね。
高山:事故のもと。
イットク:そう。チャラいと事故のもとになる。自分は、いろいろな仕事をやってきたなかで、まだ一度も機体を落としたことがない。もちろん練習ではたまーに落とすことはあるけど。でも、今後はわからないけどね。仕事でも落とす可能性は十分ある。まだそんな危ない目にあったことはないけど。
ただ、一回、紅葉の撮影で、危なかったわけじゃないけど困ったことが起きたんだよね。奥深い山の中で紅葉を撮影していて。紅葉だから赤、黄色、緑、全部の色があるなかをずーっと撮影しているときに、今どういう感じで動画が撮れているのかなって、機体から画面に目を移して。ああこういう構図ねって。それでふっと機体に目線を移したら、もうどこにあるかわからなくなっちゃった(笑)。これ結構あるあるなんですよね。背景を機体が同化しちゃって、わからなくなる。「やばい! どこだ」と思って。これ、もう言っちゃっていいと思うんですけど、そのときは、周りに関係者がいたので、まさか機体を見失ったとか言えなかったよね(笑)。
実は、そういうときの対処方法があります。ここで特別にお話します。機体を見失ったときは、一番広いところに逃げるんですよ。2人も練習中、私に言われたと思うんだけど、機体を見失ったときは「機体を空に上げろーー!」って言うんですよ。「上あげて上あげて!」って。そうすると、山の稜線から機体が出て、雲がバックになるので、機体がどこかすぐわかるんですよ。とにかく真上にあげる。そうすると、稜線からポコッて機体が出てくる。ああ、「あそこだあそこだ!」って。
見失うと、だいたいどうしようと思っているうちに時間がきて、「GO HOME」(機体が自動で操縦者の元に帰ってくる機能)がかかったりして。何も障害物がなければいいけど、もしあると事故になっちゃったりする。とにかく、すぐに機体を見つけたければ、一回山の稜線に上げること。オレのときは、機体がわからなくなったときでも、普通に操縦しているふりをして、スーッと空に上げた。そしたら、自分が思っていたよりはるかにずれていた。でも何食わぬ顔をして撮影を続けてた(笑)
戸田:モニターを気にしているとね。ふっと顔を上げたとき、「あれ?」みたいな。「さっきまでそこにいたはずなのに!」って。意外と風で流されていたりする
イットク:バックが雲じゃなかったり空じゃないところを飛ばすときは、さらに気をつけないといけない。とくに紅葉のときは、いろいろな色があるから。自分の機体も(カラーシールを貼って)目立つようにはしていたんだけど、逆にそれがあだになっちゃった(笑)
高山:あるある。
イットク:あるあるだよね(笑)
――イットクさんの教え方は厳しいですか?
高山:厳しいというか……。
戸田:俺らは遊びの延長で教えてもらってるからなぁ。
イットク:うちのドローンスクールだと、例えばエルロン旋回をガンガンやってもらったり、八の字をガンガンやってもらったりするけど、もし失敗して変な方へバーンって飛んで行っても、「あっ、飛んでっちゃったねーあはははは(笑)」なんて言ってる。「じゃ、次行ってみよう」って。ガチガチに緊張しながら練習すると、うまくなるものもならないから。安全を確保したなかで、できる限り楽しんで練習しないといけない。
むしろ、失敗しないとうまくならない。マルチコプターはなかなか落ちないけど、昔のヘリは簡単に落ちた。何回落としてきたか。落としてなんぼだから。別に落とせって言うわけじゃないけど、落ちるような感じで練習しないとうまくならない。
高山:何回おとしたことか(笑)。
イットク:機体の限界を知ることって大事だからね。そうじゃないと、機体の最高速度がわからない。どれくらいの風に耐えられるかわからない。いろいろわかってないと、今は飛ばせるか飛ばせないかの判断もできない。だから、仕事じゃないときに、広いトレーニングエリアで思いっきり飛ばして、その機体の限界を知ることが大事です。バー―っと速度全開で飛ばして、フルブレーキをかけて、どれくらいの距離で停まるかとかね。
――お二人は、操縦を失敗したことはありますか?
高山:山の中に突っ込んじゃったことがあります(笑)
イットク:そのときはGPSが入らない機体を使ってたんだよね。もちろん気圧センサーもないから、高さを自分で調整しなければいけない。レースドローンでね。レースドローンは、だいだいFPVでやったり、目で見える範囲を飛ばすものだけど。そのときは、すっげー高さまで飛ばしたんだよね。
高山:上がっちゃった。上昇気流に乗っちゃって(笑)
イットク:そうしたら、「イットクさん。はい!」とかいって、いきなりオレに送信機を渡してくるんだよ(笑)。で、あわてて上見たら、もう機体がどこにあるかわからない。「ムリムリ! わかんないわかんない!」とか言ってるうちに、「あっ、落ちた……」ってなって(笑)
一同:(笑)
イットク:みんなね、対処できなくなるといきなりオレに送信機を渡すんだよ(笑)。あのときは上昇気流がすごい吹いてたね。上昇気流に入っちゃうと、降ろそうと思っても降りてこなくなっちゃう。実は、そういうときは、機体を旋回させながら降ろしてくるんだよね。でも、それってなかなかできないことなんで。DJIの気圧センサーが入っている機体でも、上昇気流に入っちゃうと、ダーッて上がってっちゃうから。
戸田さんは、ヘリをやることが多かったから、そっちでね、おっとっとみたいなことがあったよね。
戸田:そうですね。
イットク:ヘリの450は飛ばすの緊張するよね。
戸田:450はさすがに。カーボンローターだし。大きいから。
高山:オレはムリムリ。怖い怖い。
イットク:あれは緊張する。
――今後、お二人はどんなパイロットになりたいですか?
戸田:動画撮影はいろいろやってみたいなと思っているんですよ。そのために、練習はしておかないと。
イットク:戸田さんは、定年退職したらうちのインストラクターになるみたいです。
一同:(笑)
高山:FPVがやりたいな。
戸田:FPVは酔いそうだからなぁ(笑)
イットク:でもね、これからFPVを使った仕事がどんどん出てくる。FPVって、専門用語になっちゃうんだけど、マルチコプターのカメラの映像を直にゴーグルで見ながら、その映像だけで飛ばすものです。自分も、砂防ダムではその方法で点検しています。そうしないと、人が入っていけないところでは機体が見えなくなってしまうんですよ。今後、そういう仕事がどんどん増えていきます。なので、FPVができる人が重宝がられる時代がすぐ来るはずです。これも、かなり練習しないとできないです。
今度、FPVではありませんが、気圧センサーやGPSがまったく入っていない機体を飛ばすための講習会をやります。そういうのに、2人にも参加してもらいながら……将来はうちのインストラクターになってもらうという(笑)
戸田:(笑)
高山:荷が重い(笑)
ラジコンのヘリが飛ばせないとドローンパイロットじゃない?
イットク:今、世の中ではマルチコプターのことをドローンドローンって言ってるけど、結局ラジコンのヘリコプターもドローンじゃん。だから、ヘリを飛ばせなかったら、ドローンパイロットじゃないじゃん? それで、ヘリってむちゃくちゃ難しいでしょう。
高山:難しい! どっか飛んでいっちゃう。だからドローン(どろん)っていう(笑)
一同:笑
イットク:最初、2人はうちのお店でラジコンカーで遊んでいて。となりのフライトエリアでヘリが飛んでいるのを見て、楽しそうに思って始めたんだよね。
高山:でっかいのからちっさいのまで飛んでた。
イットク:でも、オレらが簡単そうに飛ばしているのを見ていて、実際にやってみたら難しかったでしょ?
戸田:かなり
一同:笑
イットク:そう。そこなんだよね。今、マルチコプターをやっている人で、ヘリが飛ばせない人が多い。ヘリができる人とできない人では、同じマルチコプターを飛ばすにしても、技術に雲泥の差があるよね。
戸田:そうですよね。
イットク:こういう言い方するとヤバいかもしれないけど、2人だったら、そのへんのインストラクターよりもうまいよね?
高山:いや、比べたことがないからわかんないけど(笑)
イットク:たぶん、うまいと思うんだよなぁ。この間、娘さんを撮ったって言ってたじゃん?
戸田:実際に撮影してみると、画面見ながら、ふと気がつくと機体がどこにいるかわからなくなるときがありますね(笑)。なかなか難しいです。
イットク:そういうのも含めて、ヘリができないとマルチも自由に操縦できないよね。でも、今マルチコプターしか飛ばせない人がいっぱいいるでしょう。その人たちが、ドローンパイロットって名乗っている。
高山:「オートマ限定」ってつけないと(笑)
一同:笑
ラジコンヘリの難しさと習得の必要性
イットク:マルチコプターでも、いかにホバリングさせるのが難しいか、八の字旋回するのが難しいか。それは、2人はヘリをやっているから、よくわかってるじゃん?
生徒2人:うん
2人はヘリから入って、「マルチコプターを始める」となったとき、DJIの機体からじゃなかった。いきなり「レーサードローン」だったよね。
高山:GPSなんてなかった。GPSって何って(笑)
イットク:GPSがなくて、気圧センサーもついてなかった。
戸田:ヘリと変わらない。
イットク:それで、ヘリよりもはるかに簡単だよね。
戸田:へりよりは……まあ簡単(笑)
イットク:それくらいヘリは難しい。でも、2人がいきなりレーサードローンを操縦できたのも、ヘリのテクニックが身についていたから。例えば旋回にしたって、ヘリのテクニックで曲がってるわけじゃない?
高山:うん。
イットク:マルチコプターを自由に飛ばそうと思ったら、ヘリを自由に飛ばせないとできないよね。
戸田:うん。
イットク:エルロン旋回っていう傾かせる旋回だって、マルチコプターしかやったことがない人にはできない。しかも、GPSなしで飛ばせない人にはできない旋回だもんね。
高山:うん。
戸田:撮影するときも、違う難しさがありますよね
イットク:まあね。風を読まなくちゃいけないとか。あと、画角とか。
高山:いろいろな角度を気にしなければいけない。
イットク:大変だよね。GPSなし、気圧センサーなしでかっ飛ばしていると、山の中に突っ込んでいくから(笑)
※高山さんは、機体を山の中に突っ込ませてしまったことがある
一同:笑
イットク:でも仕事でやっていれば、最初はGPSが入っていても、途中でGPSが切れるなんてことは多々あるじゃない。山の中に突っ込ませた後だっけ? DJIの「Spark」買ったの? あれだってね、飛ばしていてGPSが切れるもんね。
高山:うん。
イットク:逆に、レーサードローンをやったあとにDJIの機体を買ったら、つまんなかったでしょう?
戸田:つまんないことはないけど(笑)。むちゃくちゃ楽というか簡単。スピードは出ないからね。
イットク:スピードは出ないし、スティックから手を離せば(自動的に)停まっちゃうし。高さも自動で調整してくれるし。
戸田:風には立ち向かってくれるし。
高山:どっか行っちゃうことがない。
イットク:でもさ、そんなマルチコプターを落としちゃったり無くしちゃうってのは、よっぽどだよね。よっぽど知識がないとか操縦が下手じゃない限り、そうならないはずなんだよ。
高山:バッテリーを使い切っちゃうとか。
イットク:そういうところの知識がないんだろうね。常に私たちは、ピーピー音がなる前に、機体を自分のところへ戻すこと心がけている。そうしないと、ラジコンのヘリや飛行機だったら墜落しちゃうから。いかにDJIのマルチコプターが楽かってことだよね。
高山:楽。
戸田:撮影するにはいいですけどね。これくらい安定していたほうが撮影しやすい。
イットク:現場もね、必ずGPSが入って無風で、視界が良かったらいいけど。それなら、そんなにテクニックはいらない。でもそうじゃないから、それなりのテクニックは持ってないと。あと、動画の撮影はラジコンのヘリや飛行機が飛ばせる人じゃないとできないよね。全然飛ばし方が変わる。
生徒2人:うんうん。
イットク:いろいろなドローンスクールがあるけど、そこで教えているインストラクターさんの動画作品って、あまり見かけないし、その人たちが飛ばしている姿もあんまり見ない。だから、インストラクターさんたちがどういうテクニックを持っているのか、全然わからないんだよね。動画をキレイに取れるインストラクターさんって、少ないのかもしれない。ちょっとしたシーンを撮るとき、それほどスピードが出てなくても操縦って難しいもんね。
戸田:うん。外だと風の影響を受けるし、室内だと障害物があるし。人に当てちゃいけないしね(笑)
一同:笑
イットク:マルチコプターを飛ばすのだって簡単じゃないんだけどね。でも、簡単だって言っているドローンスクールはいっぱいある……。
戸田:ヒューッと浮かせるだけだったら、簡単だけど(笑)
高山:勝手に動くからね。
戸田:うん、そうそう。
高山:機体が「自動で浮く」なんて知ったのは最近です。
イットク:そうだよね。それまではもう、ずっとヘリをやってたから。
戸田:ヘリは一回、挫折しましたけど(笑)
イットク:挫折するよね。ヘリはね。
高山:するするする。
イットク:やっぱりね、ドローンパイロットっていうくらいだから、ラジコンのヘリや飛行機も飛ばせないとね。特に、インストラクターと名乗っているならすべての無人航空機が飛ばせないと、ドローンパイロットじゃない。
ドローンの法律を犯す人たちについて
イットク:2人は、みんながそこら中でバンバン飛ばしてるのとかどう思う?
高山:不愉快(笑)
一同:笑
戸田:いや別に、不愉快ではないけど。
高山:だって、バンバン落とすから規制が厳しくなる。
戸田:ああ、それはね。
イットク:飛ばしてもいいけど、落としちゃだめだよね。だから、今回も「MAVIC MINI」の200g、これにも規制かかるみたいだね。
戸田:えっうそ!?
イットク:もう、すぐにでも規制をかけるみたい。国土交通省が。
戸田:なんで?
イットク:こんな性能がいいとは思ってなかったみたい。200gでここまで性能がいいのは危ないから。これからは重さじゃなくて性能で縛るみたい。
高山:そのほうがいいと思う。
イットク:近い将来そうするみたい。うちの店でもね、この機体、すごい売れたけど。いくら200g以下だからって、「簡単に飛ばさないでくださいよ」「危ないですからね」って言ってるけど、どうもみんな、とんでもない飛ばし方をしてるみたいでね(笑)
戸田:そうなんだ。
高山:普通じゃ考えられない。
戸田:家のなかでも普通に飛ぶからね。
イットク:それで、この間、法律も何も知らない人が来て、「500m離れた自分の家の庭に着陸できるかやってみた」とか言ってた。それって、200g以下だとしても「目視外飛行」や道路を超えたら「30mルール」とかいろいろ当てはまりそうだけど。どうなんだろね。200g以下だから、航空法は関係ないのかな。関係ないから国土交通省は焦ってんだろうね。で、その人、途中で電波切れて、機体がどこいったかわからなくなったらしいよ。
生徒2人:笑
イットク:だけど、DJIの機体だったから、そのままホバリングしてたのかな。わからないけど。しばらくして、どこ行ったかわかったらしくて。
戸田:軽いから、どこに流されるかわからないからね。
イットク:買ってすぐ何百メーター離れたところに飛ばすなんてできないよね、怖くて。でもやっちゃう人はいる。やっぱり、知識とか経験がないと怖さもわからないから、やっちゃうんだろうね。
この間も、「AIR 2」っていう新しく出た機体が売れて。お客さんに、「これは対象になる機体ですから、絶対に法律を守ってくださいね」と言ったんだけど。その人は国交省の飛行許可を持ってない人で。ずーーとFPVで、画面見て操縦しているの。そしたら、「AIR 2」ってセンサーが前後にしかついてなくて、前後は停まってくれるけど、横は止まらないから、横向きにどっか突っ込んだんだって。それで、枝に引っかかって降ろすのが大変だったとか言ってた。「AIR 2」をFPV飛行した時点で、法律を犯しちゃってるんだけど。そういうの気にしないんだよね、みんな。
戸田:画面だけを見てるのってやっぱり怖いよね。見失うから機体を。あれっと思ったらどこ行ったかわからない。
イットク:とにかくみんなね、軽く考えすぎてる。ドローンスクールに行って資格を取ったら、すぐに飛ばせるイメージがあるみたい。まあ、資格って言っても国家資格みたいなものはないんだけどね。
戸田:操作だけ教われば、確かに飛ばせなくはないけど(笑)
イットク:2人は、もう操作の難しさをよく知ってるから。逆に言えば、もっともっと規制を厳しくしてもらったほうが、私たちプロとしては非常にありがたい。趣味でやっている人は飛行場で飛ばしているから、規制が厳しくなってもあんまり関係がない。飛ばす場所が変わるわけじゃないから。飛ばしたらいけない場所で飛ばす人に問題があるわけだからね。