今回のUAV通信、テーマは「産業用ドローンの飛行実習 これからの仕事スキル」です。

中村:このビデオは、フリークスガレージの「ドローンプロパイロット養成講座」の生徒さんに、「産業用ドローンの操縦実習」をしてもらったときのものです。まだ生徒の段階で産業機を飛ばせる機会は、なかなかないでしょう。こうした講習をやっているところは、うちの学校くらいかもしれません。

この産業用ドローンは、うちのオリジナルの機体です。すでに物流・運搬の用途として、実証実験が済んでいます。完全に仕事で使う機体です。

島貫:この機体だと、どれくらいまで運べるんですか?

中村:15kgくらいですね。この機体は産業用ドローンですと小さいほうです。30kg運べる機体もうちにあります。ただ、15kgでもかなりの量が運べますよね。

【手に食】産業用ドローンの飛行実習:これからの仕事スキル1

今回の「産業用ドローン2オペ操縦実習」では、まず1人の生徒が機体を飛ばします。そして、途中から隣にいる生徒に操縦権を渡します。その生徒がある程度飛ばしたら、また最初の生徒に操縦権を渡す。そうして操縦権を行ったり来たりさせています。こうした操縦方法を、うちでは「2オペレーション(2オペ)※」と呼んでいます。2オペによる操縦を、うちの生徒に体験してもらいました。
※2オペ:1人のドローンパイロットが、途中でもう1人のドローンパイロットに操縦権を渡す飛ばし方。山や川を越えるなど、長距離飛行が可能)

嶋貫:生徒の実習として使うには、この機体はやはり大きいですよね。

中村:そうですね。ここまで大きい機体を操縦できる機会は、ドローンスクールの生徒さんだとなかなかないかもしれません。実習と言っても、安全のためにある程度の腕が必要だからです。このときの2人は、うちのレベルでいうと「限りなく上級に近い中級」です。まだ上級資格は取っていませんが、腕は確かです。初心者が飛ばすと、大きな機体ですから大変危険です。

どうですかね? こういう2オペ操縦は。

嶋貫:2オペという操縦方法は、なかなかないシステムですよね

中村:なかなかないシステムです。もちろん、あるところではこういう飛ばし方をしているところもあります。しかし、やっているところはまだまだ少ないです。

嶋貫:そういう話を聞いていると、つくづくドローンは「道具」だなと感じます。

中村:そう。産業用ドローンと一口に言っても、道具の一種類です。この道具を「どう使いこなすか」が重要です。どんなにいい道具でも、使いこなせない人が使えば、使えない。逆に、大した道具じゃなくても、使いこなせる人が使えば、素晴らしい結果が出せます。なので、よい道具をよい腕の人が使えば、よい結果が出るわけですね。

【手に食】産業用ドローンの飛行実習:これからの仕事スキル2

フリークスガレージでは、生徒たちの中から点検や運搬のプロチームも作ります。例えば、パッと現場に行って、点検や運搬して、パッと切り上げる。そのためには、よい道具を使いこなせる人材を育てなければいけません。なので、こうした生徒の実習もどんどんやっていきます。

それにしても、一般の生徒さんだと、本物の産業用ドローンを目にする機会も少ないようです。うちのドローンスクールだと、大きな機体が周りにごろごろしていますが(笑)。

嶋貫:生徒の段階でこの実習ができるのは、インストラクターをやっている身としては、非常に貴重だと感じます。

中村:貴重な機会ですよね。これは宣伝になってしまうかもしれませんが、大型の産業機を飛ばしてみたい、仕事ですぐ使いたいということであれば、うちのドローンスクールで勉強していただきたいです。今、ドローンパイロットが不足しています。仕事では、点検や調査の分野がシェアとして大きいですが、運搬も上位に来ています。ドローンを使った運搬の仕事も、これからどんどん広がっていきます。

それにしても、こういう裏側の映像をおおっぴらに見せていいものか……(笑)。

嶋貫:ええ、見せていいのかな、と思いました(笑)

中村:見せちゃっています。まあ、隠すものじゃないですからね。こういうことをうちはやっています、ということで(笑)。ビデオを見て、大きな機体でびっくりしたかもしれません。でも、産業機の中では小さいほうです。もっともっと大きい機体がありますから。ぜひ産業用のドローンを体験してみたい、仕事や事業にしてみたい方はお問い合わせください。

嶋貫:実習後の生徒さんの話を聞いて、安心したことがあります。「危ない」「怖い」、そういった恐怖を感じてくれたことです。あと、産業機を飛ばすには「基本的な技術が大事」と思ってくれたこと。それは嬉しいですね。

中村:そうですね。「怖い」という気持ちがないと、安心・安全に飛ばせないんですよね。うちの生徒さんの中にも、日が浅い方は「ドローンは簡単・余裕」を思っている方もいます。でも、そういう方が練習中に機体を落としています。「怖い・危ない」。そういう恐怖心を持っているほうが、慎重になります。上達も早いです。これは、緊張することとは違います。「危ないものを扱っている」という自覚を持って飛ばすのがドローンプロパイロットです。

今回のUAV通信は、「産業用ドローンの飛行実習」をテーマにお届けしました。今後も、いろいろな産業用ドローンの実証実験や仕事などを、UAV通信でもお届けしていきます。

「産業用ドローン操縦実習」参加者の声

【手に食】産業用ドローンの飛行実習:これからの仕事スキル3

生徒1

今までない大きい機体を飛ばせました。かなり感覚も違うので、いい体験ができました。2オペも初めての経験でした。非常にいい経験となりました。ありがとうございました。

生徒2

初めて大きい機体を飛ばしました。基礎的な操縦ができないと、ちょっと(飛ばしこなすのは)無理だなと分かりました。やはり基礎練習をしっかり積まないとなというのが、正直な印象です。じゃないと大きい機体は無理だと思いました。それが分かっただけでもよかったです。普段から「DJI Mini2」のスティックの動かし方をちゃんとやって、フリークスガレージのオリジナル機(センサーやGPS機能がない完全に手動で操縦する機体)やラジコンヘリコプターのスティック操作が分かっていたほうが、こうした大きな機体にはいいなと思いました。