今回のUAV通信は「ドローン点検・調査の練習 仕事で使える操縦テクニックを遊びながら習得」です。

今日は「UAV(ドローン)キャッチャー」というイベントをやります。トーナメント式でやります。1回に機体を飛ばす時間は、バッテリー1本分です。

基本的には目視で機体を飛ばします。しかし、遠いところはFPVじゃないと、対象物を追えません。こういうドローンの飛ばし方は、現場で、私がいつもやっています。対象物のそばまでは目視で、点検する箇所まで行くとFPVで撮影します。このイベントは、ゲーム感覚で点検や調査の操縦練習ができます。楽しみながらやってみてください。

「UAV(ドローン)キャッチャー」は、各コース2人が同時に飛ばして、点数を競います。点数は、体育館のコートの手前が10点、真ん中が20点、奥の棒のところが30点。2階正面の壁が80点、その両脇が100点です。点数が多い方がトーナメントを上がっていけます。

機体は、「DJI Mini2」や「DJI Mavic Mini」で、4台同時が限度です。それ以上は、電波が混線して飛ばせなくなります。ノーコンになって墜落します。これは観光地で飛ばしている人がよく体験しています。5~6人が一斉にドローンを飛ばすと起こります。産業用ドローンの機体なら、このとき「そばに他の機体がいます」みたいな警告が出ます。しかし、一般的な機体だと警告が出ず、混線が分からないので危険です。

「UAV(ドローン)キャッチャー」のやり方ですが、機体につけたフックで、各場所にあるリングを取ります。まず、針金を1本ずつ配ります。針金を、機体の下の隙間に入れます。そして、針金の先をフック状にします。このフックで、リングとなった針金を引っ掛けてきます。引っ掛けてきたら、自分のもとに機体を戻す。これを一回一回やります。もちろん、2個3個とリングを引っ掛けても大丈夫です。しかし、それは場合によっては取ったリングを落とすこともあります。

リングが下に落ちると取るのが難しいです。取れなくはありません。着陸体制の勢いで引っ掛けて、完全に着陸する前にまた上昇させれば。着陸すれすれまで行って、ぐわーっと上昇させる。こういう動きは、私もよくドローンの撮影でやります。

このイベントは、遠近感の練習になります。ドローンは遠くまで飛ばすと、遠近感が掴みづらくなります。対象物に対して、自分では機体がこれくらいの距離だろうと思っても、カメラで見ると大きくずれていたり。そういう感覚が養われます。これは以前、FPVのみで飛ばすイベントを開催したときの話ですが、そのとき私は生徒に負けました。そのイベントで優勝した生徒は、朝から練習し、本番でもガンガン飛ばして1位になりました。その後、一対一で私と対戦。私はその日初めて飛ばしたこともありますが、タイムで負けました。1日やるだけで感覚が非常に養われます。こういうイベントは現場で役立つテクニックも身に付くので、楽しみながらやってみてください。

このイベントは仕事を想定しています。そこで、やってはいけない飛行をしている人が1名います。誰か分かりますか?

(ある生徒に対して)機体を自分のところに戻すとき、対面にするでしょう。あれ、絶対にやっちゃいけない。そのときに、方向がわからなくなり、障害物にぶつけることがあるからです。絶対にやっちゃいけない。田んぼの農薬散布もそう。絶対に、対面で戻してはいけない。

さっき操作をミスりそうになったでしょう? あれをやっちゃう。今は練習だからいいです。これが、大きなローターの機体なら、電線などにひっかけます。仕事は、自分の技術をひけらかすところじゃありません。安全・確実にやる場です。もっとも安全な方法を取らなくちゃいけない。必ずお尻で戻ってくる。これが基本です。

海老原さんのフックは絶対に外れない。ただ、逆に言うとすごくリスクもある。何かに引っかかったら取れない。そういうことも、仕事では考えないといけません。これから起こることを予想しないとダメ。でも、作戦がよかった。フックが両側にある。リングを取るとして外したときに、ひっかかることがあります。敗者復活から海老原さんが優勝!(一同拍手)。優勝おめでとうございます!

準優勝おめでとうございます。フリークスガレージに入ってどれくらいだっけ?
生徒:「3ヶ月くらいです」
一同:「すげー!」
いきなりの準優勝、おめでとうございます!

「UAV(ドローン)キャッチャー」をやってみて、いろいろなことが分かったと思います。例えば、飛行条件が悪くなると、急に機体が振れちゃったりします。また、スマホのストレージがいっぱいだと、ソフトが動かなくなります。画面が止まります。だから、仕事のときは、必ずストレージが空のスマホを使ってください。仕事用として使います。そうしないと危ないです。

あと、今日は自由にフックを作ってもらいましたが、その差が出ました。大野さんのフックは、理にかなっています。段がついている。多少高さが変わってもリングを取れる。海老原さんの両方のフック。これも非常にいいです。何がいいって、返しが大きいんですよ。大きいから、一回入るとはずれない。連掛けができる。それを真似した生徒さんもいましたが、フックが浅く、失敗しましたね。少し機体が動くと全部外れちゃう。そういうことも予想してください。予想して、そうなる前にその対処ができれば、成功します。

無理な飛行はしないようにしましょう。今日も、何機も墜落しましたね(笑)。仕事は、難しい環境でやります。中川さんは、機体を落とさずに飛行させていました。壁などに当てていないんですよ。素晴らしいです。他の生徒も、見ている限り大丈夫でした。このまま練習を続けてください。

次回は、妥当“海老原”で行きましょう(笑)。一昨日にやったFPVイベントでは、原さんが優勝でしたね。原さんがこの「UAV(ドローン)キャッチャー」をやるとやばいかも。逆に、海老原さんがFPVイベントをやってもいいですね。遠隔操作の感覚は先天的なものもあるのかもしれません。こういうイベントに参加すると、何が得意か自分で分かります。

今日は、思っていた以上に皆さん、操縦ができていました。優勝できなかった方も、全然チャンスはありますからね。ぜひまた参加してみてください。非常に私も勉強になりました。ありがとうございました!

中村:予想以上に皆さん、よく操縦ができていたんですよ。うちの練習は間違っていないですね。

嶋貫:基本練習の大切さが、こういうイベント時にも出ますね。

中村:自分が動かしたいように指が動くようになってきています。もちろん初めての方は、細かい操作に苦労しながらやっていました。だからこそ、普段の基礎練習の大切さも理解できたはずです。一見、遊んでいるように見えますが、高得点を得るためのテクニックは、実際に私がドローンの点検や調査、物を運ぶ仕事で使っています。初心者の方はとくに、早めに体験してもらいたい。実際の現場の難しさを体験すれば、日頃からどう練習すればいいかも理解しやすくなります。こういう練習を続ければ、確実に仕事で通じるパイロットになれます。

嶋貫:皆さんに気にしていただきたいのが、「安全な方法で飛ばすことを強調していた」ところです。例えば、農薬散布の現場だと死亡事故も起きるくらい危険です。「一番安全な方法」で飛ばすことを、いつも気にしてほしいです。

中村:安全に正確に。安全をすべてに勝って最優先してほしいですね。

ではまた次回。