Q：ドローンを住宅街で飛ばす人はいないのでしょうか？
A：ドローン空撮であれば、プロで飛ばす人は少ないです
屋根の点検とかではなくて、空撮などのことでしょうか？ それですと、プロの方はほとんどいません。にわかのプロがドローンを飛ばして問題を起こしています。墜落させたり民家から苦情が来たり。
ドローンの仕事で食べている人は、そういう仕事は断ります。なぜなら、住宅街で空撮するのは大変だからです。下手に撮ると苦情が来ます。撮影すると、民家に周知しなくちゃいけないんですよ。なので、普通にドローンで仕事をしている人なら、そういう空撮は受けないことが多いです。
住宅街でドローン空撮をするのは、その辺のドローンスクールを出て飛ばせる気になっちゃった人です。そして、You Tubeにアップして、後で問題になる。プライバシー侵害権。怖いですよ。なので、私たちプロは保険に入っています。
例えば、ドローンで空撮して、たまたまマンションの一室が映ったとします。マンションの持ち主や借り主がその映像を見て、訴えたとします。そうなると、絶対に裁判で勝ていません。「映すつもりはなかったんです」と言っても、実際に映っていますから言い逃れできません。
だから、私は自分の仕事で撮影した映像は、やたらとYou Tubeなどには載せません。それで何か言われたら、仕事にならなくなります。You Tubeを見ていると、「よくこんな映像を載せているな！」と感じるものがたくさんあります。何かあれば一発です。捕まったり、書類送検されたり。そんな映像がいっぱいある。
もちろん、屋根や壁の点検で、ドローンを住宅街で飛ばすことはありますよ。その場合は、撮影するのは対象となる家1軒だけです。周りの民家に周知します。「ここの○○さんとこの家をドローンで点検します。ご了承ください」と。
住宅街でドローンを飛ばすのは、そういう仕事のときです。街全体を空撮するとか、そういうものはやりません。まあ、いるんですけどね。私の知っている人で、平気でそういうところを飛ばして、写真集を出しちゃったりした人が。
ドローンのプロパイロットは、リスクがある状況でドローンを飛ばしません。また、仕事で撮影した映像など、クライアントの情報は一切外部に出しません。しかし、YouTuber（ユーチューバー）は、映像で食べていますからね。ドローンで墜落したシーンをアップして、視聴者に笑ってもらって、高評価を押してもらう。そういう人はいます。プロは自分の墜落シーンなど、恥ずかしくて絶対に出しません。現場で落としちゃいけないのがプロなので。
あと、「こんな映像よく撮れましたね！」と、You Tubeで評価の高い空撮映像がありますが、うまく飛ばせたテイクを編集すれば、誰でもすごい映像になります。その裏では、成功カットを撮るだけで何機のドローンを墜落させたのか。それは現場のスタッフしか分からないことです。
よく皆さん、ドローンを墜落させています。そこで、DJIには、ケアリフレッシュというサービスがあります。「一定のお金を払うと、年間何台までは機体を交換する」というものです。つまりメーカーも、「みんな機体をぶつけて落とす」ということを前提に考えています。それはプロではありません。YouTuber（ユーチューバー）のためのサービスでしょう。DJIは中国のメーカーです。そういうところは抜かりなくやっています。
まとめますと、屋根や壁の点検をするときは、住宅街でドローンを飛ばします。こういう仕事であれば、そんなに難しい操縦は要りません。高度もそこまで上げるわけじゃない。自分の分かっている範囲しか飛ばしませんから。それを、例えば東京の夜景を空撮しようとか。そういうことはしません。夜にドローンを飛ばすのも、特別な許可が必要です。普通は飛ばせないんですよ。私はそういう仕事は受けないですね、怖くて。できる人は飛ばせばいいと思います。自分は臆病なので飛ばさないです。
