※内容は、2020年に収録したものです

入校時の特典は多いほうがいい?

ドローンスクールは、特典の数や内容ではなく、カリキュラムの中身で選んでください。もしカリキュラム内容がよくて特典もたくさんついてくるのであれば、それが一番いいでしょう。しかし、特典がよくてカリキュラムの中身がないのは最悪です。もしかしたら、入校費用から特典が出ているケースもあるかもしれません。特典だけに惹かれないようにしましょう。特典が、マルチコプター(ドローン)を操縦するための知識や技術を授けてくれるわけではありません。

機体の購入や設定、操縦方法などのサポートはあるか?

マルチコプター(ドローン)の機体に関するサポートは、おまけではなくメインとしてやるべきだと、私は考えています。特典にするようなことではありません。生徒は何もわからないわけです。だからこそ、よくわかっている人間が当たり前のようにサポートしなければなりません。

例えば、私の場合ですと、妥協したアドバイスは一切しません。なぜなら、生徒が自分で決めた目標に、一歩でも近づけるようにしたいからです。そのため、まず私は生徒に「どういう目的で学ぶのか?」を聞きます。「趣味でも安全に飛ばせるようになりたい」のか、「仕事としてたくさん稼げるようになりたい」のかを理解します。

そして、生徒と一緒になって最適な機体を選びます。機体は、最初に目的がわかっていないと選べません。その理由は、プロは現場によって飛ばす機体を変えるからです。目的がはっきりした上で、「ではこの機体を買ってもらい、このように練習していきましょうか?」と尋ねます。もちろん、機体ごとの設定や操縦方法などもしっかりとサポートし続けます。これらは何も特別なことではありません。プロを育てるわけですから、これくらいはドローンスクール側がやって当たり前だと思いませんか?

ドローンスクールは卒業後のサポートが重要

ドローンスクールを卒業してからも継続して飛行練習できるかどうかが、プロパイロットになれるかどうかの別れ道です。継続して腕を磨いている人には、企業も仕事を任せやすいです。もちろん私も、常に技術を高めている人に仕事を紹介します。プロへの道は、卒業後から始まります。ぜひ、長く充実した学びをサポートしてくれるスクールを見つけてください。

卒業後の仕事紹介は嘘か本当か?

ドローンスクールを卒業した後、そのスクールから仕事を紹介してもらえるかどうかといえば、紹介はしてもらえると思います。例えば、スクールによっては、派遣会社と提携したり企業と連携していたりします。私も大手の測量会社さんと一緒に仕事をしているので、「いいパイロットがいたら紹介して」という話をよくもらいます。実際、私の印象として、年々プロパイロットを欲しがる企業は増えています。そのため卒業生は、仕事をもらいやすいはずです。

しかし、卒業後にもらえる仕事は、ギャラは安いはずです。内容としては、例えば機体を上空に飛ばして静止画を撮るような、難しい技術がいらない仕事です。こういう仕事はハードルが低いのでライバルが多く、他人と取り合いになります。また、技術がいらない仕事は、企業もわざわざ外注せず、自社のスタッフでやります。だから、卒業後の生徒でもすぐにできる仕事は、長い目で見たら、本当に最低賃金くらい安くなるかすぐに席がなくなってしまうかもしれません。

単価の高い仕事は、卒業後すぐにはできないでしょう。なぜなら、2~3日のカリキュラムでは、難しい現場で通用する技術が身につけられないからです。そのため、もしかしたら「派遣会社から仕事を紹介してもらったが、難しくてできなかった……」なんてことがあるかもしれません。私も、さまざまな企業からこういう話をよく聞きます。「飛ばせると聞いたから仕事を紹介したのに、ドローンスクールの卒業生は全然飛ばせなかったよ!」と。また、こんな話も聞きました。今から3年くらい前、秩父地方で災害訓練がありました。そこにドローンのプロパイロットという人がやってきたそうです。その人に、ある職員が「防災のための映像を撮ってほしい」と頼みました。ところがそのプロパイロットは、ただ機体を上昇させて、上空から現場の映像を撮っただけでした。職員は、「これなら僕でもできるよ!」と思わず言いたくなったとのことです。わざわざ頼む必要がなかったと嘆いていました。こういうことが多いので、単価の高い仕事は、一部の人だけにしか紹介されないのかもしれません。少なくとも、卒業後すぐに生徒が受けるのは無理でしょう。

ドローンの仕事は豊富にあるのか?

今、多くの企業がドローンを使った仕事に興味を持っているので、ドローンの仕事はたくさんあります。難易度も、技術がいらないものから難しいものまで幅広くあります。技術がいらない仕事というと、例えばテレビ局や広告代理店が扱う、観光地のスチール写真撮影のようなものもそうです。今なら、こういう仕事も増えているはずです。

しかし今後は、ちょっと飛ばせるくらいの人は仕事をまったく取れなくなります。なぜなら、企業が求めるのは、自社のスタッフではできない難しい撮り方ができるプロパイロットだからです。実際、誰でもできるような仕事は、自社でやっていく傾向になってきています。

逆に、自社ではできない難しい仕事は、どんどん人に任せていく傾向です。難しい仕事というと、例えば私がよく頼まれる橋の点検もそうです。橋に向かって機体を飛ばして、問題がないか調査します。そのとき、機体をかなり橋に近づけます。しかし、ぶつけてはいけません。もしぶつけてしまえば、機体は落ちて水の中に沈みます。他にも、ダムの点検や複雑な地形の測量なども、よく任せられる仕事です。これらも難しい技術がいります。

難しい技術がいる仕事は豊富にあります。なぜなら、できる人が少ないからです。マルチコプター(ドローン)の仕事は、高い技術がないとこなせません。現場で、「あれ、これはどう操縦するんだっけ?」「こういう場面ではどうしたらいいんだっけ?」では通用しません。趣味で飛ばすのと仕事で飛ばすのとでは、まったく違う技術が要求されます。だからこそ、できる人が少ないのです。今後、この業界で生き残るには、じっくりと実力をつけることが大切です。

卒業生同士での交流は有益か?

言い方は悪いですが、初心者だけが集まってマルチコプター(ドローン)の話をすると、ろくな話題にならなかったりします。理由としては、インターネットで知ったようなことを言い合っているからです。ネットの情報は、プロから見たら間違っていることが多いです。

この間も、うちのお店に間違ったことを教える人が来ました。私は、何名かのお客さんと一緒に「Mavic Mini」という機体を飛ばしていました。そして、手の上に着陸させる練習をしていました。平らな場所で機体を着陸させられない状況のときは、小さな機体であれば手でキャッチすることがあります。「手の上で停めたら、ローター(羽)が止まるまでそのままでいてください」と、みなさんに言いました。すると、それを聞いていた一人のお客さんがこう言いました。「手の上で機体を90度に傾ければ、すぐに止まるよー」。いやいや、この止め方は機体にとって最悪です。そりゃ止まりますよ。機体が異常な角度を検出して、安全のために緊急停止させるからです。しかし、並行を保とうとするジンバルやモーター、その他さまざまな回路に大きな負荷がかかります。普段は絶対にやってはいけない止め方です。プロは機体でご飯を食べているわけです。機体は大事にしなければなりません。だから私は、みんなに「絶対にそんなことはしないでくれ!」と強く言いました。

ちょっと物知りな人が、知識のない人にいろいろと教えてしまうことはよくあります。もしかしたらそのお客さんも、インターネットでかじった知識を、よくわからずにひけらかしたのかもしれません。このときは、たまたま私がいたから訂正できました。もしこれが初心者同士の集まりだったら大変です。間違ったことを「なるほど!」と納得して、信じてしまったかもしれません。ちゃんとした指導者がいない場所での情報交換は、有益とは言えません。

初心者だけでは、集まらないほうがいいかもしれません。もちろん、みんなで楽しく「お疲れさまー」みたいな飲み会であれば、問題はないです。しかし、初心者だけで集まって、「こんな練習してみようぜ!」「こういうところで飛ばしてみよう!」となってしまうと、問題です。危ないですから。マルチコプター(ドローン)を飛ばすということは。

その他のビデオ講座

  1. 本物のインストラクターの見極め方
  2. 本物のカリキュラムの見極め方
  3. 資格や免許の嘘・本当の見極め方
  4. いい練習環境の見極め方
  5. いいサポートの見極め方
  6. 最適な入学費用の見極め方
  7. いい練習機の見極め方