2020年9月26日の毎日新聞の記事に「政府機関、中国製ドローン新規購入を排除 情報漏えい・乗っ取り防止を義務化」というニュースがありました。果たして、このニュースが意味することとは?
記事はこちら

今後のドローン事情がどうなるかを、日本のドローンの開発・普及に初期から携わってきた専門家が解説します。また、9/29・30開催の「Japan Drone 2020」にて得られた最新情報から、今後の日本製ドローンの可能性もお伝えします。

今後どうなるのか? 00:00

「政府機関、中国製ドローン新規購入を排除 情報漏えい・乗っ取り防止を義務化」。こういう記事が出ていますね。このことを、私もけっこう前から懸念していたんですよ。中国製のドローンは、安いし、ソフトウェアも全部無料で提供しています。ただ、使うにあたっては、必ずメールアドレスなどの情報を提供しないといけません。また、ログ(履歴情報)を正確に取っていて、いつどこで誰が飛ばしたかを、データで記録しています。こういうデータを利用されると危ないな、という懸念がありました。

今、ファーウェイ(HUAWEI)やティックトック(TikTok)などの問題もあって、アメリカも中国の情報に敏感になっていますね。ただ、お国がお国なのでね、「本当のところどうなの?」と言われても、なかなか調べようもないですが。もしかすると、今回のニュースも、そういうところと関係があるんじゃないでしょうか。

私も、2~3年前から言っていたんですよ、お客さんや当ドローンスクールの生徒さんに。「中国製のドローンを飛ばすなら、情報がダダ漏れすることを覚悟してやってね」って。実際、中国製の機体は、ファームウェアのアップデートが頻繁にあるんですよ。アップデートしないとドローンが飛ばなくなることもあります。アップデートの内容が不具合を直すようなものならいいんですけどね。どんな内容か分からない部分があります。「今まで飛んでたんだから、別にアップデートしなくてもいいじゃん」と思っても、ダメなんですよね。飛ばなくなるので、必ずしなければならないんです。もちろん、ドローンの機体も送信機も、完全にアップデートしないでおけば、飛ばないことはないんですよ。しかし、ちょっとでもインターネットにつながっちゃうと、ファームウェアの不一致になります。一致させない限り、飛ばなくなってしまいます。

今回は、国が使っているドローンに対してセキュリティをかけるということなので、一般のユーザーの機体がどうなるかは、まだなんとも言えません。もちろん、中国製のドローンが日本から全部なくなることはないでしょう。それで商売をしている大きな会社もあるので。ただ国としては、防衛省だとか海上自衛隊だとかで使っている機体は、過敏になるべきだとは思います。

あまりこういうところではしゃべれない情報も知っているんですが、言ってしまうと問題になるので……。いろいろな国がそれぞれ内密にやっている、そんなことがいっぱいあるんですよ。だから、今回のニュースは仕方がないのかなと思います。

ただ、今後自分たちが公的な仕事をするときは、中国製の機体が使えないので、国産のいいドローンを揃えなくてはなりません。もちろん、そのことも考えていて、うちの生徒さんなんかには、「日本製の送信機を使った新しいドローンを作らないとね」とは話していました。このまま中国製の機体を使い続けても、いろいろな問題が発生すると予測していたので、うちでも今準備しています。日本やアメリカのメーカーの部品を使った機体づくりを始めています。そのうち、皆さんにも新しいドローンをお披露目できるでしょう。

今回、政府がいきなり発表して、ちょっとびっくりしました。でも、逆に言うと、もうちょっと早くてもよかったんですけど。びっくりしたってのは、このタイミングかってことで、内容的には「当然」と思うものです。ニュースの記事を見ると、「安全・安心なドローン基盤技術開発事業費として、約16億円を計上」なんて言ってますけどね。これも、私は4~5年前から言ってました。「国がもっとお金を出してあげないと、日本はどんどん乗り遅れちゃいますよ」と。実は、各メーカーにも、私は働きかけていたんですよ。「日本製の機体の開発を今のうちにやりましょう」「やっとかないとまずいですよ」と。でも返ってくる返事は、「予算がね……」というものでした。早くに国がお金を出していれば、もっと前から開発できたんですけど。日本って国は、後手後手に回るので。

16億円くらいじゃ足らないですね。これで今の中国メーカーに追いつけってのは、過酷なことですよ。もっともっと、なんとかマスクの代わりに、費用を全部こっちに回せればね。いいのかな、こんなこと言っちゃって(笑)。費用を回せられれば、本当の意味で日本の未来のためになったと思います。16億円ですよ。これで開発できると思っているんでしょうかね、日本の政府は。

これからは、もっとアメリカや日本のメーカーが力を入れて、UAV事業を盛り上げていってもらいたいですね。中国製だけではもう、先が見えていました。生徒さんなんかによくぼやいていました。「中国だけじゃダメなんだよ。ちゃんと日本でやらないと」って。

簡単に言うと、このニュースは何を伝えているのか? 08:35

今、世界中を飛んでいるドローンの8割が中国製です。それによって懸念されることが2つあります。1つは、情報の漏えいです。もう1つは、機体を乗っ取られるかもしれないことです。そのため、日本も防衛上、中国製のドローンを排除しなければならなくなったということでしょう。

1つめの懸念は、情報漏えいです。中国製のドローンを飛ばすには、個人情報を入力しなければなりません。メールアドレスを入れて、アクティベート(利用できるようにすること)をし、無料ソフトを使えるようにします。すると、自動的にソフトウェアのアップデートが行われます。ところが、そうなると情報が収集されてしまいます。例えば、アメリカも中国とやりあっていますね。ティックトックはユーザーの情報を中国が吸い上げているんじゃないかとか、ファーウェイも携帯電話を使って、世界中の人たちの情報を集めているんじゃないかとか。そうした情報合戦の中で、今回、中国製のドローンは市場の8割を占めているということで、何かあればティックトックやファーウェイどころじゃない騒ぎになるなと。

中国製のドローンは、ソフトウェアの中にログ(履歴情報)が蓄積されますので、日本の安全上、問題があります。例えば、防衛省で防衛訓練に使った際、GPSからの情報で「北緯経緯、何度何分を飛行した」ということが全部残ります。その情報を吸い出されてしまうと、「防衛省の訓練では、このドローンをこういうふうに飛ばした」「こういう作戦に使ってる」ということが相手にバレてしまいます。このように、情報が漏えいしてしまう懸念があります。

もう1つの懸念は、ドローンの機体の乗っ取りです。ファームウェアを定期的にアップデートすることで、機体を乗っ取ることができます。乗っ取られるとどうなるか。例えば、「今飛んでいる機体すべてを国会議事堂の上に落とせ!」とやればできちゃうんですよね、今の技術を持ってすれば。自由に操られてしまうと、そういう武器にもなりかねません。

そもそもドローンって、軍事用語です。無人で飛ぶ兵器のことを指す名称なんですよ。だから、うちではマルチコプターやUAV(無人航空機)という呼び方をしています。本当に何も知らない人以外には、なるべくドローンと言わないようにやってきました。しかし、ついに本来の兵器という意味でドローンと呼ばれる日が来てしまうかもしれません。攻撃目的であれば、普通に飛んでいるドローンも兵器になってしまいます。こういうことを、政府は懸念しているんでしょうね。

じゃあ一般ユーザーはどうかといえば、乗っ取られない限りは、さほど悪影響はないと思います。もちろん、メールアドレスだとか、個人情報は相手に流れてしまいますが、それほど気にすることはないでしょう。しかし、テロに使われる可能性も0ではありません。例えば、空撮で飛ばしていた機体が、急に制御不能になり、勝手に東京方面に飛んでいき、一斉にどこかに突っ込んでいく……ということもありえます。そんなことをすれば戦争になるので、なかなかそこまではいかないとは思いますが。一応、そういう懸念があります。

なので、一般の方にはさほど影響ないとは思うんですけど、国としては、中国製ドローンを使うのは問題があります。国は、機密の訓練をしていることがあるので、そういう情報が流れてしまうと、防衛上の支障をきたします。そこで今回、政府機関が使うドローンは、中国製のものを排除しようという動きになったのでしょう。

これからドローンを導入する企業には、どんな影響があるのか? 14:13

これからドローンを導入しようとする企業さんには、ちょっと影響がありますね。例えば、公的な仕事が多い企業さんだと、官公庁が中国製のドローンを使わせてくれないはずです。

ちょうど先日、うちでも似たようなことがありました。私は「水資源機構」というダムを管理している独立行政法人とお付き合いがあります。今回のニュースは、記事にもありますが、独立行政法人も対象となります。この政府発表の前に「水資源機構」さんから、ドローン3機の注文を頂いていました。1台は産業機で、後は練習機や点検に使う機体です。すでに見積もりを出していて、これから説明・導入というときに、そのニュースが出ました。そのため、すぐに「水資源機構」さんから連絡が来ました。「国からの動きがいろいろあるので、ちょっと待ってください」と。本当にこれね、リアルタイムで。明日、うちの店で担当者と打ち合わせをするんですけど。その話し合いで、完全に中国製のドローンは使えないということであれば、うちで国産の機体を製造していかないといけなくなります。

これからドローンを導入する企業さんは、公的な仕事をする場合は少し考えた方がいいでしょう。ただ、記事にも載っていますが、練習だとか趣味で飛ばす分には、影響はあまりないと思います。公的な仕事の場合だと、これから厳しくなるでしょうね。例えば、全国の独立行政法人が、機体購入時に、必ず政府に問い合わせをして、きちんと審査を受けることが義務づけられるみたいです。かなり厳しくなります。

これから大きな仕事をやろうという方は、ちょっと考えて、いろいろなところに相談したほうがいいと思いますね。

個人のユーザーにも当てはまる話なのか? 17:00

個人でドローンの仕事をしている方なら、それほど影響はないでしょう。例えば、屋根や工場内の点検、動画の撮影とかなら、そんなに影響はないと思います。ただし、クライアントから、「うちの工場の中を飛んでいる情報を盗まれたらヤダ」と言われたら、中国製の機体を使うのは止めた方がいいでしょう。「どこどこで撮影していた」みたいな情報漏れが嫌な場合もです。もちろん、めったに情報が流れることはないと思いますが……。しかし、やる気になれば、中国製の機体であれば、いくらでもそういうことができます。

今後は、中国製ドローンに対して神経質になる? 17:57

なってきますね、これからは。実際、ファーウェイもかなりいろいろやりましたし、ティックトックのこともありますし。あとは、中国版YouTubeのこともいろいろと言われていますね。とにかく、情報操作というのが得意な国なので。ちょっとそのへんは、神経質にならざるを得ないのかなというのがあります。

どういう対処をすればいいか? 18:39

一番いいのは、仕事でドローンを飛ばす方であれば、どこの国の機体を買うか、ちゃんと考えることですね。仕事の内容によっては、中国製の機体でもいいかもしれません。値段が安く、性能もいいので。世の中としても、すぐに中国製がダメだとはならないと思います。ただ、なるべくなら、こうした情報に詳しい店舗やドローンスクールに相談をした方がいいですね。情報をいっぱい持っているところと連携を取って、今後どうするかを決める。そうした方が、間違いないのかなと思います。

最新情報は常にチェックするべき? 19:40

そうですね。実は今日、こういう撮影があるのを知らなかったんですけども、この日、私も各方面にアンテナを張り巡らせました。そのアンテナに情報が引っかかったらとにかく情報を回してくれと、あちこちに連絡したところだったんです。その中で、いろいろと情報が得られました。今後も、何か分かり次第、こういう形で皆さんにお伝えできればな、と思っています。

どうもですね、今日得た情報の一つによれば、コントローラーがカギを握っているようです。例えば、機体に使われる部品の中に、中国製のモーターとかアンプがあったとしても、何も問題はありません。しかし、機体をコントロールするコントローラーが中国製だと問題があります。コントローラーは心臓部です。ここが結局、操作されやすいところです。コントローラーを販売する代理店や問屋さんの中には、中国製の製品の輸入をストップしたところもあります。詳しくは分かりませんが、輸入しても国内ではもう、売れる見込みがないからではないでしょうか。

私も、さまざまな関係者に連絡を取って、中国製以外のコントローラーの情報を取得しました。さらに、中国製以外の部品で作る、国産の機体の製作にもすでに取り掛かっています。

定期的に最新情報を発信 21:48

今後も、私が喋れる範囲でよければ、最新情報を発信していきます。際どい情報が知りたい方は、ぜひうちのお店に来てください。お話できる限りでお伝えします。ちょうど明日も、違う情報が入ってくるんですけども。そんなんで、今うちもドタバタしています(笑)

「Japan Drone 2020」で得られた、日本の最新UAV事情 22:15

9月29・30日に千葉の幕張メッセで、「Japan Drone 2020」が開催されました。私も、29日に参加してきました。実は、コロナ渦の時期なので、ずっと行くのを迷っていました。しかし、開催直前の9月26日に、今回のニュース(「政府機関が中国製ドローン、新規購入を排除。情報漏えい、乗っ取り防止を義務化」)が、毎日新聞より発表されました。そこで、最新情報を得るために、慌てて会場に行ってきました。会場には、知っているメーカーさんや知り合いもたくさんおり、情報交換をしていく中で、日本のUAV(ドローン)の今後が見えてきました。

今後は、日本製のドローンが台頭してくることになるでしょう。政府機関が中国製のドローンを排除することが決まった以上、そうなります。実際、16億円というお金を計上して、開発費に回すようです。今までは、日本製のドローンはありませんでした。しかし、これである程度は、各メーカーさんも開発が進むはずです。

日本には優秀なコントローラーを作るメーカーさんがいますが、私も、そこと3~4年前から情報交換をしていました。「こんなコントローラーがあればいいな」という話をしていました。そうしたら、今回ついに、そのメーカーさんが性能のいいコントローラーを出してきました。コントローラーというか、頭脳に当たる部分ですね。日本の送受信機のメーカーさんが力を発揮して、性能のいいものを作りました。

電波帯の話になりますが、現在ドローンの操縦は、2.4ギガの電波帯を主に使っています。2.4ギガというとWi-Fiと同じ電波帯です。そのため混信や電波障害が起こりやすく、事故につながることがありました。そこで私は、2.4ギガの電波が飛び交っている中でも安心して飛ばせるように、920メガヘルツ帯という特殊な電波を使うことがあります。そういう機体を1機持っており、仕事で使っています。もう言っていいと思いますが、私はあるメーカーさんに、「920メガヘルツ帯で操縦できるコントローラーを出してくれ」と3年くらい前から言っていました。ついに今回、販売されることが決まりました。こういう情報も、お店に来てもらえれば、細かくご説明できます。後は、新しく産業用の電波帯ができました。使うには免許が必要です。しかし、これで混信が一段と少なくなり、安全な飛行が確保できます。

今回、日本のUAV(ドローン)のかなりの技術が、急激に表に出てきました。そういう情報もいろいろと持っています。ちょっとね、今興奮ぎみに話しているんですけど。かなり興奮していて。これでやっと、すべて日本製のオールジャパンの機体が作れるのかなと。そう、ジャパンドローン展から帰ってきて、実感しています。

これから先、UAV(ドローン)に携わるなら、ラジコンの知識がないと難しいでしょう。中国のドローン製品みたいに、家電のようには扱えなくなってくるはずです。本格的な機体になってきます。そうなると、ラジコンの技術が必要になります。ちょっと扱いは難しくなると思いますが、その分、いい機体もできますし、仕事もかなり正確にできるでしょう。そんな機体が作られるはずです。ソフトウェアもどんどんいいのができています。これからは、オールジャパンでUAVの仕事がこなせます。そのときが、すぐそこまで来ているのかなと展示会に行って実感しました。

日本製ドローンの可能性とは? 29:02

日本製のドローンは、今までなかったんですよ。あるメーカーが、「日本製です」と言って出しているものはありました。しかし、それは日本で作っているというだけで、部品は全部、海外から輸入したものでした。コントローラーから何から、日本のメーカーが作っているというのは、今回が始めてだと思います。

今回は、オールジャパン化の第一歩でしょう。前から進んでいるのは、私も関係者の一人として知っていました。いつ発表されるかを、ずっと待っていました。確実な情報が得られるところとして、本当は5月に静岡でホビーショーに行く予定でした。しかし、コロナの影響で中止になってしまいました。気になっていましたが、今回「Japan Drone 2020」に行くことができて、期待以上の情報が得られました。いいメーカーさん同士のタッグも見られましたし、これからオールジャパンでいいものができてくるはずです。

日本製ドローンは値段が高くなる? 30:45

ただし一つだけ懸念もあって、それは、オールジャパンだと値段が高くなるかもしれないことです。今売られている中国製の機体の、3~5倍くらいになるかもしれません。例えば、中国製の機体だと30万円だけど、日本製の機体だと100万円くらいするとか。機体自体は高くならないのですが、システム自体を揃えようとすると高額になるかな、と。企業でしたら、そのへんは大丈夫だとは思いますが、個人だと手の届きにくいものになるでしょう。その変わり、そういう機体を持っていれば、仕事で高いギャラも期待できるはずです。もちろん、それには使いこなせる技術が必要ですが。

GPSや自動航行の精度はよくなるか? 32:05

よくなります。本来、GPSはアメリカのもので、日本はそれを借りています。GPSだけでは精度が悪いので、GLONASSというロシアの衛星を使っていたりします。こういうシステムのことを、全部含めてGNSSと言います。GNSSは、世界でもけっこう飛んでいます。実は、日本も「みちびき」という衛星を上げています。今、この「みちびき」を使った実験を、日本製の機体を作っているメーカーがやっています。「みちびき」が使えると、誤差数cmで動かせるようになります。衛星も日本のものですから、本当にオールジャパンになります。

日本製ドローンは、来年から導入される? 33:42

日本製ドローンは、政府の発表もあったことですので、来年早々から始まってくると思います。現に、「Japan Drone 2020」に行ったとき、すでに販売されている日本製の機体もありました。すぐに運用が始まるはずです。ちなみに、会場で関係者と話している中で、「実証実験をする環境がないので秩父地方でやらせてもらえませんかね?」という声をもらいました。ウェルカムです。どうぞ秩父に来て、いろいろな実験をやってください。必要であれば、私もできる限り協力します。そんな話をしてきました。ちょっとこれから面白くなりそうですね。

日本製のオリジナルのドローンを作成 34:40

この流れの中で、私もどんどん日本製のオリジナルのドローンを作っていきます。今までは、中国製の機体が不透明すぎたので、いろいろな面で諦めていました。しかし、日本製の機体ができてくれば、コントローラーやソフトウェアなども手に入りやすくなります。開発者にも知り合いがたくさんいるので、直に話を聞けます。いろいろなことが明確になります。そうなると、すごく作りやすくなります。うちもオリジナルの機体を発表していきます。

ただ、それには、早く当ドローンスクールのインストラクターを増やさないといけません。私の代わりに生徒に教えられる人を増やさないと、機体の開発に没頭できないからです。皆さん、ぜひうちのインストラクターになってください(笑)。

日本製のドローンなら、不慮の事故は減るか? 36:07

そうですね、事故が起きないってことはないと思いますが、安全が増してくるのではないでしょうか。日本のものはいろいろと考えられていますから。中国製品だと、内部がどうなっているか、全然分かりませんでした。例えば、障害物を回避するときは、どういうふうに処理されているのか不明でした。メーカーに聞いたところで、教えてはくれません。それが、日本の知り合いの技術者となれば、聞きやすくなります。

大企業も、機体の製造に参入してくるのか? 37:08

大企業も参入してくることは考えられます。ただし、今までとはちょっと違うと思うんですね。大企業には、例えばラジコンの専門家や腕のいいドローンパイロットはいません。大企業が発展するには、背負っている看板ではなく、技術を持っている人間をどう活かすかが大事です。

昔、私は某ランドで照明関係の仕事をしていたことがあります。証明の取り付けから設計、施工、演出、プログラミングまでやっていました。そのときの私の立場は、大企業の下請けの下請けの下請けの下請けでした。ところが、ロサンゼルスから来ている同じ立場の技術者は、某ランドと直に契約をしていました。

日本の企業は遅れているんですよね。看板を背負っていれば安心します。しかし、それは昔の話です。技術がなければ無理です。いかに技術を持つ人と組んでいくかが発展のカギではないでしょうか。

政府に対して言いたいこと 39:20

古い慣習を捨てて、もっと早く技術を持っている人たちとやっていれば、もっと早く日本製の機体が作れていたんじゃないかなと思います。私みたいな平民がいくらこう言ってもね、この声は届きませんのでね(笑)。ただ、これからは平民の声も聞かないと、取り返しのつかないことになります。なんかすごく偉そうなことを言っていますが。この声は、政府の方には届いてほしいですね。

もっとラジコンをやっている人たちを大切にしてほしいですね。ドローンといっても、すべてラジコンの延長上にあるものです。いくら無人航空機といっても、航空機とは違う分野です。模型やラジオコントロールといった世界です。もっと「オタク」をどんどん取り入れてほしいなと思います。私も、いつでもご協力しますので。ちょっと上から目線でしたけどね(笑)

最後にお伝えしたいこと 41:26

どんどん情報を集めて、これからの動向を見ていきます。できる限り、重要なことがわかれば発表していければなと。うちとしては、よりよい機体を作りながら、みんなで操縦技術を高めて、どんな場合でも安全な飛行ができるパイロットを増やします。こういうパイロットが必ず必要になってくるので、そのすべてのバランスを取れるソリューション展開をしていきます。やる気のある方と、一緒に頑張りたいですね。