ドローンて何?

ドローンには、オスバチという意味があります。オスバチが飛んでいる様子を表した俗語です。ドローンとは通称です。そもそも非公開の軍事用語でした。最初は、ミサイルの標的にするための無人航空機でした。「クイーン・ビー(Queen Bee)」と呼ばれるものがありました。

皆さんが知っているドローンは、羽が4枚あってカメラのついた機体だと思います。しかしドローンとは、それだけを指す名称ではないんですね。それはドローンの仲間です。世界で一番最初にドローンと言われたのは飛行機型のものでした。無人で飛び、遠隔操作ができる航空機のことを、すべてドローンと言います。どんなに大きくても、無人航空機であればドローンです。例えば、福島原発の事故の後、アメリカ軍が全長5mくらいの無人偵察機を飛ばしました。「プレデター」の新しいやつです。あれもドローンです。無人で飛ぶものなら、ヘリコプターも飛行船もグライダーも、すべてドローンです。

ドローンの正しい名称は、無人航空機です。国土交通省のホームページでも、航空法の記載の中で、無人航空機という表現をしています。「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)」という記載がされています。

無人航空機は、英語では「Unmanned aerial vehicle」、略して「UAV」と言います。これが正しい言い方です。私のドローンスクールでは、公式な書面では、一切ドローンという言葉は使っていません。すべて「UAV」という表記にしています。ちなみに、測量業界でも、ドローンという言葉は使いません。「私たちは兵器を扱っているわけではないので、UAVと言いましょう」という風潮があります。

UAVの中でも、皆さんがよく知る機体は「マルチコプター」と言います。マルチコプターは日本生まれです。しかも、日本で最初に私たちが作りました。もともと15年くらい前に、私が仲間と一緒に開発し、大手企業を通して世に出しました。

今では、機体の呼び方が一人歩きしてしまい、ドローンじゃないと通じなくなってきました。だから、私もこういう場ではドローンと言います。ドローンは、間違った言い方ではありません。ただ、「マルチコプターだけを指す言葉じゃない」ということは覚えておいてください。

ドローンという言い方に関して、面白いエピソードがあります。10数年前、私は千葉県の稲毛で、500坪の大きな店をやっていました。そこにフライトエリアがあり、UAVの操縦の講習をやっていました。それで、ある日お客さんから、こんな電話がかかってきました。
「そちらで『ドローン』は飛ばせますか?」
そのときは、ドローンという言葉は日本にはありませんでした。初めて聞く単語でした。だから、スタッフ全員で「ドローンって何?」と不思議に思っていました。気になって調べてみると、どうやらその頃から、海外ではマルチコプターを含め、無人で飛ぶ機体をドローンと呼び始めていることが分かりました。

それくらい、日本にドローンという言葉が入ってきたのは最近なんです。私たちが「マルチコプター」と呼んでいたものが、急に「ドローン」になっていきました。ドローンという言葉が世間に認知されたきっかけは、おそらく、ドローンが首相官邸に落ちたことではないでしょうか。そのとき、日本テレビさんは「マルチコプター」という言い方でしたが、その他の局は「ドローン」という言い方をしていました。ドローンのほうが兵器の悪いイメージがあるので、それで広まったようです。

最近は、もっとすごい使われ方をしていて、「水中ドローン」などという名称も出てきました。水中の中でどうやって「飛行」させるんだろと(笑)。どうやら日本では、無人で遠隔操作ができれば何でもドローンになってしまうようです。和製英語と同じですね。マンションという言葉がありますが、アメリカ人に「私はマンションに住んでいる」と言ったら、「すごいな! 豪邸に住んでいるのか」と思われます。日本でいうマンションは、アメリカではアパートのことです。そんなふうに、ドローンという言葉も、日本では意味が変化しています。

しかし、無人航空機(UAV)が正式な呼び方です。これは覚えておいてください。ただこういう場では、一般に馴染みがあるため、私もドローンと言いますね。

航空法適用外のドローンと慌てる日本政府

明日、皆さんに飛ばしてもらうこの機体は、2021年3月現在、日本の航空法に引っかかりません。航空法に引っかからない理由は、機体本体とバッテリーの重量が200g未満だからです。この機体の重量は199gです。私も実際に量ってみましたが、本当に199gでした。航空法は、200g以上から適用されます。

しかし、この機体の性能はよく、飛ばそうと思えば上空3000mくらいまで上がります。4kの動画や1300万画素の写真が撮れます。GPSが入っているので安定して飛びます。

そのため、最近、日本政府が慌てています。「こんな性能のよい機体は、航空法の対象にしないとまずい!」と。なぜなら、たくさんの操縦者が墜落させているからです。実際、山の中を注意して歩いてみてください。けっこうドローンが落ちています。秩父では、大滝ですね。紅葉の季節が終わる頃にはかなり落ちています。うちのお客さんで、山林の仕事をしている人がいて、この間も「PHANTOM」という大きな機体を拾ってきました(笑)。航空法に触れないため、誰でも簡単に飛ばせてしまいます。

そういうことから日本政府は、2021年内に、200gではなく100gから航空法を適用させるようですが、いたちごっこになるのではないでしょうか。この機体の製造メーカーはDJIと言います。中国のメーカーで、世界の8割のシェアを誇っています。世界ナンバー1の技術です。もともと中国の大学生2人が起業した会社です。今では、1万人以上の大企業になりました。まだ創業10年経っているかいないかくらいです。そういえば数日前、DJIがすごい機体を世界中に発表しました。ゴーグルを見ながらドローンを操縦する「DJI FPV」というものです。5kmくらいの距離を飛ばせます。また、140kmくらいの速度が出せます。ドローンレースやさまざまな調査の仕事に使えます。スピードが出るので、災害現場を素早く調査できます。20分ほど飛ぶことができ、時速100kmに達するまで2秒くらいのようです。それだけの性能の機体が、15万円くらいで手に入ります。日本で作ったら150万円くらいかかるはずです。そんな技術力を持った企業なので、100g未満でも、高性能の機体を作れると考えられます。なので、航空法で縛っても、同じことの繰り返しではないでしょうか。

こんなところでドローンは活躍している

これまで、高いところの撮影は大変でした。通常、クレーンや高所作業車などを使うため、コストがかかります。危険も伴っていました。

それが、ドローンを使うことで、コストをかけずに効率的に撮影できるようになりました。また、今まで撮影ができなかった場所での撮影も可能になりました。人が行けない場所の映像を、遠隔地で確認しながら撮影できるのです。

例えば、私が秩父に来たばかりのころに頼まれた仕事として、小鹿野町の「尾ノ内氷柱」の映像撮影があります。この撮影では、けっこう面白い撮り方をしました。まず、機体を飛ばして入り口から入っていきます。そのまま人の目線の高さで進みます。そして、つり橋を渡る、と思いきや、急に橋の下を機体がスーッと下りていく。つり橋の下の景色を映して、今度は一気に上がり、つり橋全体を映す。そして、また入り口に戻ってくる。これを1カットで撮りました。1カットで撮るのはすごく難しいのですが、こういうことができると、すごく面白い映像が撮れます。

人が行けない場所の撮影をドローンでするのは、仕事でよくあります。例えば、砂防ダムの点検をしたことがあります。普通、山の中なので、まず現地に行くのが大変です。それを、私はゴーグルだけを見ながら、機体をダムまで飛行させ、点検します。ドローンがあれば、こういう仕事もできます。

それから、今まで人が登らなければいけなかった高いところも、ドローンを飛ばして検査ができます。例えば、私は秩父石灰さんのプラントの検査をします。ドローンを飛ばし、建物や機械のサビ具合や塗装のハゲ具合、どこかに不具合がないかなどをチェックするのです。ドローンによって、点検が大変な箇所も楽にできるようになりました。

屋根の点検も多いです。この間、うちの店の大家さんにも頼まれました。雨漏りするということで調べたところ、3分くらいで3ヶ所ほど、怪しい箇所を特定できました。

他にも、ドローンがあればさまざまな映像が撮れます。例えば、メディア。災害の報道では必ずといっていいほど飛ばしています。また、バラエティ番組では、例えばバンジージャンプするシーンを撮るなら、これまでは橋のほうから撮っていましたが、ドローンを使えば、全体の引きの絵が簡単に撮れます。スポーツ番組では、ゴルフのコース紹介や陸上競技などでもドローンが使われています。他にも、企業のプロモーションビデオやCM、観光地の案内の映像などにも使われています。

また、ドローンは不動産業界でも使われます。不動産屋さんから、うちへの問い合わせも増えてきました。ドローンを使えば、家の外観が簡単に撮れるし、上空から周辺の環境なども撮れます。それにより、今まで入居希望者に説明が難しかった内容も、楽に説明できます。例えば、言葉や図だけで東の何m先に学校があると説明するよりも、上空から撮った写真があれば一目瞭然です。外観だけでなく、屋内もドローンで撮影できます。小さな機体で部屋の隅々まで飛ばし、映像に撮る。その映像を見せれば、遠くの人でも部屋に足を運ばず内見できます。

ドローンは、記念写真の撮影でも使われます。例えば結婚式場なら、教会の前に集合してもらい、上空から引きの絵を撮ったりします。また、新郎新婦がキャンドルサービスをしているその周りを小さなドローンでうろうろしながら撮るのも、面白い映像ができあがります。

ドローンは、監視でも使われます。例えばスキー場なら、滑っちゃいけないエリアを監視できます。事務所から機体を飛ばして、禁止エリアに誰か入っていないか見回りをする。機体にはスピーカーもつけられるので、もし誰か侵入者がいたら「入らないでください」と上から注意できます。「上空からドローン監視中」という看板を置けば、それだけで抑止力になります。

ドローンは、農業でも使われます。普通、農業でドローンというと農薬散布が浮かぶと思います。しかし、それだけではありません。最近は、スマート農業というITやロボット技術を使った農業が言われており、ここでもドローンが活躍しています。例えば、種を撒くときの地表温度で、生育が左右される作物があるようです。なので、3カメラで地表温度を測ったりします。種まきの後は、生え具合を定期的に撮ります。発育の具合は、AIがその良し悪しを判断。悪い場合は、対処方法なども指示が出ます。害虫がいれば、虫のいるところだけに農薬を撒くことができます。実がなれば、何月何日ごろに何トンの収穫ができるかの予測もできます。すべて、機体にサーモカメラやセンサー、特殊なカメラをつけ、飛ばすことで、あらゆることが管理できます。こういう農業に、若い人たちが挑戦しています。福島県の相馬市に、そういう人たちの団体があります。今後は彼らと組んで、私たちもいろいろとやっていきます。

ドローンは宅配でも使われます。日本だと、Amazonさんよりも楽天さんがやっています。例えば、離島の方でも、追加の送料を払うことで、荷物を家までドローンが届けてくれます。今はまだ海を渡って離島に荷物を運ぶ段階ですが、今後、法律が整備されていけば、日本の空をどんどん機体が飛ぶはずです。実際、福島県では、郵便物を本局から分局へドローンを使って届けています。

ドローンは人命救助でも使われます。私も仕事で何度か携わったことがあります。これはアメリカの事例ですが、交通事故などで「AED(自動体外式除細動器)」が必要になった際、ボタンを押すだけで、車から電波が発信され、AEDを積んだドローンが飛んできます。そういう実験が成功しています。

今後のドローンの活用

この画面の資料は少し前のものなので、今は実用化されていますが、これからドローンは、セキュリティー面でもっと活用されていきます。例えばセコムさんは、倉庫の周りにドローンを飛ばして監視をするサービスをやっています。不審者が来ると追尾して、映像に残します。セコムやALSOKで実用化されています。

また、これからドローンは、定点観測でも活用されていきます。例えば、無人で飛ぶ飛行機の翼に太陽光パネルを貼り付ければ、発電した電気で、2年でも3年でも飛び続けます。もし曇ってきたら、雲の上に移動すれば問題ありません。それで365日飛ばし続けられます。そうなれば、上空から観測し続けられます。もう衛星を上げなくてよくなります。衛星を一発上げるだけで、すごい費用がかかります。そのコストも、ドローンを使えば削減できます。また、使われなくなった人工衛星は回収できないため、ゴミのように宇宙をただよっています。しかし、地球上でドローンを飛ばせば、すぐに回収できます。空を汚しません。こういうことを昔、私たちも提案していました。それが実用化されてきています。今は、ソフトバンクさんが動いています。ドローンなら、地球一周の通信網を作るのも簡単です。

ドローンの種類

これは昔、私たちがヘリコプターで空撮をしていた頃の機体です。ヘリを操縦しての空撮は、日本で最初期の頃からやっていました。大きいヘリですが、飛行時間は6分ほどです。

その後、皆さんのよく知る形のドローンが出てきました。これらは、中国メーカーDJIの機体ですね。「PHANTOM」や「INSPIRE」など、いろいろあります。

ドローンの種類もたくさんあります。ローターという、羽が3枚や4枚、6枚、8枚のものがあります。4枚ローターはクワッドコプター、6枚ローターはヘキサコプター、8枚ローターはオクトコプターと言います。

ちなみに無人で飛べば、オスプレイ型の2枚羽の機体もマルチコプターになります。しかし、オスプレイタイプは、非常に飛行が不安定で、落ちる確率が高いです。そのため、アメリカの大統領は誰も乗ったことがありません。日本の総理もそうです。2枚の羽でバランスを取るのは難しいのです。また、100%電子制御のため、もしどこかが狂ったら、腕のよいパイロットでも墜落させてしまいます。それがジャンボジェット機だったら、翼が半分取れてもエンジンに不具合があっても、パイロットに腕さえあれば無事に着陸できます。しかし、オスプレイのような2枚ローターは危険です。ローターは、4枚以上あると安定します。

ドローンの操縦モード

ドローンには、4つの操縦モードがあります。ドローンを飛ばす際は、360度回る2本のスティックを、前や後ろ、斜めに動かして操縦します。スティック操作により、機体を上昇させたり下降させたり、前進、後進させます。これらの組み合わせは4種類あり、それぞれをモードと呼びます。モードごとに、操作が違います。1つのモードに慣れてしまうと、他のモードで操縦するのは困難です。ドローンは頭で考えながら操作するのではなく、手癖で無意識に操作するからです。

操縦モードは国ごとに違い、日本では「モード1」が主流です。私たちのドローンスクールでも「モード1」で教えています。ただ、最近は「モード2」という欧米で流行っているモードが、日本に入ってきています。もともと「モード2」は、おもちゃ業界から入ってきました。海外から輸入してきたおもちゃのドローン(トイドローン)は「モード2」です。それで、日本にも「モード2」が広まってきました。しかし、日本のプロの99%は「モード1」で操縦しています。10年以上やっている人で「モード2」の人はいないと言ってもいいでしょう。操縦モードは、ほぼ「モード1」と「モード2」が使われています。「モード3」や「モード4」を使っている国はあまりありません。

ここでは「モード1」で話を進めていきます。プロとして仕事でドローンを飛ばすことを目指す場合は、「モード1」で覚えたほうが有利です。細かく機体を操縦できるからです。

まず、右のスティックから解説します。右スティックを上下させると、機体が上がったり下がったりします。右や左に傾けると、機体も右、左に移動します。

次に、左のスティックを解説します。左スティックを上下させると、前進、後進します。右や左に傾けると、機体も左旋回、右旋回します。

ドローンは、このスティックの組み合わせで操縦します。いきなり2本のスティックで操縦するのは難しいので、今日はまず、1本ずつやっていきましょう。後ろに当校のインストラクターが2名います。彼らがシュミレーターで操縦を教えます。シュミレーターで、スティックを1本ずつ動かして、ドローンを操縦してみてください。スティックを2本同時に動かせば、飛行機みたいな旋回もできます。でも、これはすごく難しいです。慣れてきたら挑戦してみてください。

ドローンの法律と規制

ドローンは、飛行禁止区域があります。法律で決められています。ここは飛ばしてはいけません、人口集中地区も飛ばしてはいけませんというルールです。人口集中地区とは、1平方キロメートルあたり4000人以上のところです。横瀬町には、どこにも人口集中地区はありませんね(笑)。秩父市内は一部あります。また、150m以上の上空を飛ばしてはいけません。実際、150m以上飛ばすと、小さな機体は点にしか見えません。

もちろん、これらは国交省の「飛行許可」を取れば飛ばせます。しかし、飛行許可を取るには、かなりの操縦技術が必要です。許可なく飛ばしてはいけません。

まだまだ、ドローンには細かいルールがあります。

① ドローンは、日の出から日没までの日中にしか飛ばせません。

② 機体から目を離して飛ばしてはいけません。もちろんプロは、機体から目を離して、画面だけを見て飛ばすことがあります。しかし、それには飛行許可が必要です。許可がないなら、絶対に機体から目を離してはいけません。

③ これは、人や物件の30m以内は、許可がない人は飛ばしてはいけないということです。例えば、近くに国道がある場合、そこから30m以上離れていないとドローンは飛ばせません。違反するとけっこう厳しくて、50万円以下の罰金または1年以下の懲役だったかな。送検された人も多いです。第三者。これは、例えば庭でドローンを飛ばそうと思っても、30m以内に民家や車などがあれば、その人に許可をもらわないと飛ばせないということです。「すみません。ドローンを練習したいので飛ばしてもいいですか?」と聞いて、「いいですよ」と言われたら、飛ばせます。

④ 縁日などの催し物があるとき、その上空で飛ばしてはいません。人が集まるところなので、これまでもいろいろと事故がありました。これも許可を取れば飛ばせますが、なかなか下りません。

⑤ 爆発物などの危険物を輸送してはいけない。

⑥ 無人航空機からものを落としてはいけない。

これらも許可を取ればいいですが、ない場合は飛ばさないでください。

それから、一昨年の9月に、さらに4つのルールが足されました。ルールが足されるということは、もっと厳しくなるのかなと思っていました。ところが、以下のような、びっくりするような内容が足されました。
⑦アルコールや薬の影響がある中で飛ばしてはいけない
⑧飛行前確認をしろ
⑨他の機体にぶつけちゃダメ
⑩他人に迷惑をかけてはいけません

これらは、どう考えても常識的なことです。わざわざ法律にしなくちゃけいないくらい、今は非常識な飛ばし方をしている人が増えています。例えばお花見のシーズンになれば、ちょっと桜を撮ろうぜと言って、何の確認も許可も得ずに飛ばしてしまう。バッテリー残量が半分しかないのに飛ばして、途中で墜落してしまう。そんな飛ばし方を平気でしてしまいます。

この間も、秩父の大滝にいる知り合いから、「みんな勝手に私有地でドローンを飛ばしている!」と電話がありました。その人は、紅葉のキレイな場所を管理している人です。みんなでドローンを飛ばして、機体同士がぶつかりそうになったりして、大変だったようです。

こういう場合、管理者としては、まずパイロットに国交省の飛行許可を持っているか聞いてください。逆にパイロットとしても、飛行場所が私有地なのか、国有林なのか、そうじゃないのか、確認しなければなりません。下手をすると、何の許可も持っていない人が飛ばしていることもあります。それですぐに墜落させてしまいます。だから、ドローンはあちこちに落ちています。

この機体は、GPSを拾って場所を把握しています。だから、何もしなくても空中でピタッと停止しています。風が吹こうが手で触ろうが、ほぼ動きません。

しかし、GPSの信号が入らない場合もあります。例えば、私はよく台風の後の災害調査や点検を頼まれてドローンを飛ばしますが、そういう場所ではGPSが入らないことが多いです。GPSが入らない場合は、マニュアル(手動)で操縦しないといけません。そうしないと、間違いなく機体を墜落させてしまいます。

おそらく先ほどの紅葉を撮っていた人たちも、最初はGPSが入っていたけど、景色のよいポイントに近づいたらGPSが切れ、風に流され墜落というパターンだったのでしょう。こういうことが原因で墜落することはよくあります。それで、落ちたドローンを探しに行って、高いところから滑落し、亡くなってしまった人もいます。

私たちみたいなドローンのプロパイロットは、よく警察や消防から捜査や救助で飛行を頼まれることがあります。その場合、人命救助を優先するため、すべてのルールを無視して飛ばせます。例えば、夜間飛ばす許可を持っていなくても飛ばせるし、救援物資を上から落としてもいいのです。

話はそれますが、以前、岐阜で親子が遭難し、亡くなられた事故がありました。そのとき、ドローンを使って捜索が行われました。しかし、昼間の時間帯だけ飛ばしていたようです。また、かなりの上空から空撮しているだけとのことでした。それでは、地上は枝だらけなのでまったく分かりません。もし私に依頼が来ていたら、夜間飛ばしました。機体にスピーカーとビーコンという光るものを付けます。そして、遭難者に対して、スピーカーから「携帯電話を光らしてください。LEDライトを点けてください」と呼びかけます。夜間なので、光るものがあればすぐに発見できます。

経験豊富なドローンパイロットであれば、そういうことができます。しかし、そういうパイロットさんと政府は、あまりつながりがありません。その結果、助かる命が助かっていないのです。

この間も、がっかりするようなことがありました。今どきのドローンの機体は、アームが全部折り畳めてジャケットの中に入るほどコンパクトです。また、災害や事故の現場で使うにも、十分な性能です。そこで、そういう機体があることを、ある山岳救助隊の人に伝えました。すると、「こんな機体があったら最高だ!」と喜んでいました。そして上司に提案してみたらしいのです。そうしたら、「うちにもドローンがあるだろ」「そんなものは必要ない」と言われてしまったようなのです。しかし、その上司の言うドローンは、大型のでかい機体でした。果たして、そんな大きな機体を、足場の悪い中、現場までどうやって持っていくのでしょうか。こんな調子では、助かる命も助かりません。

ドローン操縦は安全を優先

ドローンを飛ばすときは、自分の技量をわきまえて、無理のない飛行をしてください。それが、私たちプロパイロットの願うところです。では、講義はこれで終わります。