※内容は、2020年に収録したものです

今のドローンスクールの費用は高いのか安いのか?

最近、いろいろなドローンスクールの広告を見ていて、すごく費用が高いなと感じました。費用の相場は、聞くところによると1日約8万円らしいです。3日の受講で24万円くらいになるのでしょうか。スクールによっては、もうちょっと高いところもありました。私が秩父地方でスクールを運営するようになった2015年くらいには、すでに周りのスクールは、どこも受講費が30万円近くだったのを覚えています。こうした値段は、私から見たら高すぎです。例えば、自動車の教習所なら、1ヶ月くらい通って日本中で通用する「免許」が取れて、だいたい30万円くらいです。ところが多くのドローンスクールは、2~3日通って、その団体でのみ通用する「資格」しか取れなくて、卒業後も仕事で通用する技術が得られないのに30万円くらいです。どう思います?

一例として私のドローンスクールの話をしますと、値段は安いです。一番安いコースだと2日で15万円。これには理由があります。今から15年以上前、私がドローンスクールを始めたばかりのころ、他にマルチコプター(ドローン)の操縦を教えるところはありませんでした。当然、私はスクールに通ったことがありません。だから、値段は自分で決めるしかありませんでした。そのときに考えたのは、「まだマルチコプターの操縦が自分に向いているかどうかわからない人が、気軽に入門できる値段にしたい」ということでした。その結果、周りからは「安すぎる!」と呆れられましたが……。まあ、そのうちコース内容をグレードアップして、値段も上げる予定だからいいんです(笑)。ただ、それでも生徒のことを考えると、2~3日で30万円は取れないなぁと思います(苦笑)。

費用に見合わないドローンスクールがある

別のドローンスクールに通っていた人から話を聞くと、どうやら費用とカリキュラム内容がまったく見合っていなかったようです。その生徒は、もともと私のスクールに通っていました。しかし、働いている会社の都合で、どうしても別のスクールの資格を取らなければなりませんでした。そこで、その生徒は私のスクールを中断し、別のスクールへ行きました。ところがすぐに辞めました。なんでも、内容が薄すぎて通うのがバカらしくなったのだとか。そうして、うちのスクールを再開しました。ほどなくしてこう言われました。「一徳さん、別のスクールで30万円払って教わった内容よりも、この15万円払って教わっている内容のほうがはるかに濃いんだけど、どういうこと!?」。私は、「いや、よそのことは、私にはよくわからないです」と答えました。どうもその人、最初に私のスクールに通って、その後別のスクールに行って、それからまた私のスクールに戻ってきたため、カリキュラムの内容を比較できたようです。それで、費用と内容のギャップがあることを感じたのだそうです。こういう話をする人は、けっこう私のお店にやってきます。そう考えると、費用と内容が見合っていないドローンスクールは多々あるのでしょうね。

費用に見合うとはどういうことか?

費用に対して考えるべきことは、払った金額に納得ができるかどうかではないでしょうか。つまり、それ相応の技術が身につくかどうかです。せっかく高いお金を払ったのに、卒業しても「ただ機体を宙に浮かせることしかできない」、なんて話はよく聞きます。その程度の技術を、生徒が望んでいるのならいいかもしれません。もしくは、とにかく資格が欲しいというなら問題はありません。しかし、30万円も払えば、ふつうは安全に飛ばせて、ある程度の仕事もこなせる、そんな技術を得たいと思うはずです。少なくとも、うちの生徒さんはそういう人たちばかりです。

払った金額に満足できるかどうかを決めるのは生徒です。生徒の期待にどれだけ応えられるかは、ドローンスクールをやる側の問題です。今、あなたが検討しているスクールは本当に自分の期待に応えてくれるところなのかどうか、ぜひ慎重に考えてみてください。簡単に受講を決めてはいけません。

仕事に直結するコースは、費用も高くなる

最近、私のドローンスクールでは、仕事を目的に受講する生徒が増えています。これまでは「趣味で飛ばしたい」「いつか仕事にしたい」という人が多かったです。ところが今は、「すぐにでも転職したいので、それなりの飛行技術を教えてください!」「独立してバリバリ稼ぎたいのでプロに育ててください!」「引退したので、ドローンを仕事にしていきたい!」といった人が来ます。

例えば、そうした声に応える、より仕事に特化したコースがうちのドローンスクールにはあります。測量や点検、動画撮影、インストラクターの育成などなど。他にも、その人の希望や目的に合わせて、オーダーメイドでコースを考えることもあります。これはうちだけではなく、よそのスクールでもやっているかもしれませんね。

仕事に特化したコースは、みんなに同じ内容を教えるわけではないため、費用は高くなります。また、こうしたコースは、定額で値段を決めるのも難しいです。なぜなら、生徒一人ひとりに合わせて内容を決めることが多く、その分、一律の費用にしにくいからです。例えば、測量関係でマルチコプター(ドローン)を飛ばしたいという場合、山奥での測量をやりたいのか平地での測量をやりたいのかで、知っておくべきことや練習すべき内容が全然違います。仕事がこなせるスキルを得るには、カリキュラムの段階で、細かく学ばなければなりません。誰にでも当てはまるおおざっぱな内容にはできないのです。そのため、費用は高くなります。

こうした考え方は、どこのドローンスクールでも同じではないでしょうか。大切なことは、「その費用は内容に見合ったものかどうか」です。

最初の一歩が踏み出しやすい値段かどうか?

マルチコプター(ドローン)の操縦は、人により向き・不向きがあります。それを見極めるためは、独学でやるよりもドローンスクールを受講したほうがいいでしょう。ただ、その場合、いきなり高い費用を支払うのは不安です。理想は、向いてないとわかったときに痛みが少ない、そんな金額で受講できることです。

マルチコプターの操縦は感覚的なところが大きいので、人によって向き・不向きがあります。もちろん練習を続ければ、誰でも一定以上の飛行ができると私は信じています。しかし、長い期間の練習ができないのであれば、プロのように飛ばすのは難しいでしょう。

向き・不向きを見極めるには、独学よりもドローンスクールを受講したほうがいいです。機体を空に飛ばすわけですから、独学は危ないです。プロのインストラクターがそばについて、しっかりと指導をしてもらう。それなら安心です。安心できる状況で飛ばしてみれば、向いているのか向いていないのかが自分の体感としてわかるはずです。この間も、私のお店に、「今の仕事を辞めてマルチコプターを飛ばす仕事がしてみたい」という人が来ました。その人に、「簡単じゃないですよ」「プロになるには時間も費用も労力もかかりますよ」と話して、次に一通りコース内容を説明しました。するとその人は、「最初のコースを受講させてください。そのうえで、仕事としてやっていけそうか手応えを感じてみたいです。まずは自分に合っているかどうか知って、それから次のことを考えたいです」と、お話されました。私は「それがいいです!」と答えました。

ただ、ドローンスクールを受講するにしても、いきなり高い費用を払うのは不安があります。お試し気分で受講するのに20~30万円かかるのでは、なかなか最初の一歩は踏み出せません。やってダメだった、向いてなかった。それで大金まで失ったとなれば、ショックは大きすぎます。

理想は、ダメとわかった後の痛みが少ない、そんな金額で受講できることです。そういえば昨日、うちのお店に女性のお客さんが来ました。「ドローンの仕事って、女性ではできないですよね……」、そうお話されたので「できますよ。例えば測量業界は、女性のドローンパイロットも活躍しています」と伝えました。「もしも興味があれば、うちの最初のコースで試してみませんか?」とオススメしたら、「こんなに安い値段で試せるんですね!」と、彼女は驚いていました。

最初の一歩を踏み出しやすいドローンスクールは、うちだけではないはずです。ぜひあなたにとって最適な費用のスクールを見つけてください。

どれくらい仕事をすれば、受講費の元は取れるのか?

もし、「ドローンスクールを卒業したらバンバン仕事して、すぐにスクール代を取り返すぞ!」とお考えなら、ちょっと考え直したほうがいいです。2~3日のカリキュラムでは、現場で通用する飛ばし方を身につけるのは難しいです。私のスクールの生徒でも、一人前のプロパイロットとして仕事ができるまで、だいたい1年近くかかっています。また、費用も、ある生徒は1年で100万円くらいかかりました。プロになるまでの流れとしては、まず数ヶ月ほどスクールで学び、現場に連れていける段階になったら、私の仕事のアシスタントをしてもらいます。そのとき、少ないですがギャラをお支払いします。人によっては、それが自分で稼ぐ最初のお金になります。それから、さらに経験を積んでもらい、ようやく独り立ちです。ここまでが長いので、挫折する人が多いです。

しかし、独り立ちした後、仕事が軌道に乗り始めたら、自然とスクール代の元は取れます。仕事内容によってギャラはさまざまですが、例えば5万円の単価であれば、20回こなせば100万円稼げるので、それでスクール代の元が取れます。20回こなすまでにどれくらいの期間がかかるかは、人それぞれなので一概には言えません。しかし、よい企業と巡り会えれば、頻繁に仕事をもらえるので、それほど長くはかからないはずです。

年々、プロパイロットとして活躍できる舞台は増えています。よく私も、企業から「いいパイロットがいたら紹介して!」という声をもらいます。多くの企業が外注先を探しています。企業だけではなく、今後は公的な機関もUAV(マルチコプターを含む、無人航空機の総称)の操縦を、外部のプロに任せていくことになるでしょう。例えば、以前、私のもとに消防署のトップが来てこう言っていました。「安全に確実に飛ばせるパイロットが増えれば、消火活動も楽になるのにな」と。消防署の方たちは、本業が火を消すことなので、ドローンを導入しても飛行練習の時間がありません。飛ばすのは、ベテランに任せたほうが現場も安心、という考えです。他に、山岳救助の警察の方からも同じことを聞きました。今は、まだいろいろな理由から、公的機関が外部のドローンパイロットに仕事を任せるのは難しいです。しかし、時代の流れとともに、今後はあり方が変わっていくはずです。

仕事単価を公開

ドローンの仕事の単価は、ピンからキリまであります。できれば人に言わないで欲しいのですが、私の場合ですと、測量の現場なら1日5万円くらい。動画撮影であれば1日15万円、編集込みで30万円。CMの撮影も同じくらいですね。実は、こういう仕事もある理由があって安く受けているんですよ。改めて見ると、うちは何から何まで安すぎますね(苦笑)。ただ、飛ばしている時間が少ないので割はいいです。例えば、1日15万円の仕事だと、1回15分のフライトを4~5回くらい。合計2時間あるかないかです。時給にしてみれば、けっこうよくないですか?

いくら払えばプロパイロットになれるのか?

いくら払えばマルチコプター(ドローン)のプロパイロットになれるのかと問われたら、私は100万円以上かかると答えます。例えば、うちの場合、プロとして活躍するある生徒は、1年で100万円近くかかっています。内訳は、ドローンスクールの各種コース代や機体代です。かなりセンスのいい人で、それくらいかかっています。でも、うちはよそと比べてスクール代が極めて安すぎるので、例としてはダメかもしれません。他のスクールなら100万円以上かかるかもしれません。もちろん、広告に書かれているように最初に20~30万円払って、その後は無料で全部サポートしてもらえるなら、もっと安くプロになれるはずです。ただし広告内容が本当ならですが……。

この金額は一例ですが、プロになる費用は安くはありません。どんな世界でも、プロを目指すとしたら、それなりのお金と時間はかかります。例えば、医者や弁護士になるには、数百万円以上の費用と何千という勉強時間が必要になるでしょう。ドローン業界だけが例外なんてことはありません。

ただ、考え方によっては、今は安く早くプロになれるとも言えます。なぜなら、私たちが苦労して体系化してきたノウハウを、お金を出せば吸収できるわけです。もともと私は、まだ日本にドローンという言葉がなかったころから、機体の開発をしてきました。ドローンスクールも15年以上前からやっています。もしかしたら、私が日本で最初に始めたかもしれません。そのため、当時は体系的に教えてくれる人はいませんでした。全部、仲間たちと一緒に試行錯誤しながら作り上げてきたことです。何十、何百と機体を落としながら学び、何度も失敗を繰り返しながらノウハウにまとめてきました。汗と涙の結晶です。それが、今はお金で買えます。そういう意味では、安くプロになれるといっても過言ではありません。時代ですね(笑)。

上達のコツがわかる瞬間

誰しも、あるとき急に「上達のコツ」がわかる瞬間がやってきます。その瞬間が来れば、自分で勉強や訓練の内容を考えられます。そして、後は経験だけなので、自分でどんどん仕事を取って、やっていくだけです。そうなれば、もうドローンスクールに通い続けなくてもよくなります。

「上達のコツ」がわかる瞬間は、すぐには訪れません。例えば小さいころ、初めて自転車に乗ったときを思い出してください。最初は自転車に乗れません。転びます。補助輪をつけたり、おやじに支えてもらったりしますが、やはりふらふらしたり転びます。何度も転ぶと、そのうち自分でバランスが取れるようになります。そして、ついに一人で乗れるようになります。この一人で乗れる瞬間は、最後の最後、急にやってきます。マルチコプター(ドローン)の操縦も同じです。ある日突然、「わかった!」という瞬間が来ます。

この瞬間がいつ来るかはその人次第です。それまでは、きちんとしたインストラクターに教えてもらわないといけません。独学でやると悪い癖が直せません。最悪、事故を起こすパイロットになってしまうこともあります。

ただ、プロになった後も引き続き自己投資は続けます。新しい機体が出たら買って試したり、難しいテクニックを教えてくれる人がいたら行って学んだり。こういうことを、第一線で活躍している人ほどやっています。安く済ませようとするのは甘い考えです。プロになったらそこで終わりではありません。始まりです。

定期的に通えるドローンスクールが理想

今のドローンスクールの主流は、2~3日通って卒業するというものですが、あまりいいとは言えません。学ぶ期間が短すぎるからです。確かにすぐ資格は取れます。しかし、「資格=プロの証」ではありません。資格があっても、すぐに機体を落としてしまう人はいます。その一方で、資格がなくても事故を起こさず、長く活躍する人はいます。

長く継続して学べるドローンスクールが理想です。例えば私は、塾や専門学校のように月謝制にして、生徒が定期的に通えるようなものを考えています。これなら、生徒はモチベーションを保ちながら、継続して練習ができます。練習を続ければ、誰でも一定以上の技術は身につくものです。高いスキルを持ったプロパイロットを確保できれば、私は安定してその人を企業に紹介できます。企業は、そのパイロットに安心して仕事を頼めます。こういう仕組みが整えば、生徒は、卒業後すぐに現場で仕事ができます。そして、安定して稼げて家族を養えます。みんなが満足できる、それが長く通えるドローンスクールの魅力です。このようなかたちで、私は今後、スクールを運営していく予定です。

私の話はほんの一例なので、ぜひあなたはこうした話を参考に、自分で考え、自分にピッタリのドローンスクールを見つけてくださいね。そして、プロパイロットとして大空を羽ばたいてください。心から応援しています。

その他のビデオ講座

  1. 本物のインストラクターの見極め方
  2. 本物のカリキュラムの見極め方
  3. 資格や免許の嘘・本当の見極め方
  4. いい練習環境の見極め方
  5. いいサポートの見極め方
  6. 最適な入学費用の見極め方
  7. いい練習機の見極め方