UAV通信 オープニング

どうもこんにちは。ドローンのプロパイロットを育成する、フリークスガレージの中村です。

嶋貫です。

この番組は、ドローンを仕事にするためのノウハウを紹介していくものです。今回のUAV通信、テーマは「FPV(目視外飛行)」です。では、映像をご覧ください。

FPV技能競技会 開会

ドローンの仕事技術「FPV(目視外飛行)」を習得する大会【UAV通信21】1

今日は、FPV競技会を開催します。FPVは、「First Person View(ファースト・パーソン・ビュー)」で、一人称視点でドローンを飛ばすことですよね。機体ではなく、画面を見ながら操作します。ドローンレースではゴーグルをかけて見ながら飛ばします。しかし、ゴーグルをかけず画面を見ながら飛ばす方法も、FPVです。

FPVでドローンを飛ばすには、国土交通省の飛行許可申請をしないといけません。飛行許可申請で、目視外飛行の許可を取らないと飛ばすことはできない。ただ体育館などの屋内でやる場合、航空法は関係ないので、許可を持っていなくても大丈夫です。今日は、飛行許可は必要ありません。ただし、外で目視外飛行をするときは、飛行許可が必要です。

最近、FPVの許可が下りづらくなりました。なぜかというと、なんちゃってドローンスクールを出たドローンパイロットが、FPVでも事故を起こすんですね。すっごい迷惑です。FPVが使えないと、ドローンの仕事にも影響があります。

例えばこの間、国内だけでなくアメリカやヨーロッパ、アジアに拠点を持つ、建築工具メーカー大手の株式会社TJMデザインさんから、ドローン空撮を頼まれました。「TAJIMA」(タジマ)のブランド名の方が分かりやすいかもしれません。
この「TAJIMA」さんから、機器のCMに使うためのカット撮影を依頼されました。
https://jpn.tajimatool.co.jp/

そのときの現場に、会員の生徒さん数名をお連れしましたが、そのときに見ていた方は分かったと思います。そこで、私はFPVで飛ばしていました。まず構図を合わせて、飛行ルートを決めて、飛ばす。飛ばしているとき、機体を見ていなかったですよね。画面を見ながら、CM用の構図で撮影する。この現場の参加者は、FPVがいかに重要か、分かったかと思います。

今日は、FPVをゲーム感覚で養っていく大会です。FPVがうまくなると、100%ドローンの仕事現場で使えます。「できたらいいや」という技術ではありません。これができる・できないでは、ドローンパイロットとしての質が変わってきます。FPVは、非常に重要な飛行方法です。

FPV競技会のやり方は、いつもと一緒です。こちらのフライトエリアから、「よーいスタート!」の合図で飛ばします。そして、5つあるフラフープを一つひとつくぐっていきます。フラフープは、ピンク、ブルー、グリーン、ピンク、ブルーの順に並んでいます。着地するまで、すべてFPVでやります。着地の際は、機体のカメラを真下に向けて、フライトエリアからはみ出さないように下ろします。タイムを測りながらやります。一番速い人が優勝です。

せっかくなので、「ラジコン・マスタークラス」をやっている生徒は、機体の「エクスポネンシャル」や「ディアルレート」をいじって、飛ばしやすい設定にしてみてください。「エキスポネンシャル」をいじると、いろいろと設定が変えられます。自分に合った設定でやってみてください。

あと「ファンクションキー」。「ファンクションキー」を使っている方はあまりいないと思います。自分の機体や送信機にどういう機能があるか、知っていればいろいろなことができるようになります。例えば、機体のカメラを真下に向ける際、いちいちダイヤル操作だと大変です。その操作を「ファンクションキー」に設定すれば、ボタンを押すだけでカメラが真下を向きます。ダイヤル操作だと3秒くらいかかるのが、ボタンで一瞬です。全然タイムが変わってきます。

ドローンの仕事はそういうことです。ただ機体を飛ばせばいいわけじゃない。
どうやったら効率よく安全に業務をこなせるかを、常に考えなくちゃいけません。ただ飛ばすだけでは、絶対に仕事はできません。仕事の中では、必ず効率と時間、安全を考えます。例えば機体のカメラも、ダイヤル操作でもたもたするのではなく、「ファンクションキー」ですぐに戻した方が安全です。このFPV競技会も、いかに自分の知識を利用していいタイムを出し、安全に終われるかが問われます。そういうことをやっていかないと、フリークスガレージで勉強している意味がありませんからね。

スタートするときは、機体をフライトエリアに置いて、送信機の画面が出るのを確認します。機体に背中を向けて。やりやすい位置でやってください。もし危ないと思ったら、機体を見てもいいです。そうすると失格にはなっちゃいますが、無理せずに機体を見てください。

今日始めての方は? 経験者の方は頑張らなくちゃね。

では、優勝目指して頑張りましょう。精一杯、自分の技術を発揮して、やってみてください。では、始めましょう。

FPVによるフライト「レース1」

中村:FPVの競技会の様子を解説します。参加しなかった方も、こんな感じなんだと思っていただければいいです。

中村:今回ゴーグルは使わず、送信機の画面だけを見て、機体を操縦しています。これは、ドローンの仕事現場で私もよくやります。画面だけを見ながら飛ばすのは、普段から機体を自由自在に操れる感覚がないと非常に難しいです。かといって、FPVができないと、できる仕事の幅が狭まってしまいます。ぜひ、FPVは習得してもらいたいですね。

FPVによるフライト「レース2」

中村:このFPV競技会は、フライトエリアとして置かれたフラフープの真ん中から「よーいスタート!」で機体を飛ばし、5つあるフラフープを順番にくぐって、フライトエリアに着陸させます。機体のランディングギアが着いた時点のタイムを測ります。タイムトライアルです。

中村:簡単そうに見えますが、けっこう難しいです。カメラが映せる範囲の情報だけで機体を飛ばさなければいけません。普段から、どれくらいスティックを動かすとどれくらい機体が動くか、それが分かっていないとうまく飛ばせません。

FPVによるフライト「レース3」

中村:フリークスガレージのオリジナルの企画であるFPV競技会は、よく「どのくらい練習したら参加してもいいですか?」と聞かれますが、別にうちのドローンスクールの生徒さんなら、いつからでもいいです。ただ、ある程度は、飛ばす経験がないと難しいものではあります。それでも、早く経験した方がいいです。頭で覚えるより、体で覚えたほうが対処が早くなります。

嶋貫:どんな感じか体感してもらうのは大切ですよね。

中村:難しさを体験して、今後の練習に活かしてもらいたいです。

FPVによるフライト「レース4」

いいペースで飛んでますね。(生徒の)町野さんの機体、きれいにフラフープに入っていった素晴らしい。

2人:おお、すごいね!

中村:いいラインに乗って。速い速い。素晴らしいですね。彼女は、普段からすごい操縦が繊細なんですよ。これ、才能もあるのかもしれないですけど、すごいきれいな飛行をしますよね。

嶋貫:スティックの動かし方や機体の動きを見ていても、繊細だと分かりますね。

中村:機体を見てれば、どれだけ繊細に動かしているかわかるんですよ。1分切っていますね。すごいですね。

FPVによるフライト「レース5」

嶋貫:FPV操縦は、やると分かりますが、機体の大きさの感覚、車でいう幅の感覚をつかむのが苦労しますね。

中村:そうですね。最近「ドローンを仕事にしてみたい」「業務で機体を使ってみたい」という相談を多くもらいますが、とにかく経験をしないとダメですよ。経験なしでうまくなろうと思っても、絶対に無理ですから。よく一般の方で「You Tubeで勉強しています!」という人がいますが、学べるわけないですから(笑)。どうやってYou Tubeの情報だけでうまくなるのか。自分の解釈でやって、変な癖をつけちゃったり。ドローンは自分で体験して、何が悪いのかに気づかないとうまくなりません。「操縦がうまくなりたい」「ドローンのプロになりたい」のであれば、恥ずかしがっちゃだめですよね。

FPVによるフライト「レース6」

嶋貫:墜落してしまいました。現場だと、墜落を経験できません。仕事で落としてはいけないから。

中村:現場で飛ばしたら、本当に落ちるわけです。

嶋貫:これが現場だったら、拾いに行けない場所も多い。機体をロストしてしまいます。

中村:それに、ぶつけてはいけない対象物だったら、大変なことになっちゃいます。

嶋貫:文化財とか。

中村:あっ、今チャットで「町野さんすげー」と書き込みがありました。そう、町野さんすごいんですよ(笑)

嶋貫:今、フリークスガレージとものづくり大学で、ドローンパイロットの目線の測定をやっています。機器を使って。町野さんの操縦中の目線を分析すると、うまい人の目線に近いという解析が出ています。

中村:目の動きとか、瞳孔の開き、そういうのを計測するんですよね。アイ・トラッキングカメラで。ものづくり大学と実証実験をしています。実験で、私の飛ばしているデータと町野さんのデータは、近いという結果が出ましたね。

FPVによるフライト「レース7」

中村:今チャットで、「風も吹いているんでしょうか?」と質問が。ここは体育館なので無風ですね。もちろん多少のすきま風は入ってきますし、サーキュレーターをつけてはいます。しかし、ほぼ風はありません。

中村:あ、今飛ばしているのは、今日のゲストである、生徒の西川さんですね。
着地が戸惑っています(笑)。実は、今日は競技会にも出場してくれた、生徒の西川さんが、UAV通信の収録現場に来ています。

FPVによるフライト「レース8」

中村:どう、FPV競技会やっみて。何回目でしたっけ?

西川:2回目です。送信機のスティックの振りが大きかったので、FPV競技会では思ったほどの成績が残せなかったです。でも、翌日の「UAVステップアップ講習」で、スティックの動きを小さくする意識で練習していたら、すごく飛行が変わりました。こういうイベントは、普段の「UAVステップアップ講習」にもつながります。

中村:繊細なスティック操作を「UAVステップアップ講習」で練習すると、きれいな旋回ができるようになります。きれいに旋回ができない人は、こういうイベントに参加することで、どれだけ自分の蛇が荒いかが分かります。

FPVによるフライト「レース9」

中村:FPV競技会はゲーム感覚でやっていますが、実際の仕事で使える技術です。TAJIMAツールさんのCM用のドローン撮影に来た方は分かるはずですが、頻繁にFPVを使っていました。もちろん、画面を見っぱなしではありません。機体を目視でチェックしながら、画面を見ています。ポイントごとに画面を見て飛行させないと、被写体を追えませんから。

中村:あ、町野さん2回目の飛行。また速い。ちょっと着地に戸惑っていますが。どうだ。ちょっと時間食っちゃったか。でもね、56秒、その前は55秒。速いですね。荒木さんも50秒台。

FPV競技会 優勝者決定

今日のグランドチャンピオンは、町野選手です。おめでとうございます。

(参加者から拍手)

そして、ジュニアチャンピオンは(笑)、荒木さんですね。おめでとうございます。ちょっと悔しいでしょうけどね。

(参加者から拍手)

おもしろくできました。今日はね、弓削さんがいなかったからね。狂犬ゆげっちがね(笑)。彼、30秒台だったっけ? 

こういうイベントは、自分でも分からなかった才能が見られます。弓削さんは、30秒出したときも、始めて3ヶ月とかそれくらいでした。まだ中級を受験する前ですね。いきなり才能を発揮していました。「UAVキャッチャー」がうまいのは、海老原さんなんだよね。海老原さんも、まだ初級。だけど、うまいんだよね。

どういう操縦が自分に合っているかは、やってみないと分からない。町野さんに関しては、普段の練習も非常にいい。そろそろ中級やればうかるはずです。FPV競技会で、2回飛ばして両方とも1分切っているからね。

今日はね、女王誕生なので。ぜひまた、次の大会でも優勝を。何連勝できるか。なかなか破られないんじゃない? この記録。でもね、いいライバル(荒木さん)がそこにいるからね(笑)。

では、FPV競技会はこれで終わりです。今日はお疲れさまでした。

UAV通信 エンディング

今回のUAV通信いかがでしたでしょうか?

FPV競技会の映像を見てもらいました。ドローン操縦は、人によって得意・不得意があります。地道な練習がものを言うんだなと。練習の結果が、あからさまに出ていました。

これからもおもしろい企画をやっていきます。フリークスガレージでは、一見、遊んでいるように見えますが、ドローンで仕事をするための重要なテクニックを練習しています。生徒の皆さん、真剣に取り組んでいました。自分たちも練習しないとまずいですね(笑)。

では、また次回お会いしましょう。