UAV通信 オープニング

どうもこんにちは。ドローンのプロパイロットを育成する、フリークスガレージの中村です。

嶋貫です。

この番組は、ドローンを仕事にするためのノウハウを紹介していくものです。

今回のUAV通信は、以下2つのお話をしていきます。
「ドローンなどによる災害調査や防災、観光を担うため、皆野町と協定を結んだこと」
「ドローンの操縦上達にはラジコンカーが効果的」

それでは、最初のビデオをご覧ください。

陸・海・空の遠隔操縦機(ドローン)
「AUG」を活用した包括連携協定 調印式

まずはUAV(Unmanned Aerial Vehicle/無人航空機/ドローン)から見ていきましょう。この一番大きいドローンは、30kgの物資を運べます。フリークスガレージで組み立て、中身もオリジナルで作ります。世の中には、いろいろなメーカーの機体があり、中国製が主流です。うちの機体は、そういうものとはまったく別のものです。オリジナルで、クライアントである中小企業の仕事に合わせて機体を作ります。

これだけ大きい機体だと、ちゃんと操縦できないと事故を起こしてしまいます。今、世の中でドローンが実用化されていない(中小企業の現場で飛んでいない)のは、安全・正確に操縦できるドローンパイロットや技術者がいないんですね。日本はドローンを飛ばしちゃいけない国ではありません。むしろどんどん飛ばしてくださいという方針です。しかし、空を見回しても飛んでいない。それは、飛ばせる人がいないからなんです。

フリークスガレージでは、毎日ドローンを飛ばして仕事をしています。今日私たちがこういう格好をしているのも、午後からドローンの仕事が入っているからです。これが他の団体との大きな違いです。他の団体は、実証実験を成功させるためだけに機体を組み上げ、条件がよい環境で飛ばし、実験成功とやっている。私たちは、実際の現場で、今日すぐできる手法で飛ばしています。

次に、UUV(Unmanned Underwater Vehicle/無人水中機)を見ていきましょう。この黄色とオレンジの機体がそうです。黄色の機体は、水深100mまで潜れます。オレンジの機体は150~200mまで潜れます。UUVをコントロールするのが、真ん中にあるこのコンソール。機体はバッテリーで動きますが、ポータブル電源などにつなげば、無制限に水中を調査できます。海中や水回りの点検、調査、撮影などができます。私たちも、ある海洋の調査を依頼されていますが、水辺の多くの困りごとに対応できます。

最後に、UGV(Unmanned ground vehicle/無人走行機)を見ていきましょう。私たちは、地上を走らせて点検や調査ができる機体も開発しています。例えば、床下の点検。よくあるのが、人間が入れない床下にスズメバチが巣を作り、除去したいということ。これも、UGVにアームを取り付ければ、巣ごとつかみ、除去できます。最近は、草刈り専用のUGVもあります。GNSS(衛星測位システム)で人工衛星の信号を得て、自動で一定の面積の草を刈るわけです。草刈りの仕事をしている人が「俺たちの仕事がなくなる!」と言っていますね。

しかし、UAVもUUVもUGVも、万能ではありません。使えない現場もあります。人が手作業をすべきところと機体で作業すべきところは、私たちが区別しなければなりません。何でもかんでも機体でやろうとすると、必ず事故が起こります。手作業と機体作業を区別できるプロのパイロットがいれば、安全に実用できます。

このマイクロドローンは、機体を安定させるセンサーがついていませんので、普通は飛ばすのが難しいものです。狭いところにも入っていけるので、自由自在に調査ができます。センサーなしの機体を操縦できないから、皆さん、安全にUAV(ドローン)を飛ばせません。今私が操縦しているのは、自動ではありません。だからこそ、どんな現場でも飛ばせて、仕事ができます。自動航行は下準備に時間がかかりますし、インフラを整えるのに何億というお金がかかります。仮にそこまでできれば、秩父の大滝で楽天さんやKDDIさんがやっているような実証実験ができます。

私たちの飛行技術は、「今日すぐ飛ばして」と依頼されればどんな場所でもすぐできるようなものです。この間、面白いことがありました。ある現場で、災害による土砂崩れがありました。そこで私たちは、ドローン調査に呼ばれました。現場には、他に警察や消防などの団体がいました。最初に警察や消防がドローンを飛ばす段取りでした。しかし、いつまで経っても機体は飛びません。最後は、「先に飛ばしてください」と言われました。そこで、私たちはごく普通に飛ばし、調査して離陸させました。ようは、警察や消防はGNSSが入らない現場だったので、飛ばせなかったのです。マニュアル(手動)による操縦ができないから。フリークスガレージは、GNSSが入り・切りに関係なく飛ばせます。実際の現場では、そんなおかしなことが起こっています。

皆野町との包括連携協定の調印式の映像を見てもらいました。画面にも映っていましたね。フリークスガレージでは、自治体や中小企業の困りごとを、陸・海・空、すべての遠隔操縦機を使って解決しています。災害調査や防災、観光などに役立てています。

この調印式では、皆野町長にもドローンを飛ばしてもらいました。サプライズでいきなり飛ばしてもらったので、ご本人はびっくりしていましたね(笑)。今後も皆野町で実証実験や実務をやっていきます。その模様も随時お送りします。楽しみにしていてください。

では、次のビデオをどうぞ。

意外なドローン練習法
初心者こそ『ラジコンカー』がいい理由とは?

中村:このビデオは、うちの特別講習「第3回ラジコン・マスタークラス」の様子です。ラジコンカーの『TT02-B』(タミヤ)を自分たちで作った後、操縦するコースです。これも面白かったですね。ラジコンカーが動く人と動かない人がいました(笑)。同じものを作っているはずなんですけどね。

このラジコンカーは四駆なので走らせやすいです。しかも体育館で床がすべる。だから、皆さん普通に走らせられるわけです。グリップのよいところだと、もっととっ散らかっちゃうはずです。スピード出すとスピンしますので、速度調整も必要です。

嶋貫:参加者は分かると思いますが、ただまっすぐ走らせるだけでも難しかったと思います。

中村:そうですね。ラジコンカーは、調整が空中(ドローン操縦)に近い。『DJI Mini2』(当校の練習機)の操縦がうまい生徒は、ラジコンカーもうまいですね(笑)。逆に言えば、ラジコンカーがうまくなれば、空中(ドローン)もうまくなります。

嶋貫:この『ラジコン・マスタークラス』を3回目までいった生徒は、ドローンの飛行も違いますよね。

中村:そう。機体の調整の仕方も分かってくると、ドローンにも活かせますからね。

中村:この「第3回ラジコン・マスタークラス」では、ラジコンカーを五周させて順位を競ってもらっています。あちこちで車体がぶつかっていますね。これがもし空中(ドローン)だったら墜落ですからね。

嶋貫:フリークスガレージの特徴は、ラジコンカーでも、ドローンで使う送信機を使って、アクセルとステアリングもスティック対応させているところです。
からこそ、アクセルとステアリングの操作の両方をうまくやらないと、きちんと走りません。

あと、走らせているときに、どこを見ているかも重要ですね。例えばUAV(ドローン)で旋回が苦手な人は、機体しか見ていないことがあります。機体とその周辺を見なければうまく旋回はできません。このラジコンカーの講習で言えば、他の車体が近づいているかどうかは、全体を見ていないと確認できない。そういう視野の練習にもいい。

中村:うまい人はぶつけない。ぶつかりそうでも避ける。絶対にぶつからないんですよね。この講習は、そういう感覚の練習にもなりますね。

生徒からの質問でよくあるのが、「機体がどっち向いているか分からない」ということ。機体の向きが分からないのは駄目です。常に機体の向きは分かっていないといけません。機体が遠くて見えなくても、動きで方向を理解しながら飛ばします。向きは重要です。

嶋貫:ドローンの旋回や八の字を練習している生徒も多いです。旋回や八の字は、さまざまなスティックや機体の動きをミックスさせます。そのコツを得るためにも、このラジコンカーの練習はお薦めです。

中村:ラジコンカーがうまい人は、よいライン取りができます。ライン取りがうまい人は、ドローンでも飛行ラインの取り方がうまくです。

嶋貫:操縦がうまい人は、ライン取りが毎回同じですよね。これはすごいこと!

中村:必ず同じところを通っていきますからね。ラジコンカーだからと馬鹿にせず練習を重ねれば、ドローンも必ず上達します。

中村:ラジコンカーもドローンも、うまい人とうまくない人の差は、ぶつけないことです。全部避ける。ブレーキもかけるし、自らぶつけない。それだけ周りを見ている。生徒の多くは、自分の機体しか見ていません。周りを見ていない。だからぶつけられるし、ぶつけてしまう。

ドローンの外の現場も同じです。鳥は飛んでくる、人は近づいてくる。この間も、どこかの測量会社がドローン測量をしていました。そのとき、機体にカラスが寄ってきたのに気がつかず、そのまま飛ばしていました。それでうちの卒業生のパイロットが「カラスが3羽近づいているの分かっています?」と聞いたら、その業者は「ええ!」と驚いていました。

よく「ドローンなのになんでラジコンカーを練習するのか?」と聞かれますが、地上だからといって空中への意味がないなんてことはありません。逆に、地上だから安全に練習できます。今回の講習も、空中でドローンでやったら、みんなぶつかって墜落してバラバラですからね(笑)。ラジコンカーを使って、地上で周りを見る感覚を養ってください。非常に意味がある練習です。

今ご覧いただいたビデオは、『TT02-B』というタミヤ製のラジコンカーを使った、「第3回ラジコンマスタークラス」というコースの様子でした。ラジコンカーの練習は、地上で操作をします。だからこそ安全に練習ができます。地上のものを正確に動かせないと、空中でも安全には動かせません。ドローンにも非常に有効的な練習です。

嶋貫:とくに遠隔操縦ならではの目の使い方、機体の見方、周辺視野を広げるにはすごく有効ですね。

中村:そうですよね。飛んでいる機体と違って危険はそれほどない。ぶつかっても。そういう環境で、必要な感覚を身につければ、より安全にUAV(ドローン)が飛ばせる。そのために、こういう練習もフリークスガレージではやっています。フリークスガレージで開催するイベントの目的は、キレイに格好よく飛ばせるようになる、有効な操縦方法を安全に学ぶことです。

今後も、イベントがあれば皆さんにお見せしていきます。楽しみにしていてください。

UAV通信 エンディング

中村:今回のUAV通信いかがでしたでしょうか?

皆野町とフリークスガレージで、包括連携協定を結ぶ映像を見てもらいました。私たちドローンに携わるものは、ただ協定を組むだけではなく、実際に現場で実行できることをしなければなりません。表面的な協定ではなくね。フリークスガレージは、地域に貢献できる仕事をしていきます。

あと、UAV(ドローン)にはいろいろな練習方法があります。ラジコンカーのような安全な練習方法を取り入れてもらえればいいですね。

嶋貫:これからのポイントは「遠隔操縦」ですね。

中村:フリークスガレージでは、陸・海・空の遠隔操縦機を使って中小企業や自治体の問題を解決する『AUG』というプロジェクトをずっと行っています。『AUG』は、以下の真ん中の文字を並べています。
UAV(Unmanned Aerial Vehicle/無人航空機)
UUV(Unmanned Underwater Vehicle/無人水中機)
UGV(Unmanned ground vehicle/無人走行機)

これからもこの「AUG」プロジェクトを進めていきますので、楽しみにしていてください。
それでは、また次回お会いしましょう。