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0:28 はじめに
03:00 ドローンを飛ばすには資格が必要か?
07:38 今 世の中にあるドローンの資格はどういうものか?
15:22「国土交通省認定」の資格は本当に認定されているのか?
21:34「ドローンの免許」は必要か?
38:40 今 ドローンの民間資格を取ると免許の試験で有利か?
47:26 民間資格や免許があると仕事で有利か?
57:39 もし民間資格を取るなら独学かドローンスクールか?
1:13:40 終わりに

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【最新版】ドローンの資格・免許の嘘と本当

【最新版】ドローンの資格・免許の嘘と本当 ビデオセミナー

こんにちは。UAVプロパイロットの中村一徳です。今日は、ドローンの資格や免許についてお話します。最近、この業界では、ドローンの免許についていろいろな話がされています。それを聞いていると「間違いが多いな」と。実は、2020年にも、こうしたビデオでドローンの資格や免許についてお話しました。ところが、そのときから状況は変わっておらず、「あれ、これはおかしいぞ!?」と感じていました。そこで今回、またこのようなビデオを作りました。内容は、あくまでも私の見解です。ただし、この2年で得られた確かな事実をもとに、お話をしていきます。

セミナー講師紹介
ドローン・プロパイロット 中村一徳
日本のドローンの開発・普及に初期から携わる。ドローンスクールを15年以上前から運営し、数多くのプロパイロットを育成・輩出。教え子たちは、測量や点検、調査、空撮などで活躍中。ラジコン歴46年。一般社団法人千葉房総技能センター理事。東京浅草生まれ町屋育ちの江戸っ子。DJI製品正規代理店。
最近の活動例(一部掲載)
画像① UAVによる災害対策デモンストレーションを実施。秩父郡市の消防、警察関係、埼玉県の防災課、国会議員秘書など40名余りが参加
画像② 日本キャタピラー秩父ビジターセンターと提携。UAV関連事業を一手に受託
画像③ 「西武鉄道」「秩父鉄道」主催 子ども向け「ドローン体験イベント」開催
画像④ 2016~22年『測量・地理空間情報 イノベーション大会」参加・出展。主催:公益社団法人 日本測量協会 後援:国土交通省 国土地理院
その他の活動は弊社ホームページで

ドローンを飛ばすには資格が必要か?

現在、ドローンを飛ばすために必須の資格はない
「資格がないと飛ばせない」と感じる原因は、そのような雰囲気を、いろいろなドローンスクールが作ってきたため

現在、ドローンを飛ばすのに必要な資格はありません。これは前回もお話しました。2年も経つのに、まだまだ皆さん「資格がないと飛ばせない」と思っているようです。

多くの人が「ドローンを飛ばすのに資格が必要」だと思いこんでいる原因は、巷のドローンスクールの広告に「なんとか何級を取ろう」「なんとか認定試験を受けよう」みたいな文言が載っているからでしょう。それを、もし知識のない方が見れば「何か資格を取らないとドローンは飛ばしちゃいけないのかな?」と勘違いしていまいます。私はドローンを飛ばす仕事で、時給に換算すれば5万円以上を貰っています。しかし何の資格も持っていません。もちろん、皆さんと同じように、普通にドローンを飛ばして仕事をしています。

そのような民間資格を、あたかも「ドローンを飛ばす際に必要だ」と感じるよう、さまざまなドローンスクールが広告やホームページなどで謳っています。2年前から私は、「ドローンを飛ばすのに資格はいらない」と、さまざまなところで話してきました。しかし、状況は変わっていません。むしろ広告の表現はひどくなっています。もう一度言いますが、「ドローンを飛ばすために必要な民間資格は一つも存在しません」。もしもそれを必要だと言っている人や団体があれば、それは嘘です。嘘がだんだんとエスカレートしてきています。「自分たちが発行する民間資格がないと飛ばせない」、という雰囲気が作られています。

今回、なぜまたドローンの民間資格について話しているかというと、ひどい話を聞くことがますます増えてきたからです。最近、うちのドローンスクールに入学する方は、その前に別のドローンスクールを2校、3校と出ていることがあります。2年前は、うちのドローンスクールが1校目だという方が大半でした。しかし最近は違います。それで、2~3校出た方に「どうしてフリークスガレージに入学を?」と聞くと、こう答えます。
「他校で民間資格を取ったけど、ドローンをどう飛ばしていいか分からないから」
「その団体の民間資格は取ったが、仕事が取れないから」
……それはそうですよね。取得した民間資格に、何か特別な力があるわけではありません。最近、そういう出来事が目立ってきました。そこで、前に話してから2年も経ち、これから免許制度も始まる(このビデオは2022年9月に収録)ことから、改めてドローンの資格や免許についての真実をお話しようと考えました。

「ドローンを飛行させるには資格がいるか?」と聞かれたら、ズバリ「必要ありません」と言うだけです。必要だというドローンスクールがあれば、そこは嘘をついています。気をつけてください。

今、世の中にあるドローンの資格はどういうものか?

いろいろな団体が発行しているが、すべてただの民間資格(発行団体の中だけで通用するもの)
私たちプロから見たら、名称がおかしい資格名がある
一部のスクールでは資格の更新がある(更新料もかかる)みたいだが、公的な資格ではないのでそれは賛成できない

今、いろいろなドローンスクールが発行する資格がはびこっていますが、これらは全部“民間資格”です。各団体が発行している、統一性のないものです。だから、レベルが全部違います。「あの団体が発行するナントカ資格」と「この団体が発行するナントカ資格」は、身につく知識・技術など、何もかも違います。カリキュラムや学科、実技試験などに、統一の基準がありません。だから、各民間資格の良し悪しは比べることができません。

しかし民間資格と聞くと、ドローン業界に馴染みのない方は、どのドローンスクールで取ってもそれなりの内容や価値があるのだろうと感じてしまうはずです。また、ドローンパイロットを雇う側の企業も、「民間資格を持っている人ならまともにドローンを飛ばせるはずだ」と勘違いしています。それが、内情をよく分かっている企業なら、民間資格は当てにできないと理解しています。しかしそのことを理解していない企業だと、パイロットが民間資格を持っているか持っていないかでしか、採用のふるいにかけられません。その結果、「ドローンは資格がないと飛ばせない」という間違った認識がパイロット志願者の間に起こります。このような勘違いは、皆さんが正しい認識をするまでなくならないかもしれません。

あと、ドローンの民間資格の中には「更新が必要」なものがあるそうです。自動車には免許の更新があります。私はゴールド免許なので5年に1回の更新です。普通は3年に1回の更新です。もちろん、更新料がかかります。車なら分かります。しかし、ドローンの民間資格に更新料がかかるのは、おかしくないですかね? だって、何の効力もない民間資格ですよ。効力のないものを更新してどうするのかなと。「それはただの金儲けだろう!」と。おかしな話ですよね。でも、そういう団体がけっこうあります。他校を卒業した生徒が、そういうドローンスクールの内情を全部話してくるので、私もいろいろと分かってきました。

世の中にはさまざまなドローンの資格がありますが、すべて民間の団体が発行する民間の資格です。特別な効力はありません。その団体の中だけで通用するものです。例えば農薬散布をしたい場合、特定の団体の講習を受けてくださいと言われます。受講すると、民間資格が貰えるようです。その資格があれば、団体の周辺では「ああ資格があるのね」と、多少話しが通じやすくなるのかもしれません。しかし、そこでしか通用しません。農業分野で農薬散布をするためのものですから。その民間資格で、空撮や調査、点検、物資輸送などの仕事はできない。分野が違うからです。1つの資格で、すべての分野を卒なく飛ばせるという証明はできません。そもそも、ドローン業界をよくわかっている企業から見たら、資格はスキルの証明にはなりません。ドローンの資格はよく分からないものです。

「国土交通省認定」と記載の資格は本当に認定されているのか?

「国土交通省認定」の資格は「国交省認定=国家資格」だから今はまだない(2022年9月現在)
認定されていれば「認定書」や「登録番号」を掲載するはず
純粋なドローンパイロット志願者が誤解するような表現はしないでほしい

現在、国土交通省“認定”の民間資格はありません。認定ですからね。認定とは、国土交通省がその団体や資格を認めていることになります。それは「=国家資格」です。しかし、2022年9月現在、国土交通省が認定しているドローンの資格は、私が知る限りありません。

もちろん、国土交通省のホームページに“掲載”されているドローンスクールはありますが、それは“認定”ではありません。掲載というのは、国土交通省が定めるカリキュラムを取り入れている学校名が、国交省のホームページに載っているだけのことです。どんなドローンスクールでも、条件を満たし申請すれば掲載されます。それは認定ではありません。

昔、うちのドローンスクールも掲載しようかなと考えたことがありましたが、意味がないから止めました。なぜ意味がないかというと、申請したドローンスクールのことを国交省が調べないからです。スクールは国交省に書類を送ります。「学科はこんなことをしている」「実技はこんなことをしている」と。しかし、国交省は各スクールの授業を見るわけでもなく、調べることはありません。本当にやっているか分からない。でも、それらしい書類を送れば申請が通ります。書類を受理して、「はい掲載します」と。それだけのことです。なので、国土交通省に掲載されていても、そのスクールのカリキュラムに信頼性はありません。

本当に認定されたドローンスクールかどうかを見分けるには、「認定証」を掲載しているかどうか確認してください。国から認定されているなら、必ず認定証や認定番号があるはずです。「御校は国土交通省の定めに従って……登録します」のようなものがあるでしょう。そういう視点で、ぜひ「国土交通省認定」と謳っているドローンスクールの事務所やホームページを見てください。そこに認定証があるかどうか。あなたは見たことありますか? 私は見たことがありません。

私がこんなことを言うのは、日本の空の安全を確保したいからです。別に嘘をついているドローンスクールを貶めたいからではありません。ドローン業界が健全化されないと、これからの空の安全が守られません。安全な空が確保できるなら、何をやっていただいてもいいです。でも今の状況だと、ドローンパイロット志願者が勘違いするだけです。例えば、「『国交省認定』と書いてあるから、ここは国に認められた学校なんだ。入学すれば確かな知識や技術が得られるんだ」。……そう思ってしまいます。そんな勘違いさせて何が面白いのかなと。こんなことを言うのは、うちが目立ちたいからとか他校を貶めたいからではなく、ドローンパイロット志願者さんに迷惑だからです。

空の安全にかかわることなので、真剣にドローンを仕事にしたい方を騙すような、勘違いさせるような表現はしてほしくありません。うちには、北海道から沖縄まで、全国から生徒が来ます。先日も、熊本からわざわざ埼玉県秩父の当校に来てくれました。そういう生徒さんを見ても分かりますが、彼らは人生をかけてやっています。うちに来る生徒さんは、2校、3校とドローンスクールを出たという方がよく来られます。中には、何百万円ものお金を使ったという方もいます。「何百万円も使って、何の知識や技術も身につかなかったんです……」。そんなふうに私に訴えてきます。この状況は、どうしたらいいんですかね? せっかく働いて貯めたお金を何百万円も使って、結果、何も残っていない。助けてくださいって……。そういうことを防ぎたいだけなんですよ。そうすれば、きちんと安全にドローンを飛ばせるパイロットさんが日本にもっと増えるはずなのでね。

だから、ドローンスクールの中で「国交省認定」と謳うのであれば、「認定証」を見せてください。それなら私も納得できます。私は国土交通省の方とも通じています。「『国交省認定』の学校はない」と、国交省の方が言ってくれれば、皆さんも納得するはずです。今度、国会に行ったときにそういった話もしてきます。それで文書なりで見せられれば、騙される方も減るのかなと思っています。

現状、私の見解では、「国土交通省認定」のドローンスクールや資格はありません。国土交通省に電話して聞いてみてください。

「ドローンの免許」は必要か?

免許がなくても飛行申請すれば飛ばせる
リスクの高い仕事(レベル4)で飛ばすなら必要
免許を取るメリットは、飛行申請の手続きの煩わしさがなくなること(しかし、飛行許可の申請は簡単に自分でできる)
「登録講習機関」はこれからできる

最近、ドローンの免許制度に関しての資料が、国交省から大量に出てきました。資料を見ると、「ドローン」という言葉がほとんど使われなくなってきました。ドローンの代わりに「無人航空機」や「UAV」「マルチコプター」という言葉が使われています。

これは私が十数年前から言ってきたことなのですが、皆さんがドローンだと思っている機体は、「マルチコプター」が正しい名称です。「ドローン」は通称です。「ドローン」という名称は、海外でも通称と分かって使っています。海外の方がドローンと聞くと、「ラジコン飛行機」などの無人航空機を連想します。

「ドローン」は通称なので、公的な文書には一切出てきません。辞書で正式な名称と認められていない言葉を、正式な文書で使うはずはありませんよね。先日、私が国会に呼ばれたときに、ドローンの言葉の定義についても伝えてきました。もしかしたら、そのことが取り入れられて、今回の資料が作られたのかもしれません。

もしドローンという名称を使うなら、「ラジコンヘリコプター」や「ラジコン飛行機」も入れなければなりません。なぜなら、先も言いましたが「ドローン」は「無人航空機(UAV)」の通称だからです。無人航空機は、「ラジコンヘリコプター」や「ラジコン飛行機」「マルチコプター」が入ります。一種類のものだけを意味するわけではないのです。ちなみに、ヘリコプターは「回転翼航空機」とも言います。回転翼とは、シングルローターのヘリのこと。そのローターがいくつも(マルチ)ついているのが、マルチローターヘリコプターで、略して「マルチコプター」です。「回転翼」はヘリを意味します。たまにおかしな名称の資格名がありますが、それは定義が分かっていない人が考えたものでしょう。非常に恥ずかしい間違いです。
※普段私は「ドローン」という俗語を使わず、正式な「UAV(無人航空機)」という言い方をしています。しかし、一般的には「ドローン」と言わないと通じないため、ここではドローンという表記で統一しています。

さて、今後、ドローンを飛ばすときは免許が必要かどうかですが、簡単に言えば必要ありません。ほとんどの人は免許を取らなくても大丈夫です。一部の難しい状況を飛行する場合は必要です。しかし、一般的なドローンの仕事では不要です。私もいろいろな分野でドローンを飛ばしていますが、今後もすべて免許なしでできます。

ドローンの免許が不要なことは、以前、国会に呼ばれたときに貰ったこの資料にも書かれています。この資料は、以下の「無人航空機普及・利用促進議員連盟」総会の方々が作っています。
○内閣官房:内閣官房 小型無人機等対策推進室 審議官、参事官
○国土交通省:大臣官房 技術総括審議官、公共交通・物流政策審議官、航空局 安全部長
○経済産業省:製造産業局 審議官
○警視庁:警備局 警備運用部 警備第一課長
○総務省:総合通信基盤局 電波部 移動通信課長

資料には、「レベル4以外の飛行は、操縦ライセンスは必須ではない。現行通りの許可認証を得れば、飛行可能」と書いてあります。「操縦ライセンス」とは、ドローンの免許のことです。今後、ドローンが免許制度になっても、レベル4で飛ばさなければ免許は不要ということです。レベル4とは、「現行では飛行を認めていない『有人地帯(第三者上空)』での補助者なし目視外飛行」のこと。簡単に言えば、「渋谷の真ん中で操縦者が機体を見ずに飛ばす」ような飛行のことです。この飛ばし方をするなら免許を取ってくださいということです。

なぜ私は、今後も免許を取らなくてもドローンで仕事をし続けられるかというと、レベル4の仕事は断るからです。ドローンスクールをやっている身でこういうことを言うのは申し訳ないのですが、ドローンを飛ばしていて「落とす自信」しかありません。逆に、「落とさない自信」はありません。もちろん、今まで仕事で墜落させたことはありませんが、明日の仕事では落とすかもしれない。絶対に落とさないとは言い切れないのです。だから、レベル4のようなリスクの高すぎる場所での仕事はしません。今後も、今と同じように人払いをした寺院とか観光地の撮影、現場の調査や測量、建物の点検、物資輸送しか受けません。例えば、山のふもとから山頂に物資を運ぶような飛行であれば、万が一墜落させても、最小限の被害で済みます。町中の人だらけの場所で飛ばすような、リスクの高い仕事は受けません。だから、ドローンの免許を取らなくても仕事を続けられます。

とはいえ、ドローンの免許は持っていると便利です。飛ばすために必要な、面倒な国への手続きをしなくてもよくなりますので。だから、免許を取るのは結構なことです。ただ、重要なのは「ドローンを飛ばすために、“絶対に”免許が必要ではない」ということです。なのに、一部のドローンスクールさんは、誤解を生むような表現をしています。まるで「免許がないと、今後は誰もが一切ドローンを飛ばせない」ように勘違いさせる広告を出しています。しかし、自動車免許とは違います。免許がなくてもドローンは飛ばせます。

この間も、うちのドローンスクールの説明会に来た方が全員、「ドローンを飛ばすなら、必ず免許が必要になる」と思い込んでいました。その方たちに、私が国会で聞いてきた免許についての話をしたらびっくりしていました。「本当ですか?!」と。もし疑うなら、国交省に聞いてみてください。この資料は国から貰ったものです。私の話が嘘なら、この資料も嘘になっちゃいますから。もちろん、今はまだ免許制度について国も検討段階なので、今後、あり方が変わってくる可能性はあります。

ただ、私が一番望むことは、「ドローンを飛ばすなら100%免許が必要」となる制度です。今みたいな中途半端な免許制度ではなく、自動車と同じような免許制度です。空の安全を守るなら、きちんとした実地試験をやって、安全・確実に飛ばせるドローンパイロットを排出しなければいけません。まじめにやっているパイロットが大手を振って飛ばせる、そんな日本にしてほしいです。実際、そのように国にも言いました。そうしたら国の方から私に、「一番難しい免許試験が見られる試験管がいない。だから、その試験管を見る試験管になってくれないか」と提案をいただきました。ただ、私は面倒なことが嫌いなので断りました。もちろん、100%免許が必要という制度が実現するときであれば、喜んでやらせていただきます。そのようなドローンの免許制度が実現すれば、私がずっと言っている「日本の空の安全」もよくなっていくはずです。

今後は、よりドローンの墜落や事故が増えていくはずです。最近も、ドローンの墜落や事故のニュースがあちこちで聞かれます。これは、「ドローンを飛ばすにはきちんとした知識と技術が必要」ということを、誰も分かっていないからです。ドローンを飛ばす人にきちんとした知識や技術があるかどうか、国が管理しなければなりません。だからこそ、中途半端な免許制度ではなく、誰もが免許が必要な制度にすべきでしょう。そうしないと、本当の空の安全は確保できないからです。

ドローンの免許について考えるときに気をつけてほしいのは、これから「登録講習機関」ができるということです。登録講習機関になることで、そのドローンスクールは国に認められたことになります。登録講習機関で勉強すると、試験で実技が免除されるということです。これから国に認められた学校ができるのに、なぜ今、認定校があるのでしょうか?(笑)。

あとは、ドローンの免許制度にも、自動車でいう一発試験があります。登録講習機関に通わず、いきなり試験を受けることもできます。ただ、試験をやるときに、誰が試験管をやるのか、どこでどうやるのかなど、不透明な部分もまだまだ多いです。

うちのドローンスクールも、この先、登録講習機関にしようと動いています。これまでは、やる意味がないので国交省のホームページの掲載校にはしていませんでした。しかし、本当の意味で認定されるなら意味があります。うちは大きな体育館やグラウンドを設けていますから、登録講習機関の条件は満たしています。

ドローンの免許は、レベル4で飛ばさないなら取らなくてもいいものです。それを、いかにも「免許を取らないとドローンは飛ばせない」と謳っている広告やホームページがあります。それは嘘ですから、気をつけてくださいね。

今ドローンの民間資格を取ると、免許の試験で有利か?

有利か不利かはその人次第
「民間資格がある=安全に飛ばせる」ではない
本物の知識と技術があれば「一発試験」で合格できる

次は、今ドローンの民間資格を取ると免許の試験で有利かどうかですけども、ここは私もいろいろと思うことがあります。

まず、有利か不利でいうと、有利にはならないと言えます。ただ、今後いろいろと国が決めていく中で、場合によっては有利になるかもしれません。現状、たくさんの民間資格が出回っているし、国交省に掲載されているドローンスクールがあります。もしかしたら、そういうところで資格を取った人には、免許取得時に一部試験の免除があるかもしれません。

ただ、気をつけてくださいね。なぜ有利にはならないかを考えて欲しいのです。例えば、フリークスガレージに来る生徒さんは、2~3校とドローンスクールを出ている方が多いです。なぜそういう方が来るのかというと、3~4日のカリキュラムでは技術も知識もつかなかったからです。もし、そういうドローンスクールの民間資格を取っていて、免許試験で一部免除され、すぐに免許が取れたとします。そして、免許があるからといってドローンを飛ばしたときに……。わかりますかね。安全に飛ばせないことが。そのことに気がつけばいいです。しかし、気がつかない人は危ないです。そういう方は、開けたグラウンドでGNSSがばっちり入るところで飛ばして、なんとなく機体を操縦できているような気になります。もしかしたら、「3~4日学んだから飛ばせるぜ」とすら思っているかもしれません。

最近、そのことを象徴するできごとが、私が活動している埼玉県の秩父地方でありました。秩父は周りが山に囲まれています。自然災害、例えば台風が来るといろいろな被害が出ます。この間も、大きな土砂崩れがありました。場所は詳しくは言えませんが、そういうときは毎回、私もドローンでの調査を依頼されます。災害現場の状況の確認や測量をします。

今回の災害調査は、私ではなく、うちのドローンスクールの上級パイロットの生徒が行きました。現場には、消防や警察、自治体など行政の人間も来ていました。こういうときは、行政の人間からドローンを飛ばすという謎の雰囲気があり、民間であるうちの生徒は後回しでした。そのため、生徒は飛ばす準備をして待機していました。しかし、なかなか他の団体のドローンは飛びません。おかしいな、おかしいな。それで、一台も機体が飛びませんでした。結局、うちの生徒だけが飛ばして調査しました。

なぜ他の団体が飛ばせなかったかというと、現場がGNSSの入らない場所だったからです。普通、災害現場はGNSSが入らない場所がほとんどです。そういう現場で飛ばす知識や技術が、消防や警察、自治体にはありませんでした。いつも私は、「こういう現場は、3~4日で民間資格を取ったパイロットでは100%飛ばせない」と言っています。なぜなら、災害現場はがけ崩れがあるなど、渓谷地帯だからです。渓谷では、GNSSが一切入りません。それで、消防も警察も自治体も、全員飛ばすのを諦めていました。結局、飛んだのはうちの生徒の機体だけ。これ、事実ですからね(笑)。わかります? 私は、今後もそうなることを心配しているのです。

ドローンの免許を取るときに、「試験の一部が免除されてすぐ貰えた。ラッキー!」ではダメなのです。すぐ取れることを不幸に思ってほしい。「これ、ちゃんと知識や技術を学んで取得しないと、本当の意味で免許にならないな」と感じてほしい。「やった3~4日スクールに通っただけで免許が取れた。すげえ!」……ではダメ。もちろん免許を取るのは趣味で、取得後は持っているだけということであればいいでしょう。持っているだけでドローンを飛ばさないのであれば。しかし、もし飛ばすのであれば大変ですよ。すべての責任が自分にありますから。

だから、ドローンスクールで民間資格を取った後、免許の試験で有利かどうかと言われたら、私は有利ではないと思います。ただ、「余計な勉強をせずに免許が取りたい」と思う人には、有利かもしれません。だからこれは、「どういうパイロットでありたいか」という、一人ひとりの問題です。「免許さえ取れれば、別にドローンで墜落や事故があってもいい」。これも一つの考え方ですからね。

一つ確かなことは、うちの生徒は練習を続ければ、いざ免許制度になったとき、一発試験で取れるということです。これは完全にうちのドローンスクールのPRになってしまいますが、やっている練習は実践的なことです。機体を安全に運用するための知識や技術が身につきます。だから、一発試験を受けても受かるでしょう。もちろん、一定レベル以上の生徒さんであれば、ですが。そのことは、自信を持ってうちの生徒さんには話しています。

結局、今ドローンの民間資格を取ると免許の試験で有利かというと、その人の問題なので、どうかは断言はできないですね。回答を控えさせていただきます。

民間資格や免許があると仕事で有利か?

民間資格がなくても仕事は受注できる
企業は、パイロットの実績や結果しか見ない
ドローンの仕事に「関連する国家資格」なら有利なこともある

次は、民間資格や免許があると、ドローンで仕事をするときや仕事を獲得するときに有利かどうかですね。これは、有利の利、つまり利益をどう考えるかによります。例えば、うちは民間資格など関係なく、腕さえあれば生徒にドローンの仕事をやってもらっています。しかし、多くの企業はドローンについてよく分かっていないため、民間資格を持っているかどうかで採用のふるいにかけます。資格を持っていない人よりも持っている人のほうが、安全にドローンを飛ばせるんじゃないかと。もちろん、これも勘違いですが。……私は民間資格を持っていないので、持っている人と比べたら、ふるいにかけられ、採用されないでしょう。

企業に採用されるかどうかでいえば、民間資格があったほうが有利かもしれません。ただ、仕事を取るところで有利になるだけで、いざ仕事をやる場面では不利とも言えます。なぜなら、仕事は結果が残せるかどうかだからです。結果が出なければ不利です。分かりますかね?

この話は、2~3日ドローンスクールに通って民間資格を取るといったこととは、まったく別次元の話です。あくまでも、ドローンを飛ばして安全に空の仕事ができるかどうかの話です。なので、仮に民間資格があれば仕事を受けやすくなるとしましょう(多くの場合それは間違いですが)。いざ仕事が来た。しかし、現場でクライアントに要求された飛行や撮影ができなかった。データが取れなかった。そうなると、仕事は来たけど結果が出せなかったわけです。有利だったけど不利になりました。分かります?

仕事が来ただけでお金が貰えたら、それはラッキーです。でも、実際には、自分で仕事をしなくちゃなりません。もし仕事でドローンを墜落させたら、「なにやってんだ! 二度とお前のところは使わね―ぞ」となります。そうなれば、これは有利なのかといことです。分かりますかね。別次元の話をしていることが。

ドローンの民間資格があれば有利・不利ということではなく、仕事の結果がどうなるかで有利・不利が決まるということです。そういう意味では、民間資格や免許があっても、まったく有利ではありません。民家資格や免許があるから仕事がもらえた。ラッキー。現場でドローンを墜落させてしまった。壁にぶつけてしまった。損害賠償を請求されました……。これが有利と言えることかどうかです。

実際、「どこそこのドローンスクールの民間資格を持っています!」と、私のもとに来る方は多いです。すごいですね。資格を持っているんですね。でも、それで本当にクライアントの求める結果が出せるのかを考えてほしいです。仕事の目的は、結果を出すことです。仕事をもらうことが仕事ではありません。そこまで考えた後に、有利か不利かを考えてください。おそらく、今出回っている民間資格で仕事の結果を出そうとすることは、ものすごく不利なことです。

ドローンの民間資格がスキルの証明になるかというと、まったくなりません。資格を持ってきた人の100%が、うちのドローンスクールの初歩的な試験すら通過できません。それは非常に怖いことです。もちろん、団体によっては「どこそこの資格があれば仕事を出しますよ」というところがあるのかもしれません。しかし、果たしてそれで仕事が成り立つかどうか、非常に疑問です。

以前、うちの生徒さんからこんな話を聞きました。なんでも、勤めている会社がドローンの部署を創設すると。それでパイロット募集があったといいます。応募の際は、どこかの民間資格を持っていると有利だったといいます。では、その会社で行う試験はどういう内容かというと、シミュレーターでラジコンヘリが飛ばせるかどうかというものだったそうです。……現場で実機を使って、安全な操縦ができるかどうかを見るわけではないんですよ。だから、その生徒さんに私は言いました。
「まずは、あなたが安全運行のための知識と技術を積む。そして、『ドローンの仕事は危険だから真面目に試験をしたほうがいい』と、上司に伝えてはどうか」と。
しかし、そこの部長がどこかの民間資格を持っている人で、その資格を発行した学校の考え方でやっているから、そういうことを言っても聞いてくれないかもしれないそうです。そうなると、この会社は現場で飛ばしたときに、必ず事故を起こすでしょう。

民間資格があることを有利かどうか、一人ひとりが真剣に考えなければいけません。ドローンの免許があると飛行申請をしなくてもよくなるなど、少し便利にはなります。しかし、資格や免許があることと安全に飛ばせることは別問題です。例えば、秩父の山を歩くと、ドローンの機体を一袋分拾うことができます。それだけ多くの人が飛ばして、墜落させています。その中には、民間資格を持っている人もたくさんいるはずです(ドローンスクールはなんと全国に1,300校もあるそうですから……)。なので、資格を持っていることがいいことなのか悪いことなのか、私には断言できません。

次に、ドローンの仕事に関連する国家資格があると有利かどうかですが、これは有利といえます。例えば、無線の免許や危険物の取扱い。玉掛けもそうですね。これから物資を吊り上げる仕事も増えてくるので、その資格を持っていれば強みになります。ただ、これらも持っているだけではダメで、きちんと現場で使える知識・技術が備わっていないと意味がありません。

とはいえ、私たち機体を作る側としては、今、なるべく各種の免許がなくても仕事ができるような形で進めています。免許ありきになると制約が多くなり、安全に仕事ができないことが多々あるからです。免許がなくても安全に仕事ができる、そんな機体や装置づくりをやっています。その形がうまく行けば、スムーズに障害なく仕事を進められます。

ドローンの仕事に関連した国家資格であれば、持っているに越したことはありません。無線などを持っているなら、ドローンパイロットのキャリア作りに、大いに活用してほしいですね。もちろん、持っているだけではダメ。試験内容をよく理解していないといけません。極端な話、自動車免許は取ったけどブレーキが分からない、ウインカーが出せない、標識の意味を知らない……、では意味がありませんよね。学んだことを活用できる能力が備わっていれば、国家資格は持っていると非常に有利でしょう。

ドローンの民間資格や免許は、その人の考え方次第ですね。持っていると仕事で有利か不利か、私は断言できません。一度、ご自身で考えてみてください。

もし民間資格を取るなら独学かドローンスクールか?

独学なら、正しい教材で学ぶ必要がある
ドローンスクールなら、正しい講師から教わる必要がある
現場ですぐ使える知識・技術が習得できないと意味がない

これは、安全にドローンを飛ばせる知識・技術が身につくなら、どちらでもいいです。

ドローンの操縦を学ぶには、独学するか講師から学ぶという2つの方法があります。フリークスガレージのドローンスクールに来られる生徒さんの中には、複数のスクールを出た方も多々います。その生徒さんが言うには、「今までのドローンスクールはまったく意味がない」とのことです。そうなると、大金を無駄にするくらいなら独学でもいいんじゃないか、という発想になるわけですね。

ただ、独学の場合、よい教材がないんですよ。これまで私は20年以上、ドローンスクールを運営してきました。千人以上の生徒と接してきた中で、一つの結論に達しました。それは、皆さんがよいと思っている教材は、私たちプロのドローンパイロットから見たら、よくないということです。

例えば、You Tubeで勉強しようとする人がいますが、意味がありません。そういう場に、ドローンを安全運行できる知識・技術はありません。なぜなら、私たちプロは「ドローン操縦を糧」にしています。何年もかけて蓄積してきたプロの知識や技術を、安易に動画投稿サイトなどで公開しません。You Tubeで何かやっている人は、YouTuberであって、視聴数を稼いで食べている人たちです。私が知る限り、そこに本物のプロはいません。

独学の場合、多くの人が、教材の良し悪しを判断できません。ドローン業界は、専門知識で成り立つ世界です。少なくともラジコンの知識がなければ、本当によい教材を見分けることは難しいです。もし、特定の教材を信じて勉強しても、結果的に事故を起こすパイロットになってしまうことがあります。それでは問題がありますよね。

独学も、やり方次第なんですよ。自分ですべてのことを立証しながらやるならいいです。例えば、動画で「リポバッテリーは危険なので取扱い注意」と言っている人がいたら、実際に自分でもリポバッテリーに釘を打ってみて、状態がどうなるかを確かめるとか(これは例え話です。危ないので絶対にやらないでください)。これが、「リポは危険」と聞いて、「ああ、リポは危険なんだ。これで学んだぞ!」となるのが問題です。あと、機体についても、「こういう状況ではこういう設定をするといい」と聞いたら、実際に自分でそう設定して、飛ばしてみる。それで、やってみたら墜落しちゃった……となったら、聞いたことは嘘だったと分かります。

そうやって、一個一個を自分で実証実験しながら学ぶのであれば、独学でもいいでしょう。しかし、習得には何年もかかるはずです。私自身、今生徒に教えていることは、48年間ラジコンを独学で学んできた結果(経験)です。失敗の積み重ねでした。独学はいっぱい痛い目にあうんですよ。でも、その経験があるから、今の唯一の自分の知識につながっています。

では、講師が教えてくれるドローンスクールに行けばいいのかというと、そうとも言えません。本当の意味で、安全にドローンを運行できる知識・技術を教えているところがすごく少ないからです。ここも非常に問題なところです。

例えば、あるドローンスクールでは、ドローンを操縦中に「危なくなったら送信機のスティックから指を“離して”ください」と教えるそうです。これは、何校かのドローンスクールを出て、うちに来た生徒さんに聞いた話です。その生徒さん、スティックから指を離す癖がついていたので、「絶対にスティックから指を離さないで」と伝えると、「前のスクールでは、危なくなったらスティックから指を離すように教えられました」と。これは大変危険なことなので、絶対に止めましょう。自動車で言えば、「高速道路で走行中、他車や壁にぶつかりそうになったらハンドルから手を離してください」と言っているようなものです。……このやり方に賛成できる方はいますか? もしいるなら、理由を教えていただきたいです。でも、そう教えるスクールがあるのも事実です。どこの大手団体とは言いませんが……。

なぜ他校が「スティックから指を離しましょう」と教えているのかというと、そのやり方でも大丈夫な、一部の機体しか講習で扱っていないからです。例えばDJI製の機体ですと、GNSS信号がついていたり、ビジョンポジショニングという、GNSS信号が入らなくても機体自身が位置を感知して、その場で停まってくれる機能があります。そうした機能がアシストしてくれるため、操縦者が操縦中わけわからなくなっても、ある程度は安全が保たれます。緊急時に、下手に自分で操作するよりも、指を離して止めたほうがいいということでしょう。そのほうが安全だと。

しかし、もう1回言いますが、それは「GNSS信号とビジョンポジショニングが効くところ」でしか通用しないことです。GNSSが入っていないところで送信機のスティックから指を離せば、機体は風に乗ってびゅーん! と、どこかへ飛んでいきます。屋外では、ビジョンポジショニングもほとんど効きません。「あれ、操縦が効かなくなっちゃった。よしスティックから指を離そう。……機体が風に乗ってどっかいっちゃった」。それが正しい教えなんですかね? それでいいと思うなら、ぜひそれで覚えてください。ただし、100%GNSS信号が入るところでしか仕事はできません。そして、そういう現場は100%どこにもありません。こういうことがあるので、GNSSが入らない現場では、消防や警察、自治体が集まっても飛ばせず、うちの生徒しか仕事を遂行できないのです。

だからこれも、独学が有利かドローンスクールが有利かはその人の考え方次第です。考え方と、本物を見極める目があるかどうか。本物を見極められるのであれば、自分の一番やりやすい方法で学べば大丈夫です。

ただ、多くの人にとって、独学でもドローンスクールでも、どちらを選択しても安全な飛行の習得は難しいかもしれません。例えば、うちのスクールの入学を考えている方に、このような本当に簡単な質問をすることがあります。
「乾電池1本、何ボルトか分かりますか?」と。
もちろん知っている人は、「そんなの知らないわけがない」と思うでしょう。しかし、今、乾電池が何ボルトかも知らない方が本当に多いのです。この間も、6人に聞いて5人が知りませんでした。乾電池は子どもの頃から使う、生活に身近なバッテリーですよね。そのバッテリーのことも知らない方が、危険なリチウム・ポリマーやリチウム・フェライト(通じますよね?)を扱うとどうなるか、ということです。「リポバッテリーは、1セルあたり何ボルトか分かりますか?」と聞かれて答えられないなら、まだドローンを飛ばさない方が、ご自身のためにもいいです。

もちろん、「そんなこと知らなくても、今の機体はバッテリーをパチンとつけたら飛ぶよ」と言う方もいるでしょう。しかし、それは「家電みたいな機体」を扱うときのみの話です。仕事で使う「汎用機」と呼ばれるものを飛ばすなら、専門的な知識がないと飛ばせません。専門知識がなければ、それはプロではない。なんちゃってです。

ただ、本当にドローンを安全に飛ばせる知識・技術が学べるなら、そのドローンスクールに通ったほうが近道とはいえます。現場経験が豊富なインストラクターは、みんな現場で痛い思いをしているはずです。その経験を知識として学べば、生徒は痛い思いをしなくても済みます。

ここまで私は、「民間資格は意味がない」「でも本物であればドローンスクールに通ったほうがいい」と話してきました。これは、「民間資格を取るためにドローンスクールに行こう」と主張しているわけではありません。そうではなく、「本物の知識・技術を学ぶことは、免許制度になる前でも後でも、いつでも必要だ」ということです。ただ民間資格を取らせるだけのスクールは、受験のための勉強をするところです。受験後に忘れるような知識は、現場では使えません。3~4日で卒業できるというのは、そういうことです。

本物のドローン操縦の知識・技術を身につけるのに、タイミングは関係ありません。逆に言えば、早ければ早いほど、安全に飛ばせるドローンパイロットになれます。本物の知識・技術は、墜落や事故を起こさないために覚える必要があるわけです。

だから、民間資格を取るとか免許を取るとか、そういう話ではないんですよ。独学がいいか、ドローンスクールがいいか。これも、事故を起こさない知識・技術が学べるならどちらでもいいです。あくまでも、「本物」を身につけてください。

ドローンの資格や免許について 最後に言いたいこと

ドローンは資格なしで飛ばせる
まだ資格は民間資格しかない(国交省認定は無い)
免許制度が実施されても、免許なしで飛ばせる
必要なのは「安全な飛行」ができる知識・技術
ドローンに関わる人すべて、空の安全を一番に考えてほしい

最後に、ドローンの資格や免許について言いたいことがあります。どうも皆さん、「ドローンを飛ばす」ことを安易に考えているようです。確かに、ドローンを使った仕事はこれからの仕事です。現場で使わないとうまくいかないことも、これから多くなってくるでしょう。安全や効率を考えると、ドローンが活用できれば本当にいい仕事ができます。

しかし、ドローンは使い方を間違えると凶器に変わります。私は初心者用の講習で必ず言うことがあります。
「初心者が飛ばすときとプロが飛ばすときで、地球の重力は変わらない」ということです。
初心者が飛ばしているときは重力が軽くなり、墜落するときにふわーっと落ちてきたらありがたいです。しかし、そうはなりません。初心者でもプロでも、同じ重力がかかり、同じ速度で落下してきます。

もしドローンの資格や免許を取るなら、きちんと勉強をしてもらいたいです。ただ資格や免許を持って満足するのであれば、それはそれでいいです。しかし、そういう方は絶対に機体を飛ばさないでください。危ないからです。安全に飛ばせるドローンパイロットになりたいのであれば、ちゃんとした勉強をしなければなりません。安全な操縦は、2~3日、6ヶ月、1年くらいでは身につかないのです。正しいところで正しい勉強をしないために、趣味で飛ばす人も仕事で飛ばすプロも、皆さん墜落させちゃうんです。本当に怖いですよ。もうね。

きちんとしたドローンの勉強ができていない方が、本当に増えました。例えば、他校を2~3校出てからうちに駆け込んでくる方にも、私たちプロが使う専門用語が通じません。それは、先に学んでいたドローンスクールに、専門家がほとんどいないことを意味します。ときには、「本当にそんなこと教えられたの!?」と驚くこともあります。内容を暴露すると問題があるので詳細は言いませんが……。そもそも、受講する方たちが、そのドローンスクールが本物か偽物かの判断ができません。乾電池が何ボルトあるのか分からない方では、絶対に判断はできない。もし偽物を勉強してしまえば、身につく知識・技術は全部偽物です。そういう方がドローンを飛ばすと、必ず墜落させます。そんな事態を避けたい、という話をしてきました。

最後だからもう一度いいますが、ドローンを落とさないパイロットになってほしいです。独学がいいとかドローンスクールがいいとか、民間資格とか免許とか、そんなことはどうでもいいです。今、いろいろなドローンスクールが出てきています。しかし、そのスクールを卒業した人が、じゃんじゃん墜落や事故を起こしている。それが事実です(国土交通省が公開している「事故事例」を見てください)。私が望むのは、「これから安全にドローンを使って、日本の産業を豊かにしてほしい」ということです。それだけの話です。それができれば、何をしてくれてもいいです。何がいい・悪い、ドローンを飛ばす・飛ばすなという話ではありません。勘違いしないでくださいね。

とにかく、安全にドローンを運用できるパイロットになってください。それだけです。私の望みは。お願いです。ドローンを落とさない、しっかりとしたパイロットになってください。

その他 参考記事

【旧版】「ドローンの資格の嘘・本当」

【旧版】ドローン資格・免許の嘘・本当

「失敗しない ドローンスクールの選び方」

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中村一徳の経歴