今回のUAV通信は「ドローンのFPV上達法」です。

FPV競技会へようこそ。今回、このFPV(ファースト・パーソン・ビュー)の競技会をやる理由は、皆さんが、日頃の練習の成果を、ゲームをしながら発揮できればなと思ったからです。

この前、仕事で難しい橋梁点検の現場に行きました。目視で機体を飛ばす場面もありましたが、1/3はFPVで、画面だけを見て飛ばしました。ゴルフ場の大きな鉄の橋を点検しました。今の時期、コロナ渦だからかもしれませんが、平日にもかかわらず、ものすごい人がプレーしていました。ドローンで点検中も、上から「ファー、ファー」と音がするたびに、ゴルフボールが飛んできます。ゴルフをやっている方なら分かりますが、谷越ってありますよね。大きな谷にかかる橋。その橋を点検しているので、谷越に失敗したゴルフボールが落ちてくるわけです(笑)。そういう中で仕事をしてきました。

使った機体は、「DJI」の「Enterprise」シリーズです。この機体は、可視と赤外線と両方撮れます。可視で見て分からないところも赤外線で見ると、色が変わって見えます。そこは、塗装が浮いていたりサビがあったりします。橋なので、下はワイヤーがあります。操縦を誤るとワイヤーにひっかかる複雑な環境です。その日は、帰った後ぐったりしました。それくらい神経を使う仕事でした。

では、FPV競技会のルールをお伝えします。まず、地面のフラフープに機体を置きます。機体を置いたら、ステージ側に向かって立ちます。「よーいスタート!」のかけ声で、2人とも同時に飛ばします。

着地するまでFPVで操縦してください。早く着地した方が勝ちです。着陸時は、フラフープの枠の中にきれいに入れてください。もしもはみ出した場合は、もう一度機体を上げて、入れ直します。枠内にきれいに早く入った方が勝ちです。

こういう場面で「DJI Mini2」の機能の勉強もしてください。「DJI Mini2」はファンクションキーがあります。ファンクションキーに、カメラを上や下に向けるボタンを割り当てます。この割当は、「DJI Mavic Mini」はできないんだよね。そういう設定も覚えてください。

あと、ヨー軸の切り替え。これで機体のスピード調整ができます。皆さん、最近エルロンでの旋回が非常にやりやすくなったかと思います。よー軸の切り替えをやってみてください。このFPV競技会に最適な設定を、この後の練習中に見つけてみましょう。「DJI Mini2」は、「シネモード」「スポーツモード」「ノーマルモード」、このモードの中でヨー速度を変えられます。「DJI Mavic Mini」は変えられないんだよね。競技に合った設定をいろいろと考えてみてください。分からないときは、インストラクターに聞いてください。設定の仕方をお教えします。

フラフープをくぐるときは、機体が接触しても大丈夫です。墜落しても、また上がればいいです。場合によっては、機体が赤点滅で終わっちゃうことも。そのときは、そこでストップ。

青いフラフープから飛び立って、左回りで飛ばします。ピンク、青、黄色、ピンク、青、緑、こっちから入っていって、こっちへ。最後は緑を抜けて、着地です。

優勝は原さん。講習チケットを贈呈します。おめでとうございます。
(一同拍手)

面白かった! 素晴らしい。日頃の練習の成果がよく出ていました。目視じゃなくても、機体の動きが分かっているからできる。もっと荒れるかと思ったのですが、いい感じで終わりました。面白かったです。またこれ、面白いので、定期的にやっていきたいですね。

中村:このFPV競技会も、非常にためになるイベントです。普段から機体の動きが把握できているかテストになります。また、機体の大きさとフラフープまでの距離など、画面にどう映っていたらうまくくぐれるかなど、いわゆる車幅感覚が養えます。

これからダクトの中を点検する仕事も増えてきます。ダクトの中を点検するときに、画面を見ながら機体を操縦します。画面にどう映っているか。距離感や空間の把握など、ちゃんと把握していないと難しいです。慣れないと、小さな穴に入ろうとして、ぶつけちゃったりします。

FPV競技会は、機体と空間の感覚を養うのに、ものすごく面白いゲームです。これからもやっていきます。みなさんも、どんどん参加してみてください。より早く、上手くなれます。躊躇せずに参加してみてください。

中村:今回のUAV通信、いかがでしたでしょうか。今回は、FPV(ファースト・パーソン・ビュー)といって、画面を見ながら機体を操作することをテーマにやりました。FPVは、点検業務や特殊な撮影、例えばハリウッドの映画にも使われています。すぐにいろいろな仕事で役立つテクニックです。

嶋貫:このFPV競技会は、自分の飛行テクニックの引き出しを増やすという意味でも、ものすごくいいと思います。

中村:FPV競技会に参加すると、「あれ、けっこううまく飛ばせるじゃん!」ということがあります。逆に、普段は操縦がうまいのに、「なんかうまくいかないなぁ……」ということもあります。そういう適性に気がついてもらえたらなと。そして、さらに練習を重ねてもらえればね。

嶋貫:優勝された方の目視の操縦を見たのですが、そちらは苦労しているようでしたね。とくに対面が。

中村:そうですね(笑)。やっぱりFPVが得意な方なんでしょうね。

このFPV競技会は非常に面白いゲームです。上手い下手ではありません。やった人が早く上手くなります。ぜひ皆さんもね、次は参加してみてください。

それでは、また次回お会いしましょう。